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045 守護人機VS巨大おたまじゃくし、激突
しおりを挟む守護人機・大日如来と巨大おたまじゃくし。
長き眠りから醒めたロストテクノロジーと成長を続ける怪獣とが激突する。
ライブ中継したら、いい稼ぎになりそうな好カード。
全高は守護人機の方がちょい上回っているが、全長では巨大おたまじゃくしの方が大きい。なんといって尻尾の存在がデカい。
重量も見た感じだと、巨大おたまじゃくしの方がありそうだが、守護人機のパワーが半端ないことが戦闘開始直後に明らかとなる。
ずんずん近づいていった守護人機が、挨拶代わりとばかりにいきなり右フックを放つ。
ズババンと一撃!
これを横っ面にモロに喰らった巨大おたまじゃくし、殴られた箇所に拳の跡が刻まれ、体表全体がぶるるんと震えて波打ち、その身が大きく傾いで前足が浮き、危うく転倒しそうになったほど。
とてつもなく重たいゲンコツ。殴ったひょうしに塗装がごっそり剥がれる。中からあらわとなったのは、イボイボした突起のある鉄拳であった。
守護人機は続いて左の拳を見舞う。
的が大きいので、巨大おたまじゃくしはほとんどサンドバック状態だ。
第二撃目もクリーンヒット!
巨大おたまじゃくしの身が反対側へと大きく傾ぐ。
続いてあがってがら空きとなった顎へと守護人機のアッパーが放たれるも、これは不発に終わった。
殴られた反動を利用し、ぎゅるんと急速反転しては、お尻を向けた巨大おたまじゃくし。
直後にぶぅおんと振るわれたのは尻尾であった。
尾による横薙ぎ!
攻撃態勢へと入っていた守護人機は、とっさに腕を下げてガードの体勢を取ろうとするも、間に合わず。
巨大おたまじゃくしの尾による横殴りがモロに決まった。
もの凄い音がした。これまたきっと威力のある一撃。もしも軽トラだったら、二十メートル以上向こうまで派手に転がされているのではなかろうか。
そのため守護人機は倒されこそはしなかったものの、大きく後退を余儀なくされる。
第一ラウンドは互いに様子見にて、イーブンといったところか。
間合いが開いたところで、仕切り直し。
さして休憩を挟むこともなく第二ラウンドがスタートする。
今度は巨大おたまじゃくしの方から仕掛けた。
口を開け、でろりんと長い舌を出したとおもったら、それを鞭のように操ってはビシバシ! ビシバシ!
びゅん、びゅん、びゅびゅん――風が唸る。
舌はもの凄い速度かつ、変則的に伸び縮みしては、襲来する。
めったやたらと打ちまくり。乱打により暴力の嵐が吹き荒れる。
守護人機は両腕を上げては亀となりガード。
ひたすら殴られるばかりにて。
このため守護人機の塗装がみるみる剥がされていき、黒鋼の地肌が晒された。
大日如来のマスクも破れて、素顔があらわとなる。
え~と、しかし……なんていうか、微妙?
デザインが昭和初期のブリキのオモチャのロボットっぽくて、のっぺりメカメカしている。
まぁ、これはこれで好きな方は好きなのだろうけど……
事実、タケさんは「おぉ!」と興奮している。
でも、リアルロボットアニメ全盛期に育った僕としては、正直なところ「う~ん」
なんてことをぼんやり考えいたら、戦いに動きがあった。
タコ殴りにされるままであった守護人機が反撃。
飛んできた舌を左腕に絡ませては巻き込み、攻撃を止めたところで、ズイっと突き出したのは握った右の拳だ。
いったい何をするつもりなのかとおもったら、肘の辺りにてシュバババと火花があがり、肘から先の部分――前腕が射出される。
ロケットパンチ!
火を噴き猛然と飛んでいく鋼の拳。
この必殺技にタケさん大興奮、僕も仰天する。
舌を掴まれているので、巨大おたまじゃくしは逃げられない。
そこで巨大おたまじゃくしは、とっさにしゃがんでやり過ごそうとするも、こんもりした体ではちょっと無理があった。
おでこあたりにロケットパンチがめり込む。
掴まれていた舌がブチっと切れたことからして、威力は言わずもがな。
けど、その悪あがきが功を奏し、クリティカルヒットには至らない。
しゃがむ動作と、ぬるりとした体表、つるんとした頭部の形状などがいい具合に機能して、ロケットパンチの軌道をそらすことに成功する。
ロケットパンチは巨大おたまじゃくしでワンバウンドする形で、グングン上空へと飛んでいき、そして………………
ぷすん、火が消え推進力を失ったところで、ポトリと近くに落ちてきた。
落ちた腕をのそのそ回収に向かう守護人機。
あー、飛ばした腕ってば、自動で戻ってこないんだ。これには僕、ちょっとガッカリかも。
一方で舌を千切られて、ロケットパンチを喰らった巨大おたまじゃくしは、よほど痛かったらしく、ジタバタ悶絶していた。
うーん、これは……第二ラウンドは守護人機がやや優勢かなぁ。
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