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05 宗教って怪しくないですか?
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──この苦痛……これは何の試練なんだ?
マティスはパッチリと目を開けて、窓から入り込んでくる日差しを感じた。そう、この晩彼は一睡もできなかったのだ。
──ラニが大丈夫なのは分かってる。頭では分かっていても怖いものは怖いんだよっ!
ふと、隣を見ると即席のベッドからラニはこちらをみて微笑んだ。マティスもそれに微笑みかえしたのだが、このやりとり昨晩から30回はやっている。
──何でラニは寝ないんだよっ!
結局、そのまま家を出る予定の朝を迎えてしまう事となった。
「マティスさん、眠そうだけど大丈夫かい?」
「大丈夫ですとも、騎士の任務の際は2徹、3徹してますから!」
寝不足で変なテンションになりながらも支度を済ませ、ラニと共に精霊教会に向かった。
「主~、精霊教会はどんなところ?」
「そうだな、精霊にお祈りしたら願いを叶えてくれるって思っている人が沢山居る所かな?」
「へぇ~、そしたらラニのお願いも叶う?」
「うーん、どうだろう?」
マティスは宗教的な物を全く信じてはいない。どちらかと言うと怪しいとさえ思っていた。
──精霊王の話を聞くにはこれしかないよな。
ただ、手がかりが無い以上。一番知っていそうな所に行ってみる他無かっただけだった。
城下町の商人街に出てしばらく歩くと、石造りの神殿の様な建物が見えて来る。王都でも一定数の信者が居るのが精霊教会なのだ。
白い神官の様な衣装を纏い、教会の前を掃除している人物が居る。神官の一人なのだろう。
マティスは、目の前に着くと神官と思われる人物に話しかけた。
「すいません……」
「おお、これはこれは剣聖様ではございませんか。教会にご用ですかな?」
「用は無いんですけと、聞きたい事がありまして」
「はて、なぞなぞの様な問いかけとは、流石は剣聖様ですな!」
ラニは少し怖がっているのか、足にしっかりとしがみつき神官を睨む。
「あらあら、可愛い娘さんですな」
「可愛いですが、違います!」
教会で子持ちなどと噂が広まってしまっては、今後の自分の婚活に影響が出てしまう。そう考え、マティスは小まめに否定する様にした。
「ふむ、剣聖様は精霊教がお嫌いですかな?」
「嫌いでは無いですけど……精霊様とか願いが叶うとかはちょっとね……」
神官は胡散臭い笑顔になると、語りかけるように言った。
「剣聖様は精霊教を何か誤解されてらっしゃる……私どもはあくまで精霊様の考えに沿った道徳観を教えているに過ぎませんぞ?」
「道徳観?」
ぐううぅぅぅ……。
マティスが聞くと同時にラニのお腹が鳴る。
「おやおや、ちょうど良い。お嬢さん、お腹が空いているけれどご飯が無い時はどうされますかな?」
「うう……ラニ。ニンゲン食う……」
「ひぃっ!」
「人間食べちゃダメ!」
案外冗談と言い切れない所が、ラニの怖い所でも有る……。
「人間を食べるまで行く人はほとんどおりませんが、命に関われば盗みや強奪を考えてしまう事は多々ございます……」
「まぁ、治安の悪い所は大体そうだな」
「そこで! 私どもはそう言った者達に無償で食べ物を与え、生活していく為の知恵を授けるのです」
「なるほど。そこで寄付金か……」
「流石剣聖様、察しがいい……もちろんその分の口利きや労働者の斡旋をさせていただいておりますゆえ……」
神官はニヤリと笑みを浮かべマティスの耳元で囁いた。
一見双方にメリットがあり、いい様にも悪い様にも取れる精霊教会。だが、この王都では治安を守るためにも無くてはなら無い存在なのだろう。
「ところで剣聖様、わざわざ来られたという事は我々に何か出来る事があると考えても?」
要は入信する必要はないが、情報が欲しければ寄付をしろという事なのだろう。
「わかった……俺の知りたい情報をくれるのであれば、それ相応に寄付させてもらうよ」
「ありがとうございます。そうしましたら教会の中で話を伺いましょう」
神官は、掃除の手を止めると教会の中に案内する様にドアを開けた。マティスが剣聖だからなのか、気を使っている様にも見える。
──勢いでそれ相応とは言ったものの、どれくらい求められるのかが怖いな……。
「ねぇねぇ主~あの絵すっごくきれいだよ~」
「あれは、ステンドグラスという奴だな」
「ふうん……」
教会の正面には矢の無い弓を引くステンドグラスから光が入っていた。人の様で人では無い。多分精霊を模したものなのだろう。
「神官長の元に案内させて頂きますゆえ、このまま付いてきて頂ければ」
「神官長? てっきり貴方と話すのかと思ってました……」
神官は、扉の前で足を止めると、マティスの方を向き話した。
「神官長は精霊とのハーフでして、少し変わったお方です……」
「精霊とのハーフって、そんな事ありえるのか?」
「極々珍しいのですが、それゆえちょっと……」
──信仰の対象とのハーフか。気難しい人なのかもしれないな。
マティスは、覚悟を決めて扉を開ける。すると中には、透き通る様な水色の長い髪の青年がソファーに寝そべっていた。
「ええっ! なんか予想外なんですけど」
「はい……神官長は知恵と力はございますが、基本的に怠け者でして、それゆえ神官長もあの様な方で……」
──神官長って怠け者だったのか……。
「いらっしゃい。剣聖のマティス・フェルメノートさんでよかったですかね?」
「あ、はい……そうです」
「神官長のメモリルですー」
「よろしくお願いします……」
神官長のメモリルはソファーから起き上がると、座ったまま言った。
「早速で悪いんですけどー、僕を養ってもらえますかー?」
「……はい?」
「いやー、精霊の方々ってそれぞれまったり過ごしているのに、僕は人間も混ざっているのでちゃんとご飯を食べないといけないんですよ。それって不公平だと思いませんか?」
怠け者と言う割に怒涛の様に話しかけてくる様にマティスは少し押され気味になる。
「養うのはちょっと……」
「そうですかー、残念です。それで、僕になにか用ですか?」
「神官長は精霊王ルノワールの居場所をご存知ないですか?」
「ふむ、精霊王……知って無くは無いですけど、それは有償での内容になりますね」
元々対価を払うつもりだったので、有償なのは問題ない。問題はそれがどのくらいなのかと言う事だ。
「それは構わないのですが……どのくらいが相場なのか……」
「なるほど。では精霊王に会ってどうされるつもりですか?」
──なるべく秘密にしておきたい【大罪武器】の事を聞いてもいいのだろうか?
マティスは回答に悩む。するとメモリルはラニをじっと見てから頷くと、悟った様に言う。
「もしかして、その子の事ですかね?」
「なんでそれを……」
「なんとなくです。人ではない事は分かりました。なので、そうかなと……」
堕落して居る様に見えていたが、流石は神官長を務めるだけの事はある。多分この知識と洞察力は普段の態度を差し置いてもお釣りが来るのだろう。
「もしかしたら僕でも答えられるかもしれません」
そう言ってメモリルは不敵な笑みを浮かべた。
マティスはパッチリと目を開けて、窓から入り込んでくる日差しを感じた。そう、この晩彼は一睡もできなかったのだ。
──ラニが大丈夫なのは分かってる。頭では分かっていても怖いものは怖いんだよっ!
ふと、隣を見ると即席のベッドからラニはこちらをみて微笑んだ。マティスもそれに微笑みかえしたのだが、このやりとり昨晩から30回はやっている。
──何でラニは寝ないんだよっ!
結局、そのまま家を出る予定の朝を迎えてしまう事となった。
「マティスさん、眠そうだけど大丈夫かい?」
「大丈夫ですとも、騎士の任務の際は2徹、3徹してますから!」
寝不足で変なテンションになりながらも支度を済ませ、ラニと共に精霊教会に向かった。
「主~、精霊教会はどんなところ?」
「そうだな、精霊にお祈りしたら願いを叶えてくれるって思っている人が沢山居る所かな?」
「へぇ~、そしたらラニのお願いも叶う?」
「うーん、どうだろう?」
マティスは宗教的な物を全く信じてはいない。どちらかと言うと怪しいとさえ思っていた。
──精霊王の話を聞くにはこれしかないよな。
ただ、手がかりが無い以上。一番知っていそうな所に行ってみる他無かっただけだった。
城下町の商人街に出てしばらく歩くと、石造りの神殿の様な建物が見えて来る。王都でも一定数の信者が居るのが精霊教会なのだ。
白い神官の様な衣装を纏い、教会の前を掃除している人物が居る。神官の一人なのだろう。
マティスは、目の前に着くと神官と思われる人物に話しかけた。
「すいません……」
「おお、これはこれは剣聖様ではございませんか。教会にご用ですかな?」
「用は無いんですけと、聞きたい事がありまして」
「はて、なぞなぞの様な問いかけとは、流石は剣聖様ですな!」
ラニは少し怖がっているのか、足にしっかりとしがみつき神官を睨む。
「あらあら、可愛い娘さんですな」
「可愛いですが、違います!」
教会で子持ちなどと噂が広まってしまっては、今後の自分の婚活に影響が出てしまう。そう考え、マティスは小まめに否定する様にした。
「ふむ、剣聖様は精霊教がお嫌いですかな?」
「嫌いでは無いですけど……精霊様とか願いが叶うとかはちょっとね……」
神官は胡散臭い笑顔になると、語りかけるように言った。
「剣聖様は精霊教を何か誤解されてらっしゃる……私どもはあくまで精霊様の考えに沿った道徳観を教えているに過ぎませんぞ?」
「道徳観?」
ぐううぅぅぅ……。
マティスが聞くと同時にラニのお腹が鳴る。
「おやおや、ちょうど良い。お嬢さん、お腹が空いているけれどご飯が無い時はどうされますかな?」
「うう……ラニ。ニンゲン食う……」
「ひぃっ!」
「人間食べちゃダメ!」
案外冗談と言い切れない所が、ラニの怖い所でも有る……。
「人間を食べるまで行く人はほとんどおりませんが、命に関われば盗みや強奪を考えてしまう事は多々ございます……」
「まぁ、治安の悪い所は大体そうだな」
「そこで! 私どもはそう言った者達に無償で食べ物を与え、生活していく為の知恵を授けるのです」
「なるほど。そこで寄付金か……」
「流石剣聖様、察しがいい……もちろんその分の口利きや労働者の斡旋をさせていただいておりますゆえ……」
神官はニヤリと笑みを浮かべマティスの耳元で囁いた。
一見双方にメリットがあり、いい様にも悪い様にも取れる精霊教会。だが、この王都では治安を守るためにも無くてはなら無い存在なのだろう。
「ところで剣聖様、わざわざ来られたという事は我々に何か出来る事があると考えても?」
要は入信する必要はないが、情報が欲しければ寄付をしろという事なのだろう。
「わかった……俺の知りたい情報をくれるのであれば、それ相応に寄付させてもらうよ」
「ありがとうございます。そうしましたら教会の中で話を伺いましょう」
神官は、掃除の手を止めると教会の中に案内する様にドアを開けた。マティスが剣聖だからなのか、気を使っている様にも見える。
──勢いでそれ相応とは言ったものの、どれくらい求められるのかが怖いな……。
「ねぇねぇ主~あの絵すっごくきれいだよ~」
「あれは、ステンドグラスという奴だな」
「ふうん……」
教会の正面には矢の無い弓を引くステンドグラスから光が入っていた。人の様で人では無い。多分精霊を模したものなのだろう。
「神官長の元に案内させて頂きますゆえ、このまま付いてきて頂ければ」
「神官長? てっきり貴方と話すのかと思ってました……」
神官は、扉の前で足を止めると、マティスの方を向き話した。
「神官長は精霊とのハーフでして、少し変わったお方です……」
「精霊とのハーフって、そんな事ありえるのか?」
「極々珍しいのですが、それゆえちょっと……」
──信仰の対象とのハーフか。気難しい人なのかもしれないな。
マティスは、覚悟を決めて扉を開ける。すると中には、透き通る様な水色の長い髪の青年がソファーに寝そべっていた。
「ええっ! なんか予想外なんですけど」
「はい……神官長は知恵と力はございますが、基本的に怠け者でして、それゆえ神官長もあの様な方で……」
──神官長って怠け者だったのか……。
「いらっしゃい。剣聖のマティス・フェルメノートさんでよかったですかね?」
「あ、はい……そうです」
「神官長のメモリルですー」
「よろしくお願いします……」
神官長のメモリルはソファーから起き上がると、座ったまま言った。
「早速で悪いんですけどー、僕を養ってもらえますかー?」
「……はい?」
「いやー、精霊の方々ってそれぞれまったり過ごしているのに、僕は人間も混ざっているのでちゃんとご飯を食べないといけないんですよ。それって不公平だと思いませんか?」
怠け者と言う割に怒涛の様に話しかけてくる様にマティスは少し押され気味になる。
「養うのはちょっと……」
「そうですかー、残念です。それで、僕になにか用ですか?」
「神官長は精霊王ルノワールの居場所をご存知ないですか?」
「ふむ、精霊王……知って無くは無いですけど、それは有償での内容になりますね」
元々対価を払うつもりだったので、有償なのは問題ない。問題はそれがどのくらいなのかと言う事だ。
「それは構わないのですが……どのくらいが相場なのか……」
「なるほど。では精霊王に会ってどうされるつもりですか?」
──なるべく秘密にしておきたい【大罪武器】の事を聞いてもいいのだろうか?
マティスは回答に悩む。するとメモリルはラニをじっと見てから頷くと、悟った様に言う。
「もしかして、その子の事ですかね?」
「なんでそれを……」
「なんとなくです。人ではない事は分かりました。なので、そうかなと……」
堕落して居る様に見えていたが、流石は神官長を務めるだけの事はある。多分この知識と洞察力は普段の態度を差し置いてもお釣りが来るのだろう。
「もしかしたら僕でも答えられるかもしれません」
そう言ってメモリルは不敵な笑みを浮かべた。
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