過保護な魔王は恋する奴隷を妻にしたい

胡蝶

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本編

*第5話

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「それでは本日最後の入札に参りましょうか♡」

「んっぁあア!!」
 
絶望感で立ち尽くす俺に向けてピエロがパチンと指を鳴らした途端、力が抜けて膝がガクガクと震えだす。
身体はどうしようもなく火照り、性器が熱を帯び始め頭は上手く回らない。

「なにこれぇっ」

思わず上擦った声が漏れると、ピエロがニヤリと口の端をひん曲げて俺の耳元でこう囁いた。

「どうです?魔界の媚    薬ラブポーションは。身体の内側が火照って仕方ないでしょう♡
大丈夫ですよ、ちゃーんと天国を見れますから…。
ま、最終入札者は地獄の鬼かもしれませんが」

媚薬って、さっきの液体か…?

客席の仮面がザワザワと騒がしく揺れ動く中、ピエロはコンッと軽く小槌を打ちつける。

「本日最大の目玉商品は若く眉目麗しいヒューマンビーイング。
年齢は19歳で誕生日は10月28日。
身長は169cmと小柄、顔はお分かりの通り整っておりチャームポイントは左目尻の涙ボクロでございます。
専門的な知識では薬学に富んでいるようですねぇ。」

話した覚えのない個人情報が次々と暴露されていくが、当の俺はというとそれどころではない。
どうしようもなく身体が熱を持て余し、性器からは触ってもいないのにカウパーが溢れ出ている。

『あら、年齢の割には幼い顔ねぇ』
『ねぇ父様、ボクあの人間を奴隷にしたい!』

四方から聞こえるざわめきが恐怖心を高めると共に興奮を煽り立てる。
冴えたはずの頭は性的欲求にまみれ、上手く考えることができない。

「いいんですよ?あなたのしたいようにして。
さぁ、快楽に身を任せなさい。
どんどん堕ちて気持ちよくなりたいでしょう?」

囁くピエロの言葉ひとつひとつが引き金になるように、俺の脳内は快楽を求めることで溢れかえっていく。

俺は人目など気にすることなく自分の性器を懸命に擦るが、一時的な刺激が押し寄せるだけで欲しいものは一向に得られない。

本当はどうするべきなのかも分かっているのだ。
だが、それを欠片だけ残った羞恥心が邪魔をして上手く行動に移すことが出来ない。

「イキたいぃっ!イきたいのぉっ」

身体の奥が疼いて仕方なく、更に快楽を得ようとして犬のようにかくかくと激しく腰を振ってしまう。


目の前が涙で霞み始める。
不意にプツンと頭のどこかで張り詰めていた糸が切れ、先程までは近寄られることに嫌悪感すら感じていたピエロに気がつくと自ら近寄り、スーツの袖をクイッと引っ張っていた。

「おねがいっ!もうらめなのっ!イかせてぇっッ」
 
俺はピエロに向けて恥部をよく見えるように突き出し、まるで雌の求愛行動のようにクネクネと腰を揺らす。

「っ素晴らしいですねぇ♡」

観客席から仮面越しの鋭い視線を感じるが、その事が俺の興奮をさらに掻き立てる。

気がつけば、俺は床に這いつくばりながら自分の尻の穴に指を入れ、まるで女性の挿入部のように激しくかきまわしていた。
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