神造小娘ヨーコがゆく!

月芝

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15 ファーストコンタクト

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 無人島からなんとか脱出したというのに、辿り着いた先がまた無人島だった!
 とかいう酷いオチに、どうかなりませんように。
 切に祈りつつフクロウフォームを解く。
 黒猫フォームにて浜辺に寝そべる。
 無防備な少女の体だとちょっと不安なので。なにせこちらの方が安全という保障はどこにもない。無人島から無人島へという展開がなくとも、巨大モンスターの楽園からモンスターらの天国という可能性は、まだまだ否定できない。ゆえに用心するに越したことはないであろう。
 三日間ぶっ続けで動いていたので、さすがにしんどい。
 大の字になり、ここでしばし休憩することにする。
 お日様で温まった砂浜が心地いい。

 仮眠をとって元気になったところで、砂浜をテクテクと歩き始めた。
 浜沿いの西の方に煙があがっているのが見えたので、そちらへと向かう。
 よかった、ヒトが住んでいるっぽい。
 漁村でもあるのかな、と考えていたら本当にあった。
 ただし絶賛モンスターに襲われ中ではあったが……。どうやらあの煙は炊事のモノではなくて、襲撃のせいであったようだ。
 しかしこれはまたとないチャンスではなかろうか?
 村が大ピンチ。そこへ颯爽と黒猫の着ぐるみが現れる。みんなを救って感謝される。そのまま優しい村人たちに暖かく迎え入れられる。美味しいご飯を頂戴する。お風呂とかあったらとっても幸せ。ああ、人間っていいなと、私感激。

「ふふふふ、完璧なシナリオじゃないか! これで塩味生活からおさらばだぜ」

 俄然やる気となった私。ジャキンと猫爪を取り出して、村を襲っているモンスターどもへと背後から襲いかかる。
 敵はカキの殻を寄せ集めたみたいない体表をした四つ足モンスターの群れ。
 村の人たちも武器を手に頑張って応戦している。バンバン火の球みたいなのも飛ばしてるけど、あれって魔法かな? スゴイけどたいして効いちゃいないみたい。
 どうやらあの殻に防がれて、にっちもさっちもいかないご様子。
 だがしかーし、巨大モンスターアイランドにいた私からすれば、あんなものは紙装甲にも等しい。猫パンチ一発で木っ端みじん、猫キックでぐちゃりと潰れて、猫爪で殻ごと挽肉さ。ついでに猫目ビームも喰らっとけ。

 ほどなくして一方的な虐殺を終えた私が振り返ると、そこには瞳に恐怖の色を宿した村人たちの姿があった。
 あれ? なんだか予想していた反応と違うような……。
 ここは村の代表者さんみたいなのが出て来て、「どこのどなたが存じませんが助かりました。ありがとう」とかいう展開のハズなのに。
 そのかわりと言ってはなんだが、小さな女の子から「バケモノ」呼ばわりされちゃったよ。
 誤解だと一歩近づこうとした途端に、村人全員が悲鳴をあげて、蜘蛛の子を散らすように逃げて行く。

 そして誰もいなくなった。

 一人ポツンととり残された私に、ヒュルリと冷たい海風が吹く。
 あまりの衝撃に「ぐはっ」と呻いて両膝をつき、うな垂れる。異世界に来てからこっち、かつてないほどの大ダメージを心に受けた。
 居たたまれなくなった私は、「うにゃーん」と泣きながら村から逃げ出す。

 どこかへと続いてる街道らしき道に沿って駆けていく黒猫の着ぐるみ。
 悲しみのあまり夢中で駆けているうちに、日がとっぷりと暮れてしまう。
 野営にて、ちゃっかり持ってきたカキ殻のモンスターを実食。
 もぐもぐ、ごっくん。
 うん、味はそこそこ悪くない、干した貝柱っぽいな。
 涙で滲んだ塩味風味がよく合っている。



 
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