神造小娘ヨーコがゆく!

月芝

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45 教えて、ラマンダ先生。その2

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 ラマンダ先生の特別授業なので、私は寄宿舎学校にお邪魔している。
 なお授業の際には先生と呼べと言われている。教育に関することになると、彼女はわりと厳格。
 本日は、この世界や社会の成り立ちなんぞについて教えてもらっている。
 先生の話によれば、ここでは魔法と科学が融合した魔導科文明が栄えているそうな。
 かつては魔法のみが主流であったのだが、これだと種族特性や個体差にかなり左右されることになりがち。
 魔力が高い一部の種族が台頭しやすく、全体的にみるとチカラ不足。どうしても国や社会としての発展に限界があった。一国だけ、一種族だけ、一部のヒトだけ、でどうにかなるほどこの世界は甘くない。厳しい環境やモンスターらの脅威に対抗するには、何かが足りない。
 その何かを補うかのように発展していったのが魔導科学である。
 魔力をより効率よく運用するには、どうすればいいのか? ということを考え、それを突き詰めていくうちに、現在のような形に収まったという。
 おかげで社会全体が底上げされて、みんながチカラをつけて、魔甲騎兵なども開発され、どうにかモンスターにも対抗出来るようになっていく。

「はい! ラマンダ先生。魔甲騎兵とか魔導車って、どうやって動いているんですか?」
「いい質問ですね、ヨーコ。ではこちらをご覧なさい」

 ラマンダ先生が取り出したのは手の平に収まるほどの小瓶。
 中には半透明のキレイな緑色の液体が入っている。

「これは錬金術によって生み出されたナレーブルという物質です」
「ナレーブル?」
「高密度のエネルギー体よ。これを内部にて循環させることで、魔導エンジンを動かしています」

 前の私の世界で云うところの、ガソリンみたいなモノかな。
 だが説明を聞くかぎり性能はこっちのほうが遥かに上。なにせ再生利用が可能だというのだから驚きだ。使用しているうちに、だんだんと色が薄くなっていき、透明になったら燃料切れ。でもまた処理を施したら緑色に戻るんだって。排ガスの類も出ないし、たとえ外部に漏れたところで害はなく自然に還るという。マジですごいな。

「あとは鉱山やモンスターの体内から採れる魔石ですね。これを媒体にして魔力と機械を連動させているのです」
「なるほど。だからモンスターから採れる魔石が、ギルドでも取引されているんですね」
「そういうことです。魔石は大きく、純度が高いほど価値があるとされています。それだけ大出力なチカラを媒介できますからね」
「ちなみにコレぐらいの大きさだと、どれぐらいの価値になりますか?」

 手でボーリングの玉ぐらいの大きさを表す。
 すると、おおよそながらラマンダ先生が示した金額は、目ん玉が飛び出るぐらいのモノであった。
 やっべー、モンスターアイランドの洞穴の住処にゴロゴロ転がってるよ。
 私、超お金持ちだった。どうしよう……。
 宝くじが当たって、急に大金持ちになったヒトの気持ちが、いまならばよくわかる。これは精神衛生上、とってもよろしくない。
 落ち着かなくてキョドキョドしていたら、先生に不審がられた。
 そのせいでハウンド師匠とラマンダ先生との関係に踏み込むことなく、なんとなく心がゾワゾワしたまま、二回目のラマンダさんの特別授業は終了した。


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