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サブローの裏技
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「あれ? サブローさんですにゃ?」
「おう、ミイコか!」
お茶を入れて戻ってみるとミイコが居た。やっぱり彼女の知り合いの様だ。
「サブローさん、なんでここにいるんですにゃ?」
「なんや、相変わらずやなぁ。神様変わったって聞いたから一度見にきたんや」
ミイコはチラリと俺の方を見る。
「ミイコ、聞いてくれや。この兄ちゃんワシの事メスやおもたんやで?」
「まぁ、人間からしたらあんまり分からないですにゃあよ」
「この貫禄が伝わらんとはなぁ……」
サブローさんは結構根に持って居る様子で目を細めている。こんな猫でも鰹節とかあげたらにゃあにゃあ言うのだろうか?
「それで、新しい神様はどこなんや?」
「にゃあ……そこに居ますにゃよ?」
「はぁ? この兄ちゃんが神様かいな?」
サブローさんはそう言って目を見開き俺を見る。
「あはは。まぁ、そうなりますね」
「えらいすんまへんなぁ」
意外にもサブローさんの態度が一変する。一応猫神になるからなのか?
「話せてる時点できづくにゃよ」
「そんなんいわれたかて───」
言い訳するサブローさんを見ながら、お茶を飲む。なんとなく猫扱いでいいんねないかとさえ思い始めた。
「それで神様、願いはきまりましたかにゃ?」
ミイコは少し落ち着いた声を出した。
「いや、まだ途中なんだけど……」
「なんや、悩んどるんかいな?」
「まぁ……今回の願いがちょっと……」
話しの流れで、今回の事をサブローに伝えてみる事にした。なるべく丁寧に内容を伝えるとサブローはあっさり言った。
「願いで殺して言うてはーるんやろ?」
「そうですね」
「せやったら殺したったらええやんけ?」
いや、このおっさん短絡的すぎるだろ。
「願ってるちゅうことは力使えんねやろ?」
「だけど、それは状況にもよるし……」
俺がそう言うと、サブローの声でが座る。
「あのな、神さん。人が殺してと神頼みするってよっぽどの事やで?」
「ですけど……」
「ただ、神さんは自分が殺した無いだけちゃうんか?」
そう言われ、背中に嫌な汗をかいた。確かに自分が依頼者の立場なら迷わず殺して居るのかもしれない。自分に直接関係が無いから躊躇して居るのだろう。
「あと、裏技なんやけど願ってなくても殺せるで?」
「いやいや、神の力は願わないといけないんですよね?」
「かー! アッタマ堅いなぁ。直接殺さへんでも間接的にできるやろ?」
「事故とかを起こすとかです?」
「それは能力使わなあかんやろ?」
「ま、まぁ……」
「ちゃうねん、ワシに頼んだらええんや」
俺はハッとする。そう言えばミイコが猫を使えるって言っていたのを思い出した。
「そうですにゃあね……サブローさんなら問題無く出来ると思いますにゃ」
「言っても猫に出来るのかな? 結構危ないと思うけど?」
「何いうてんねん、猫神の使いは基本的に猫又や、人間にも見せられるし、そのままでも充分殺せるんや」
確かに俺の代わりを務めている猫は溶け込んでいた。相手には人間に見せられるというのも嘘では無いのだろう。
「でも、この願いの本質は復讐をしたいわけじゃないと思うんです」
「なんでや? 人生狂わされて自殺するかどうかの瀬戸際なんやで?」
「うん、でも……違うと思います」
「相手死ぬの見てからスッキリ死にたいと思うんやけどなぁ」
「神様はどこが引っかかって居るんですにゃ?」
「あの人……別に死にたいわけじゃ無いと思うんだ」
「でも、心を覗いてましたにゃ」
「いや、まぁ死にたい程辛いから死にたいんだけど……仮に辛くなかったら死にたくは無いんじゃないかなって」
2匹の猫の反応には頭の上に"?"マークが出ている様に見える。
「その、追い詰めた相手が手を引いたり、返したりすればいいんじゃ無いかなって」
「でも、神さん。願いは"殺したい"やから他には使われへんのとちゃうか?」
「そこなんだけどさ……」
そう言ってサブローを見つめる。
「な、なんや?」
「ちょっと後でサブローさんに協力して欲しいんだけど……」
「まぁ、神さんに言われたらしゃーないからなぁ。好きにつこうてくれや」
そして残りの依頼者の人生を見た後、纏めてサブローに指示を出した。
「はぁ? そんな上手くいくかいな?」
「やってみないと分からないですよ?」
「見かけによらず結構無茶しはるなぁ……」
こうして俺は次の日サブローと一緒に作戦を実行する事になった。
「おう、ミイコか!」
お茶を入れて戻ってみるとミイコが居た。やっぱり彼女の知り合いの様だ。
「サブローさん、なんでここにいるんですにゃ?」
「なんや、相変わらずやなぁ。神様変わったって聞いたから一度見にきたんや」
ミイコはチラリと俺の方を見る。
「ミイコ、聞いてくれや。この兄ちゃんワシの事メスやおもたんやで?」
「まぁ、人間からしたらあんまり分からないですにゃあよ」
「この貫禄が伝わらんとはなぁ……」
サブローさんは結構根に持って居る様子で目を細めている。こんな猫でも鰹節とかあげたらにゃあにゃあ言うのだろうか?
「それで、新しい神様はどこなんや?」
「にゃあ……そこに居ますにゃよ?」
「はぁ? この兄ちゃんが神様かいな?」
サブローさんはそう言って目を見開き俺を見る。
「あはは。まぁ、そうなりますね」
「えらいすんまへんなぁ」
意外にもサブローさんの態度が一変する。一応猫神になるからなのか?
「話せてる時点できづくにゃよ」
「そんなんいわれたかて───」
言い訳するサブローさんを見ながら、お茶を飲む。なんとなく猫扱いでいいんねないかとさえ思い始めた。
「それで神様、願いはきまりましたかにゃ?」
ミイコは少し落ち着いた声を出した。
「いや、まだ途中なんだけど……」
「なんや、悩んどるんかいな?」
「まぁ……今回の願いがちょっと……」
話しの流れで、今回の事をサブローに伝えてみる事にした。なるべく丁寧に内容を伝えるとサブローはあっさり言った。
「願いで殺して言うてはーるんやろ?」
「そうですね」
「せやったら殺したったらええやんけ?」
いや、このおっさん短絡的すぎるだろ。
「願ってるちゅうことは力使えんねやろ?」
「だけど、それは状況にもよるし……」
俺がそう言うと、サブローの声でが座る。
「あのな、神さん。人が殺してと神頼みするってよっぽどの事やで?」
「ですけど……」
「ただ、神さんは自分が殺した無いだけちゃうんか?」
そう言われ、背中に嫌な汗をかいた。確かに自分が依頼者の立場なら迷わず殺して居るのかもしれない。自分に直接関係が無いから躊躇して居るのだろう。
「あと、裏技なんやけど願ってなくても殺せるで?」
「いやいや、神の力は願わないといけないんですよね?」
「かー! アッタマ堅いなぁ。直接殺さへんでも間接的にできるやろ?」
「事故とかを起こすとかです?」
「それは能力使わなあかんやろ?」
「ま、まぁ……」
「ちゃうねん、ワシに頼んだらええんや」
俺はハッとする。そう言えばミイコが猫を使えるって言っていたのを思い出した。
「そうですにゃあね……サブローさんなら問題無く出来ると思いますにゃ」
「言っても猫に出来るのかな? 結構危ないと思うけど?」
「何いうてんねん、猫神の使いは基本的に猫又や、人間にも見せられるし、そのままでも充分殺せるんや」
確かに俺の代わりを務めている猫は溶け込んでいた。相手には人間に見せられるというのも嘘では無いのだろう。
「でも、この願いの本質は復讐をしたいわけじゃないと思うんです」
「なんでや? 人生狂わされて自殺するかどうかの瀬戸際なんやで?」
「うん、でも……違うと思います」
「相手死ぬの見てからスッキリ死にたいと思うんやけどなぁ」
「神様はどこが引っかかって居るんですにゃ?」
「あの人……別に死にたいわけじゃ無いと思うんだ」
「でも、心を覗いてましたにゃ」
「いや、まぁ死にたい程辛いから死にたいんだけど……仮に辛くなかったら死にたくは無いんじゃないかなって」
2匹の猫の反応には頭の上に"?"マークが出ている様に見える。
「その、追い詰めた相手が手を引いたり、返したりすればいいんじゃ無いかなって」
「でも、神さん。願いは"殺したい"やから他には使われへんのとちゃうか?」
「そこなんだけどさ……」
そう言ってサブローを見つめる。
「な、なんや?」
「ちょっと後でサブローさんに協力して欲しいんだけど……」
「まぁ、神さんに言われたらしゃーないからなぁ。好きにつこうてくれや」
そして残りの依頼者の人生を見た後、纏めてサブローに指示を出した。
「はぁ? そんな上手くいくかいな?」
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「見かけによらず結構無茶しはるなぁ……」
こうして俺は次の日サブローと一緒に作戦を実行する事になった。
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