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1話 侍従に焦らされて
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真夜中、ふと目が覚めたのは痛みのせいだ。
ああ、まただ、とレキウスは思う。
キリキリと痛む胃のあたりに手を置き、眉間に皺を寄せる。
痛みは、心因性のものだと医者からは言われていた。心の奥底に眠る不安が顕在化したものだろうと、そんなふうに聞かされている。
不安なら、産まれた時から山とあった。
第三王子という自身の不安定な立場。守ってくれるはずの母は幼い頃に亡くなった。レキウスは母親の顔すら覚えていない。父王からは疎んじられ、何より自身に関する重大な秘密が大きな恐怖となって常にレキウスにのしかかってきている。
レキウスの秘密を知るのは、侍従のスレンただ一人だ。
父王には顔も名前も憶えられていないレキウスは、二人の兄王子たちとは違い離宮の片隅にひっそりと暮らしていた。
権力争いから最も遠い王子。忘れられた王子。それがレキウスだった。
しばらくベッドの中でもぞもぞとしていると、ドアの向こうから声がかかった。
「眠れませんか?」
穏やかなスレンの声に、レキウスは今にも泣き出しそうな顔になる。
「痛いんだ……」
胃のあたりを押さえながらレキウスが言うと、スレンが「失礼します」とドアを開けて室内へ入ってくる。
「こちらをどうぞ。少しは落ち着かれるかと思います」
温めたヤギの乳に蜂蜜をスプーン一杯。スレンの用意する飲み物はいつもレキウスの心を温め、痛みを和らげてくれる。
「ありがとう」
手渡されたタンブラーを両手で包み込みながらレキウスは口をつける。
「甘い……」
蜂蜜の甘さに、それまで潜めていた息をホッと吐き出し、レキウスは微かに笑みを浮かべた。
「スレン、一緒に寝てくれる?」
一人は、怖い。
一人は、嫌だ。
おぞましい過去の記憶が暗闇の中から近付いてくる、そんな感じがしてレキウスは両腕で自身の体をぎゅっと抱きしめる。
「怖いんだ。暗がりの中からアイツが出てきて、今にもベッドに潜り込んできそうな感じがして……」
「レキウス様。あの男は、もうここにはいません。あなた様が心配することは何もないのです」
そう言うとスレンは空になったタンブラーをそっと取り上げ、サイドテーブルに置く。
「心配しなくても大丈夫ですよ、レキウス様」
スレンがするりとベッドに入り込んでくる。
先日、十六歳になったばかりのレキウスだが、同じ年頃の少年たちと比べると華奢で小柄だった。
透けるような淡い金髪に、薄茶色の瞳。儚げで、弱々しい印象を受ける。
離宮で幽閉されているにも等しい扱いだからだろうか、昔からレキウスは小さかった。
「フフッ。あったかい」
ベッドの中でスレンにしがみつきながら、レキウスは小さく笑う。
既に成人しているスレンは、家族から見捨てられたレキウスにとって実の家族よりも身近な存在だった。
「十六になったというのに、まだまだ子どもですね、レキウス様は」
そんなふうに言いながらもスレンは慣れたようにレキウスの体を抱きしめる。
「だって久しぶりなんだもの、スレンと一緒に眠るのは」
スレンが大好きだよ、とレキウスは囁く。
レキウスの秘密を一緒に守ってくれるスレンは、この寂しい離宮では保護者に等しかった。
スレンがいれば、レキウスは何も困ることはない。何も心配することはない。
秘密を知って尚、優しくしてくれるスレンのことが、レキウスは心の底から大好きだった。
もしかしたら、憧れに近い気持ちで慕っているのかもしれない。
「ありがとうございます、レキウス様」
淡々としかし、スレンは返すだけだ。
「スレン、もっとぎゅってして」
幼い子どものようにレキウスはスレンの体にしがみつく。
「こうですか?」
やや躊躇いがちにスレンはレキウスを抱きしめる腕に力を入れる。
「うん、そう」
抱きしめあった互いの体温が心地好い。レキウスはもぞもぞと動いて体がしっくりと収まる位置を探した。落ち着ける位置に収まると、レキウスの足はちょうどスレンの足の間に挟み込まれるような格好になる。
「レキウス様、これはさすがに……」
スレンがレキウスから身を引こうとするのを、力いっぱいしがみついて離さない。
「安心するんだ、これが」
スレンの体温が、レキウスの精神安定剤でもあった。とても安心すると同時に落ち着けて、不安な夜はいつも求めてしまう。
スレンの胸に自身の頭をぐいぐいと押し付け、レキウスは甘えるように縋り付く。
以前、教育係としてこの離宮に滞在していたオルバン司教とのいざこざ以来、レキウスはすっかり子ども返りをしてしまったようだ。事ある毎にスレンに抱きついて、安心感を求めるようになっていた。
「……ねえ、スレン。触ってくれないの?」
レキウスは辛抱強く待っている。
スレンのほうから触れてきてくれるのを。
「滅相もございません。わたくしは……」
言いかけたスレンの唇に自身のてのひらを押し当て、レキウスはやや強い口調で言った。
「スレン、これは命令だよ」
上擦り、掠れた声でレキウスが告げる。声が震えているのは、少しだけ緊張しているからだ。
「かしこまりました、レキウス様」
淡々とした事務的な声でスレンは返すと、レキウスの体に手を這わせる。
レキウスは嬉しそうに喉を鳴らし、スレンの背に腕を回した。
普段は年齢よりも幼く見えるレキウスだったが、この時ばかりは色香漂う妖しい顔つきになる。すーっと細められた瞳は獲物を狙う眼差しそのものだ。
「スレンが、好き。大好きだよ」
オルバン司教の行き過ぎた折檻から救ってくれたスレンは、レキウスにとっては神にも等しい存在だ。もちろんスレンを保護者として頼りにしきっているということもあるが、秘密を共に守ってくれる共犯者めいた絆が二人の間にはあった。
スレンが丁寧な手つきでレキウスの着ているものを一枚いちまいはぎ取っていく。
夜着の下に隠されたレキウスの身体は、ほっそりとしていた。骨の浮いた痩せた体に、ふっくらと膨らみを感じさせる二つの乳房。ほっそりとした腰つき。そのさらに下には、男にしては小さすぎる陰茎が睾丸の間に挟まるようにして収まっている。睾丸はぽってりとして、まるで大きすぎる陰唇のような形をしていた。
自分の身体が普通でないということは、レキウス自身、嫌というほど理解している。
オルバン司教から散々そのことを指摘され、虐められてきたからだ。それに、オルバン司教ともスレンとも自身の体は異なっている。
「後ろから失礼します」
スレンはそう言うと素早くレキウスの身体の向きを変え、背後から抱きしめてくる。
「あっ……」
後ろから手を回したスレンが慎ましやかなふたつの膨らみを両手で揉みしだくと、レキウスは小さく声を上げた。丁寧に切りそろえられた爪で乳首をカリカリと引っかかれ、固くしこっていくのを感じるとレキウスは体をもぞもぞと動かす。
「そこっ……ばっか、り……」
かさついたスレンのてのひらが乳房を包み込み、固くなった先端を転がすと乳首がジンジンと痺れるような感じがしてくる。
「あ……はぁ……き、もち……い……」
もぞ、と腰をよじるとレキウスの太腿にスレンの股間が当たる。夜着を身に着けたままのスレンの性器が硬くなっていることは布越しにもはっきりとわかった。
「スレ、ン……」
レキウスはわざと臀部をスレンの股間に押し付けていく。
スレンがレキウスに挿入することはなかった。どんなにレキウスが強く望んでも、スレンは主従の一線を越えるようなことはしなかった。ギリギリのところで自身を律する術を覚えているようだった。
レキウスにしてみれば、そんなスレンの生真面目なところがもどかしくもあり、嬉しくもある。大切にされているようで、安心できる。だが、物足りなくもある。
オルバン司教に折檻をされていた過去を考えれば、もうとっくにレキウスの身体は清らかではなくなっているというのに。
それとも、スレンはそんな穢されたレキウスの身体には興味などないということななのだろうか。
「スレン、もっと……触って、スレン……」
胸を愛撫するスレンの手を取り、レキウスは自身の股の間へと導く。
一般的な男性性器がどのぐらいの大きさをしているのかレキウスにはわからなかったが、オルバン司教が使っていた張型は姓奴隷を躾けるための特別製だったと聞かされてきた。今、布越しに感じるスレンのものはそれよりも一回りほど小さいように思うが、オルバン司教の赤黒くて臭い生チンポよりは大きいように思われた。
スレンの手を自身の小さな性器に押し付け、レキウスは囁く。
「ここ、も……」
触って、と掠れた声で懇願すると、スレンの手がすぐにレキウスの性器に優しく触れてくる。
「レキウス様のここは、お可愛らしいですね」
じれったいような手つきでスレンの手がレキウスのペニスに触れてくる。オルバン司教からは淫乱雌犬のペニクリと散々ののしられ、痛めつけられたペニスを、スレンの手は大切なものであるかのように扱ってくれる。
もう少し強く触れてくれてもいいのにと思わずにいられない時もあるのに、それでも頑なにスレンは乱暴なことをしないように気遣ってくれている。その気遣いが感じられるからこそ、レキウスはいつももどかしく思うのだ。
「そ……言わな…で、もっと……触って」
スレンの手はそれでも、優しい。そっとペニスの皮を剥くと先端の敏感になった部分をゆるゆると扱くばかりだ。
「あっ、あっ……」
先端から蜜をたらたらと零しながらレキウスは腰をさらに押し付けていく。
「触っ、て……後ろもっ……スレン、お願っ……!」
後孔に入れてほしいとレキウスがどんなに啜り泣いてねだっても、スレンは頑なに挿入を拒んでいる。泣きじゃくって何度もイかされ、疲れて果てて泥のように眠りに落ちるのが毎回の儀式のようになっている。
「挿れ、て……」
掠れる声でうわごとのように繰り返すレキウスの身体をぎゅっと抱きしめ、スレンは背中をトン、トン、と優しく叩いてくれる。
これではまったくの子ども扱いだし、レキウスはそんな扱いをして欲しいとは願っていないのだが。
「わたくしはレキウス様とこうしているだけで幸せなのですよ」
そっと呟いたスレンの言葉はしかし、疲れきって泣きながら眠りに落ちたレキウスの耳には届かなかった。
ああ、まただ、とレキウスは思う。
キリキリと痛む胃のあたりに手を置き、眉間に皺を寄せる。
痛みは、心因性のものだと医者からは言われていた。心の奥底に眠る不安が顕在化したものだろうと、そんなふうに聞かされている。
不安なら、産まれた時から山とあった。
第三王子という自身の不安定な立場。守ってくれるはずの母は幼い頃に亡くなった。レキウスは母親の顔すら覚えていない。父王からは疎んじられ、何より自身に関する重大な秘密が大きな恐怖となって常にレキウスにのしかかってきている。
レキウスの秘密を知るのは、侍従のスレンただ一人だ。
父王には顔も名前も憶えられていないレキウスは、二人の兄王子たちとは違い離宮の片隅にひっそりと暮らしていた。
権力争いから最も遠い王子。忘れられた王子。それがレキウスだった。
しばらくベッドの中でもぞもぞとしていると、ドアの向こうから声がかかった。
「眠れませんか?」
穏やかなスレンの声に、レキウスは今にも泣き出しそうな顔になる。
「痛いんだ……」
胃のあたりを押さえながらレキウスが言うと、スレンが「失礼します」とドアを開けて室内へ入ってくる。
「こちらをどうぞ。少しは落ち着かれるかと思います」
温めたヤギの乳に蜂蜜をスプーン一杯。スレンの用意する飲み物はいつもレキウスの心を温め、痛みを和らげてくれる。
「ありがとう」
手渡されたタンブラーを両手で包み込みながらレキウスは口をつける。
「甘い……」
蜂蜜の甘さに、それまで潜めていた息をホッと吐き出し、レキウスは微かに笑みを浮かべた。
「スレン、一緒に寝てくれる?」
一人は、怖い。
一人は、嫌だ。
おぞましい過去の記憶が暗闇の中から近付いてくる、そんな感じがしてレキウスは両腕で自身の体をぎゅっと抱きしめる。
「怖いんだ。暗がりの中からアイツが出てきて、今にもベッドに潜り込んできそうな感じがして……」
「レキウス様。あの男は、もうここにはいません。あなた様が心配することは何もないのです」
そう言うとスレンは空になったタンブラーをそっと取り上げ、サイドテーブルに置く。
「心配しなくても大丈夫ですよ、レキウス様」
スレンがするりとベッドに入り込んでくる。
先日、十六歳になったばかりのレキウスだが、同じ年頃の少年たちと比べると華奢で小柄だった。
透けるような淡い金髪に、薄茶色の瞳。儚げで、弱々しい印象を受ける。
離宮で幽閉されているにも等しい扱いだからだろうか、昔からレキウスは小さかった。
「フフッ。あったかい」
ベッドの中でスレンにしがみつきながら、レキウスは小さく笑う。
既に成人しているスレンは、家族から見捨てられたレキウスにとって実の家族よりも身近な存在だった。
「十六になったというのに、まだまだ子どもですね、レキウス様は」
そんなふうに言いながらもスレンは慣れたようにレキウスの体を抱きしめる。
「だって久しぶりなんだもの、スレンと一緒に眠るのは」
スレンが大好きだよ、とレキウスは囁く。
レキウスの秘密を一緒に守ってくれるスレンは、この寂しい離宮では保護者に等しかった。
スレンがいれば、レキウスは何も困ることはない。何も心配することはない。
秘密を知って尚、優しくしてくれるスレンのことが、レキウスは心の底から大好きだった。
もしかしたら、憧れに近い気持ちで慕っているのかもしれない。
「ありがとうございます、レキウス様」
淡々としかし、スレンは返すだけだ。
「スレン、もっとぎゅってして」
幼い子どものようにレキウスはスレンの体にしがみつく。
「こうですか?」
やや躊躇いがちにスレンはレキウスを抱きしめる腕に力を入れる。
「うん、そう」
抱きしめあった互いの体温が心地好い。レキウスはもぞもぞと動いて体がしっくりと収まる位置を探した。落ち着ける位置に収まると、レキウスの足はちょうどスレンの足の間に挟み込まれるような格好になる。
「レキウス様、これはさすがに……」
スレンがレキウスから身を引こうとするのを、力いっぱいしがみついて離さない。
「安心するんだ、これが」
スレンの体温が、レキウスの精神安定剤でもあった。とても安心すると同時に落ち着けて、不安な夜はいつも求めてしまう。
スレンの胸に自身の頭をぐいぐいと押し付け、レキウスは甘えるように縋り付く。
以前、教育係としてこの離宮に滞在していたオルバン司教とのいざこざ以来、レキウスはすっかり子ども返りをしてしまったようだ。事ある毎にスレンに抱きついて、安心感を求めるようになっていた。
「……ねえ、スレン。触ってくれないの?」
レキウスは辛抱強く待っている。
スレンのほうから触れてきてくれるのを。
「滅相もございません。わたくしは……」
言いかけたスレンの唇に自身のてのひらを押し当て、レキウスはやや強い口調で言った。
「スレン、これは命令だよ」
上擦り、掠れた声でレキウスが告げる。声が震えているのは、少しだけ緊張しているからだ。
「かしこまりました、レキウス様」
淡々とした事務的な声でスレンは返すと、レキウスの体に手を這わせる。
レキウスは嬉しそうに喉を鳴らし、スレンの背に腕を回した。
普段は年齢よりも幼く見えるレキウスだったが、この時ばかりは色香漂う妖しい顔つきになる。すーっと細められた瞳は獲物を狙う眼差しそのものだ。
「スレンが、好き。大好きだよ」
オルバン司教の行き過ぎた折檻から救ってくれたスレンは、レキウスにとっては神にも等しい存在だ。もちろんスレンを保護者として頼りにしきっているということもあるが、秘密を共に守ってくれる共犯者めいた絆が二人の間にはあった。
スレンが丁寧な手つきでレキウスの着ているものを一枚いちまいはぎ取っていく。
夜着の下に隠されたレキウスの身体は、ほっそりとしていた。骨の浮いた痩せた体に、ふっくらと膨らみを感じさせる二つの乳房。ほっそりとした腰つき。そのさらに下には、男にしては小さすぎる陰茎が睾丸の間に挟まるようにして収まっている。睾丸はぽってりとして、まるで大きすぎる陰唇のような形をしていた。
自分の身体が普通でないということは、レキウス自身、嫌というほど理解している。
オルバン司教から散々そのことを指摘され、虐められてきたからだ。それに、オルバン司教ともスレンとも自身の体は異なっている。
「後ろから失礼します」
スレンはそう言うと素早くレキウスの身体の向きを変え、背後から抱きしめてくる。
「あっ……」
後ろから手を回したスレンが慎ましやかなふたつの膨らみを両手で揉みしだくと、レキウスは小さく声を上げた。丁寧に切りそろえられた爪で乳首をカリカリと引っかかれ、固くしこっていくのを感じるとレキウスは体をもぞもぞと動かす。
「そこっ……ばっか、り……」
かさついたスレンのてのひらが乳房を包み込み、固くなった先端を転がすと乳首がジンジンと痺れるような感じがしてくる。
「あ……はぁ……き、もち……い……」
もぞ、と腰をよじるとレキウスの太腿にスレンの股間が当たる。夜着を身に着けたままのスレンの性器が硬くなっていることは布越しにもはっきりとわかった。
「スレ、ン……」
レキウスはわざと臀部をスレンの股間に押し付けていく。
スレンがレキウスに挿入することはなかった。どんなにレキウスが強く望んでも、スレンは主従の一線を越えるようなことはしなかった。ギリギリのところで自身を律する術を覚えているようだった。
レキウスにしてみれば、そんなスレンの生真面目なところがもどかしくもあり、嬉しくもある。大切にされているようで、安心できる。だが、物足りなくもある。
オルバン司教に折檻をされていた過去を考えれば、もうとっくにレキウスの身体は清らかではなくなっているというのに。
それとも、スレンはそんな穢されたレキウスの身体には興味などないということななのだろうか。
「スレン、もっと……触って、スレン……」
胸を愛撫するスレンの手を取り、レキウスは自身の股の間へと導く。
一般的な男性性器がどのぐらいの大きさをしているのかレキウスにはわからなかったが、オルバン司教が使っていた張型は姓奴隷を躾けるための特別製だったと聞かされてきた。今、布越しに感じるスレンのものはそれよりも一回りほど小さいように思うが、オルバン司教の赤黒くて臭い生チンポよりは大きいように思われた。
スレンの手を自身の小さな性器に押し付け、レキウスは囁く。
「ここ、も……」
触って、と掠れた声で懇願すると、スレンの手がすぐにレキウスの性器に優しく触れてくる。
「レキウス様のここは、お可愛らしいですね」
じれったいような手つきでスレンの手がレキウスのペニスに触れてくる。オルバン司教からは淫乱雌犬のペニクリと散々ののしられ、痛めつけられたペニスを、スレンの手は大切なものであるかのように扱ってくれる。
もう少し強く触れてくれてもいいのにと思わずにいられない時もあるのに、それでも頑なにスレンは乱暴なことをしないように気遣ってくれている。その気遣いが感じられるからこそ、レキウスはいつももどかしく思うのだ。
「そ……言わな…で、もっと……触って」
スレンの手はそれでも、優しい。そっとペニスの皮を剥くと先端の敏感になった部分をゆるゆると扱くばかりだ。
「あっ、あっ……」
先端から蜜をたらたらと零しながらレキウスは腰をさらに押し付けていく。
「触っ、て……後ろもっ……スレン、お願っ……!」
後孔に入れてほしいとレキウスがどんなに啜り泣いてねだっても、スレンは頑なに挿入を拒んでいる。泣きじゃくって何度もイかされ、疲れて果てて泥のように眠りに落ちるのが毎回の儀式のようになっている。
「挿れ、て……」
掠れる声でうわごとのように繰り返すレキウスの身体をぎゅっと抱きしめ、スレンは背中をトン、トン、と優しく叩いてくれる。
これではまったくの子ども扱いだし、レキウスはそんな扱いをして欲しいとは願っていないのだが。
「わたくしはレキウス様とこうしているだけで幸せなのですよ」
そっと呟いたスレンの言葉はしかし、疲れきって泣きながら眠りに落ちたレキウスの耳には届かなかった。
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