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本編
第7話
しおりを挟む「さてと、そろそろ入札時間が近づいてきたようですから素敵なショーもこれくらいにして。
男娼として嬲るも良し、家畜の餌にするも良し!最低落札価格の設定ですが…。
そうですねぇ、未成年で童貞処女ですから通常の2倍、5000万ユエンからスタート致しましょう☆」
その声を合図に、客席で喧騒の渦が巻き起こる。
『7900万で買うわ!』
『1億!』
『こっちは1億2000万だ!』
落札額は次々と高騰し、ほんの数秒で軽く億単位の入札価格が会場を飛び交う。
そんな様子を横目に、俺は変わらず男達からの刺激を得るばかりだ。
気を失うと叩き起され、また強烈な刺激を与えられる。
そんな意識の境を彷徨い、今の俺はまるでただ喘ぐだけの玩具のようだ。
「4億6000万がでました!
他にはいらっしゃいませんか?」
少しずつ喧騒が鎮まり、気がつくと落札額を提示するのは2,3人ばかりになっていた。
だが既に自分の番を終えた観客達は帰る素振りを見せず、誰が落札するのか気になるのを隠せていない。
『5億じゃ!』
『なら6億だそう!』
「6億以上で落札される方はいらっしゃいますか?」
涙でぐしゃぐしゃになった顔を観客席に向けると、小柄で脂ぎった男が札をあげてニヤニヤと笑みを浮かべている。
俺、あの人に落札されるのかな…。
どうか性的な目的で買われませんように…。
どうせなら小間使いとか__
『綺麗な顔をしているのぉ。
どうせならわしの性奴隷にでもするか』
__俺の生涯は不幸に見舞われているらしい。
なんて不毛な考えを抱いてると、ピエロがマイクを片手に小槌を握り直す。
「他にはいらっしゃいませんか?
…それでは、デリトル様が6億ユエンで__」
『10億だそう』
ピエロが小槌を打とうとしたその時、観客が息をのんで静まり返った会場に凛とした低い声が響き渡る。
「おやまぁ、これはまた珍しいお客様ですねぇ…♤
10億以上で落札される方は?」
『そ、それならわしは11億、いや、12億出すぞ!』
『15億』
『ふ、ふぐぅ…』
デリトルという名の男が負けじと対抗するが、若い男はそれを気にすることなくどんどん値段をつりあげていく。
「ふむ…。
本来であれば続けるべきですが、今回は私の一存で決定致しましょう。
魔王が相手とは、デリトル様も本日ばかりは運が悪かったようだ☆」
「…魔王?」
俺と同じで状況を理解出来ていないらしい観客は高揚や恐怖でざわめき溢れ、それを静めるようにピエロは木槌を大きく鳴らす。
「本日の目玉商品は魔王様が15億ユエンでご落札!
楽しいお茶会へご参加いただきまして誠にありがとうございました。
またのお越しをお待ちしております♡」
それを合図に会場には終幕のファンファーレが鳴り響き、同時に先程まで舞台中央にいたはずのピエロが俺の耳元でボソリと囁いた。
「本日のショー、とても素晴らしいものでした…。
あなたが可愛がっていただけることを、心より望んでおりますよ♢」
「っ痛…」
首元にチクリと鋭い痛みが走ったと思うと、目眩と眠気が襲ってくる。
遠ざかっていく意識の中で最後に感じたのは、無数の仮面の中から刺さるあの鋭い視線だった。
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