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第26話 夢と夢
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純に押し切られた形で街に行く事にはなった。だが、船場さんにお店の事を聞きたいと思っていた事もある。
「優。私はね、私の買い物に付き合って欲しいと言ったつもりなのだけど……」
「わかってるよ?」
「それならなんで君の行きたい店に着いたのかな?」
「まあまあ、そう言うなって」
俺は純を連れて、ブラウニーに着いた。少し不服そうな彼女を置いて、船場さんに挨拶する。
「こんにちは!」
「あれ? 優くん彼女連れ?」
「いやいやいや、違いますよ!」
船場さんは、今日も雰囲気のあるファッションに身を包んでいる。純も少し驚いている様だ。
「この人、お洒落な漫画から出て来たの?」
「そんな感じするだろ?」
「千佳の好きな人も似たような雰囲気なの?」
「ちょっと違うけど、そうかな?」
純は頭に手をやり、何か考えている様に悩んだ顔をした。
「何はなしてんの?」
「あ、いや……」
「こないだは、別の子とカジくんに会ったらしいじゃん?」
「なんでそれを……」
船場さんはニヤニヤしながら、ハンガーを整え始めた。
「意外と隅におけないなぁ」
「だから、違いますって」
「まあまあ、まだ触れない方が良さそうだね」
そういうと、船場さんはほっこりした表情で、レジ前に戻る。
「ところで、今日は秋物の新作でも見に来たの? 今週から入荷するから、あんまり入ってないよ?」
「えっと……今日はちがくて……」
「ほう、その子を自慢しに来たと……冗談冗談、あまりしつこいと常連が1人減ってしまうね。いいよいいよ、雑談も大歓迎だよ!」
そう言ってカウンターに手を置いて姿勢をくずした。
「あの……ですね。店をするにはどうしたらいいんですか?」
「店? 服屋って事?」
「はい……」
彼は少し考える素振りをみせ、近くにある裏紙をカウンターに置いた。
「なるほどね……まず、どんな服屋をしたいか? だね」
「どんなとは?」
「うちは、セレクトショップに当たるわけだけど、古着屋だったり、ブランドショップも有る。また、店を構えるのもそうだけど、委託やネットショップも有るからイメージするのはどれ?」
なるほど、服屋でもジャンル以外に色々な形態から選ぶのが先なのか。
「セレクトショップで店を構えて、出来ればネット販売も出来たらなと……」
「なるほど、それならまずはコネかネットの知識とかかな?」
「コネ、ですか?」
あまりいい響きではない様な気もする。だけど、船場さんが必要だと言うなら必要なのだろう。
「そう、展示会に行けるような繋がりが無いと商品を入れられない」
「なるほど……繋がるにはどうすれば?」
「ある程度基盤があれば、営業が来たりもするのだけど、一度はどこかお店で働いて展示会とかに行ける様にするのがいいかな?」
まずは、働いてみる。元々そのつもりだっただけにしっくり来る。
「ありがとうございます!」
「あとは、セレクトショップを目指すならお金を貯めるのはまぁ当たり前として、『1番好き』を普段から意識するといいかな?」
「1番好きですか?」
「そう、優くんは服を買う時どういう基準で買う?」
合わせやすい、気に入ったデザイン、好きなサイズ感……いろいろあって絞り切れない。
「悩んでるね。でも、答えは簡単。悩んでいるアイテムの中で1番いいと思った物を買うんだよ」
「たしかに!」
「どんなに良くても2番は売れない。残酷な現実だよねー!」
少し疑問がよぎる。
「でも、なんとなく買う時もありますよ?」
「あんまりいいのが無い時だよね? それでも、その中での1番を買わない?」
「そうですね……」
「手が届かないとか、物がないとか、そういう事は有ると思うのだけど、そんな買い物ばかりさせていたら1番が良くある他の店に行っちゃうよね?」
「なるほど! だから『1番好き』」
「そう、もちろん人の好みは色々あるのだけど、服を見るときに、どんな人の『1番好き』になるかなって考えて見ると、考えている様な人が集まりやすいお店になると思わない?」
「思います!」
「集めたい人はどんどん自分の好みを出して、そういう人と繋がって行けたら楽しいよね!」
なんとなくだけど、なんで船場さんが魅力的なのか、どうしてお店を始めようと思ったのかがわかった気がした。
「だからお店を?」
「そうだよ、好きな物に囲まれて、好きな奴と話して、ご飯がたべていける! やってみたくなる気持ちもわかるわかる!」
船場さんがそういうと、ほったらかしにしていた純が入ってきた。
「優、船場さんって、素敵な人だね」
「あれ? 好きになっちゃった? 1番取っちゃったかぁ」
「でも、彼女いるんですよね?」
純の一言に、船場さんは少し驚く。
「あれ? なんでわかったの?」
「スマホのストラップ……それだけ浮いてるので彼女いるのかなと」
「凄い洞察力! なるほど、こういうのでもバレるのか……」
純が意外にも、船場さんと自然に話しているのが新鮮だった。
「純ちゃんであってる? 君結構モテるでしょ?」
「ありがとうございます……」
「この反応、かわいいと言われ慣れてる子だわ……」
まぁ、純は自分のかわいさを自覚している。それは、最初の頃から理解している。
「まぁ、確かに謙遜したら嫌われるレベルだよね」
「船場さんどうですか?」
「いやいや、今彼女居るって言ったばかりだよね? それに、僕は1番じゃなさそうだけど?」
そう言って、船場さんは俺の方を見た。
「なんすか……」
「別に……?」
彼のニヤニヤがきになる。だが、その時店の中に誰かが入って来るのがわかった。
「よっす! あれ、誰かいる……」
「あぁ、カジくん。何、予約空いたの?」
「そうそう……あれ、優くんじゃん?」
「あ、昨日振りです……」
そう言うと、カジさんは純を見て固まった。
「……えっ、何ですか?」
「優くんの彼……女?」
「いや、違いますよ!」
今日何度目のやりとりだ……。だが、カジさんは予想外の反応を見せた。
「えっと……すいません。良かったら連絡先交換しませんか?」
……えっ?
ええぇぇぇええ!!??
「優。私はね、私の買い物に付き合って欲しいと言ったつもりなのだけど……」
「わかってるよ?」
「それならなんで君の行きたい店に着いたのかな?」
「まあまあ、そう言うなって」
俺は純を連れて、ブラウニーに着いた。少し不服そうな彼女を置いて、船場さんに挨拶する。
「こんにちは!」
「あれ? 優くん彼女連れ?」
「いやいやいや、違いますよ!」
船場さんは、今日も雰囲気のあるファッションに身を包んでいる。純も少し驚いている様だ。
「この人、お洒落な漫画から出て来たの?」
「そんな感じするだろ?」
「千佳の好きな人も似たような雰囲気なの?」
「ちょっと違うけど、そうかな?」
純は頭に手をやり、何か考えている様に悩んだ顔をした。
「何はなしてんの?」
「あ、いや……」
「こないだは、別の子とカジくんに会ったらしいじゃん?」
「なんでそれを……」
船場さんはニヤニヤしながら、ハンガーを整え始めた。
「意外と隅におけないなぁ」
「だから、違いますって」
「まあまあ、まだ触れない方が良さそうだね」
そういうと、船場さんはほっこりした表情で、レジ前に戻る。
「ところで、今日は秋物の新作でも見に来たの? 今週から入荷するから、あんまり入ってないよ?」
「えっと……今日はちがくて……」
「ほう、その子を自慢しに来たと……冗談冗談、あまりしつこいと常連が1人減ってしまうね。いいよいいよ、雑談も大歓迎だよ!」
そう言ってカウンターに手を置いて姿勢をくずした。
「あの……ですね。店をするにはどうしたらいいんですか?」
「店? 服屋って事?」
「はい……」
彼は少し考える素振りをみせ、近くにある裏紙をカウンターに置いた。
「なるほどね……まず、どんな服屋をしたいか? だね」
「どんなとは?」
「うちは、セレクトショップに当たるわけだけど、古着屋だったり、ブランドショップも有る。また、店を構えるのもそうだけど、委託やネットショップも有るからイメージするのはどれ?」
なるほど、服屋でもジャンル以外に色々な形態から選ぶのが先なのか。
「セレクトショップで店を構えて、出来ればネット販売も出来たらなと……」
「なるほど、それならまずはコネかネットの知識とかかな?」
「コネ、ですか?」
あまりいい響きではない様な気もする。だけど、船場さんが必要だと言うなら必要なのだろう。
「そう、展示会に行けるような繋がりが無いと商品を入れられない」
「なるほど……繋がるにはどうすれば?」
「ある程度基盤があれば、営業が来たりもするのだけど、一度はどこかお店で働いて展示会とかに行ける様にするのがいいかな?」
まずは、働いてみる。元々そのつもりだっただけにしっくり来る。
「ありがとうございます!」
「あとは、セレクトショップを目指すならお金を貯めるのはまぁ当たり前として、『1番好き』を普段から意識するといいかな?」
「1番好きですか?」
「そう、優くんは服を買う時どういう基準で買う?」
合わせやすい、気に入ったデザイン、好きなサイズ感……いろいろあって絞り切れない。
「悩んでるね。でも、答えは簡単。悩んでいるアイテムの中で1番いいと思った物を買うんだよ」
「たしかに!」
「どんなに良くても2番は売れない。残酷な現実だよねー!」
少し疑問がよぎる。
「でも、なんとなく買う時もありますよ?」
「あんまりいいのが無い時だよね? それでも、その中での1番を買わない?」
「そうですね……」
「手が届かないとか、物がないとか、そういう事は有ると思うのだけど、そんな買い物ばかりさせていたら1番が良くある他の店に行っちゃうよね?」
「なるほど! だから『1番好き』」
「そう、もちろん人の好みは色々あるのだけど、服を見るときに、どんな人の『1番好き』になるかなって考えて見ると、考えている様な人が集まりやすいお店になると思わない?」
「思います!」
「集めたい人はどんどん自分の好みを出して、そういう人と繋がって行けたら楽しいよね!」
なんとなくだけど、なんで船場さんが魅力的なのか、どうしてお店を始めようと思ったのかがわかった気がした。
「だからお店を?」
「そうだよ、好きな物に囲まれて、好きな奴と話して、ご飯がたべていける! やってみたくなる気持ちもわかるわかる!」
船場さんがそういうと、ほったらかしにしていた純が入ってきた。
「優、船場さんって、素敵な人だね」
「あれ? 好きになっちゃった? 1番取っちゃったかぁ」
「でも、彼女いるんですよね?」
純の一言に、船場さんは少し驚く。
「あれ? なんでわかったの?」
「スマホのストラップ……それだけ浮いてるので彼女いるのかなと」
「凄い洞察力! なるほど、こういうのでもバレるのか……」
純が意外にも、船場さんと自然に話しているのが新鮮だった。
「純ちゃんであってる? 君結構モテるでしょ?」
「ありがとうございます……」
「この反応、かわいいと言われ慣れてる子だわ……」
まぁ、純は自分のかわいさを自覚している。それは、最初の頃から理解している。
「まぁ、確かに謙遜したら嫌われるレベルだよね」
「船場さんどうですか?」
「いやいや、今彼女居るって言ったばかりだよね? それに、僕は1番じゃなさそうだけど?」
そう言って、船場さんは俺の方を見た。
「なんすか……」
「別に……?」
彼のニヤニヤがきになる。だが、その時店の中に誰かが入って来るのがわかった。
「よっす! あれ、誰かいる……」
「あぁ、カジくん。何、予約空いたの?」
「そうそう……あれ、優くんじゃん?」
「あ、昨日振りです……」
そう言うと、カジさんは純を見て固まった。
「……えっ、何ですか?」
「優くんの彼……女?」
「いや、違いますよ!」
今日何度目のやりとりだ……。だが、カジさんは予想外の反応を見せた。
「えっと……すいません。良かったら連絡先交換しませんか?」
……えっ?
ええぇぇぇええ!!??
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