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99 大連合の樹立
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パンパンと空に魔法が打ち上げられ、楽隊がせっせと会場を盛り上げる。
これからの明るい未来を現すかのように、本日は晴天ナリ。
上空には紅と蒼のドラゴンが舞って花びらを降らせています。ちょっとしたサプライズ演出ですね。
新女王の即位、人間領と魔族領との恒久的平和のための大連合の樹立、その記念式典が王城前の広場にて盛大に行われています。
魔族領以外のすべての国家元首が一堂に介するなんて、人類史上始まって以来のことでしょう。本来ならば、ここに魔王様も列席なさるべきなのですが、せっかくの祝いの場が、阿鼻叫喚の地獄に変わっちゃうので、私が代理で出席しています。
じりじりと水面下にて文化侵略を続けた結果、現在の人間領における魔族への忌避感も随分と引き下げられました。やはり食と娯楽の二本立てで攻めたのは成功だったようですね。
塩メインの人間たちにとって、魔族のもたらす豊かな食生活は、まさに激震でした。完全に心をへし折ってしまいました。そして一度でもその味を知ってしまったからには、もう抜け出せません。魔族なんてと片意地を張る頑固さんも、腹の虫には勝てないのです。胃袋を掴まれたら男なんてイチコロ。女性はそもそも詰まらない意地なんて張らないので、実にあっさりと、良いモノは良いと受けれていました。
娯楽としては、魔族と人間とのラブロマンスや、冒険活劇などを扱った漫画や小説をバンバン出版しては大量に流して、ごっそりと意識改革をしてやりましたよ。メディア戦略による刷り込み洗脳、超怖いです。この分なら次の世代に移る頃には、魔族と人間との争いなんて、笑い話になっていることでしょう。
そんな感じで式典も中盤に差しかかった頃、会場に招かれざる客が現れました。
ボサボサに伸びた髪と髭モジャの、薄汚れた冒険者風の男。
禍々しい気を放つ抜き身の黒い刃を手に、こちらへと向かってきます。
落ち窪んだ眼孔の奥からのぞく目がギラリと周囲を睥睨し、駆けつけようとした衛兵らをひと睨みにて、威圧して動けなくしてしまいました。
この場には偉い人がたくさんいますし、晴れの席にトラブルはごめんです。
しょうがないので私がテクテクと出向きました。
「みんな、魔族に騙されているんだ。僕が、僕が過ちを正さなきゃ……」
ブツブツとそんな頓珍漢なことを口走っています。
この空気の読めない勘違い拗らせ系自己中っぷり、もしや貴方は!
「あれ? 委員長の山本くんですか、てっきりダンジョンでお亡くなりになっていたのかと思っていました」
「きみは……沢良宜さん。ちょうどよかった。すぐに君の洗脳を解いてあげるから。ほら、これを見て。ダンジョンの奥で手に入れたんだ。おかげで僕は凄く強くなった。いまなら魔王にだって、きっと勝てるよ」
どこか焦点の合わない白濁した瞳をこちらに向けながら、そんな戯言を口にする委員長。すでにすっかり闇落ち状態です。挙句に支離滅裂な言動にて、奇声を上げながらこちらに襲い掛かってきました。だから私は……。
オカッパ頭へと振り下ろされる鋭い一刀を、ひょいと躱し、至近距離から彼の額にズドンと一発。ちゃんとゴム弾を使用しています。一応は女神さまから救助依頼を受けていますので。
攻撃を受けてのけぞる体。しかし倒れません。伊達に長い間、単独にてダンジョンに潜っていたワケではなさそうですね。
ならばとすかさず、無防備に晒されている彼の股間にゴム弾を乱射。どこぞの達人もビックリの一秒間に二十連射です。男性にとっては悪夢の攻撃を受けて、山本くん悶絶。
痛みのあまりご自身の大切な場所を抑えて、うずくまる委員長のバックをシュタタと取って、今度はお尻の穴あたりに向かって、電気ビリビリ弾を、撃つべし、撃つべし、撃つべし。
剣を手放し白目を剥いて泡を吹いて倒れたところを、念の為に後頭部にズドンとかましておきました。もちろんゴム弾ですよ。
しかし私の攻撃はまだ終わりません。
天空へと手をかざし、声高に叫びます。
「カム、ヒア、魔王剣!」
私の声に合わせて、すかさず次元の彼方より空間を切り裂き、姿を現した漆黒の剣。
魔王が振るえば大陸がサクっと吹き飛ぶ史上最強の武器。
その強力無比な切っ先が転がっている委員長の剣をズブリと粉砕!!
対象は、あっという間に分子レベルで粉々になって、塵も残りませんでした。
「よし! 魔王剣、ゴー、ホーム」
「えっ、ちょっ、ちょっと待て。せっかくの出番なのに、あんまりではないか! あぁぁー」
私の命令により再び、次元の彼方へと姿を消した最強の剣。
なんか叫んでいたようですが、きっと気のせいでしょう。
これからの明るい未来を現すかのように、本日は晴天ナリ。
上空には紅と蒼のドラゴンが舞って花びらを降らせています。ちょっとしたサプライズ演出ですね。
新女王の即位、人間領と魔族領との恒久的平和のための大連合の樹立、その記念式典が王城前の広場にて盛大に行われています。
魔族領以外のすべての国家元首が一堂に介するなんて、人類史上始まって以来のことでしょう。本来ならば、ここに魔王様も列席なさるべきなのですが、せっかくの祝いの場が、阿鼻叫喚の地獄に変わっちゃうので、私が代理で出席しています。
じりじりと水面下にて文化侵略を続けた結果、現在の人間領における魔族への忌避感も随分と引き下げられました。やはり食と娯楽の二本立てで攻めたのは成功だったようですね。
塩メインの人間たちにとって、魔族のもたらす豊かな食生活は、まさに激震でした。完全に心をへし折ってしまいました。そして一度でもその味を知ってしまったからには、もう抜け出せません。魔族なんてと片意地を張る頑固さんも、腹の虫には勝てないのです。胃袋を掴まれたら男なんてイチコロ。女性はそもそも詰まらない意地なんて張らないので、実にあっさりと、良いモノは良いと受けれていました。
娯楽としては、魔族と人間とのラブロマンスや、冒険活劇などを扱った漫画や小説をバンバン出版しては大量に流して、ごっそりと意識改革をしてやりましたよ。メディア戦略による刷り込み洗脳、超怖いです。この分なら次の世代に移る頃には、魔族と人間との争いなんて、笑い話になっていることでしょう。
そんな感じで式典も中盤に差しかかった頃、会場に招かれざる客が現れました。
ボサボサに伸びた髪と髭モジャの、薄汚れた冒険者風の男。
禍々しい気を放つ抜き身の黒い刃を手に、こちらへと向かってきます。
落ち窪んだ眼孔の奥からのぞく目がギラリと周囲を睥睨し、駆けつけようとした衛兵らをひと睨みにて、威圧して動けなくしてしまいました。
この場には偉い人がたくさんいますし、晴れの席にトラブルはごめんです。
しょうがないので私がテクテクと出向きました。
「みんな、魔族に騙されているんだ。僕が、僕が過ちを正さなきゃ……」
ブツブツとそんな頓珍漢なことを口走っています。
この空気の読めない勘違い拗らせ系自己中っぷり、もしや貴方は!
「あれ? 委員長の山本くんですか、てっきりダンジョンでお亡くなりになっていたのかと思っていました」
「きみは……沢良宜さん。ちょうどよかった。すぐに君の洗脳を解いてあげるから。ほら、これを見て。ダンジョンの奥で手に入れたんだ。おかげで僕は凄く強くなった。いまなら魔王にだって、きっと勝てるよ」
どこか焦点の合わない白濁した瞳をこちらに向けながら、そんな戯言を口にする委員長。すでにすっかり闇落ち状態です。挙句に支離滅裂な言動にて、奇声を上げながらこちらに襲い掛かってきました。だから私は……。
オカッパ頭へと振り下ろされる鋭い一刀を、ひょいと躱し、至近距離から彼の額にズドンと一発。ちゃんとゴム弾を使用しています。一応は女神さまから救助依頼を受けていますので。
攻撃を受けてのけぞる体。しかし倒れません。伊達に長い間、単独にてダンジョンに潜っていたワケではなさそうですね。
ならばとすかさず、無防備に晒されている彼の股間にゴム弾を乱射。どこぞの達人もビックリの一秒間に二十連射です。男性にとっては悪夢の攻撃を受けて、山本くん悶絶。
痛みのあまりご自身の大切な場所を抑えて、うずくまる委員長のバックをシュタタと取って、今度はお尻の穴あたりに向かって、電気ビリビリ弾を、撃つべし、撃つべし、撃つべし。
剣を手放し白目を剥いて泡を吹いて倒れたところを、念の為に後頭部にズドンとかましておきました。もちろんゴム弾ですよ。
しかし私の攻撃はまだ終わりません。
天空へと手をかざし、声高に叫びます。
「カム、ヒア、魔王剣!」
私の声に合わせて、すかさず次元の彼方より空間を切り裂き、姿を現した漆黒の剣。
魔王が振るえば大陸がサクっと吹き飛ぶ史上最強の武器。
その強力無比な切っ先が転がっている委員長の剣をズブリと粉砕!!
対象は、あっという間に分子レベルで粉々になって、塵も残りませんでした。
「よし! 魔王剣、ゴー、ホーム」
「えっ、ちょっ、ちょっと待て。せっかくの出番なのに、あんまりではないか! あぁぁー」
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なんか叫んでいたようですが、きっと気のせいでしょう。
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