67 / 101
67 荒野の女冒険者
しおりを挟む
朝市に突撃をし、人混みをスイスイと躱して、目当ての品を仕入れまくっていたら、地元の人相の悪い方々に目をつけられました。おおかた大金を持った小娘がいるとでも思ったのでしょう。面倒なので無視して、買い物を続けていたらドンドンと数が増えていきます。気づいたら後ろに三十人近くのチンピラどもが、金魚のふんと化していました。
しょうがないのでわざと路地裏に誘い込んで、そこでセラーさんがボコボコにしました。一人、また一人と足元の影の中に引きずり込まれて、消えていきます。次に地面に姿を現したときには、酷い有様になっていました。人間の股関節って、あんな角度にも曲がるのですね、初めて知りましたよ。
害虫駆除を終えて、路地裏から出ていくと、地元の貴族らしき男性が兵を連れて現れました。なんでも「騒乱罪で逮捕する」だそうです。おかしいですよね、私は襲われた側だというのに……。
「もしかして、これってズルズルの関係ですか?」
露店の婆さまに訊ねたら、うんうんと頷いてくれました。どうやらヤクザ者が権力とくっついて、街でやりたい放題だったらしいです。呆れたのでバンと一発、貴族のボンボンに喰らわして黙らせました。大丈夫、ちゃんとゴム弾を使用しています。ちょっと頭蓋骨にヒビが入る程度で済むでしょう。
「次はない」
ドスの効いた声で凄んでみせますと、兵士らは倒れた主を担いで、慌てて逃げて行きました。やれやれですね。気を取り直して買い物の続きをしていると、やたらと声をかけられました。街の皆様、よほど鬱憤が溜まっていたようです。いっぱいサービスされて、かえって申し訳ないほどでした。
目的を済ませて、ホクホク顔で街を出て、しばらくするとズラリと周囲を取り囲まれました。賊やらチンピラやら兵士やらと、とにかく無頼の徒がワラワラと集まっております。どいつもこいつも欲望塗れの野卑た顔をして、舌なめずり。率いていたのは先ほど気絶させた貴族の方でした、どうやら面の皮が厚かったらしくって、ゴム弾の衝撃が思いのほか軽かったようです。
「さっきはよくもやってくれたな、今度は……」
パンっと彼の言葉を遮るように発射音を被せました。
次はないと言ったはずです。
だから今度のは実弾です。額に風穴を開けてコテっと倒れる貴族の男。あまりの突然のことに呆気に取られる一同を前にして、悠然とガトリング砲を取り出した私は、これをガリガリ放ちます。ものの一分ほどで討伐完了です。生き残りの止めは、セラーさんにお任せしました。これで運よく弾を躱せた方も、確実に地獄往きです。影に潜み闇に生きる女は、敵には容赦しないのです。涙ながらの命乞いなんか、せせら笑ってブスリです。
「やりますね、花蓮さま。人間相手だったら敵なしですよ」
「あくまで人間限定ですけどね。それに今回は特別です。お世話になった街の皆さんが困っているようでしたので。話によれば、若い女子をさらっては、酷いこともしていたみたいですし、コレなら殺っても心が痛みませんから。普段ならば逃げますからね」
「なるほど、ところでコレの始末はどうしましょうか? 放っておくとモンスターとかが寄ってきちゃいますよ」
「ああ、それならいいモノがあります」
そう言って創成魔法にて取り出したのは火炎放射器、うろ覚えですが、あまりに人道を外れ過ぎていて、悪魔の兵器と呼ばれているんだとか。ですが汚物を償却処分するには便利な道具です。山となったゴミが、あっという間に炎に包まれてしまいました。無駄に脂肪を溜め込んでいるせいか、よく燃える。
「さて、そろそろ引き上げるとしましょう。早く帰らないとリースさんがへそを曲げてしまいますから」
セラーさんに影に入ってもらい、私は土煙を巻き上げながら、猛然と走り出しました。
夜までには魔族領に戻りたいと思います。
だって追撃とか来たら面倒ですから。
しょうがないのでわざと路地裏に誘い込んで、そこでセラーさんがボコボコにしました。一人、また一人と足元の影の中に引きずり込まれて、消えていきます。次に地面に姿を現したときには、酷い有様になっていました。人間の股関節って、あんな角度にも曲がるのですね、初めて知りましたよ。
害虫駆除を終えて、路地裏から出ていくと、地元の貴族らしき男性が兵を連れて現れました。なんでも「騒乱罪で逮捕する」だそうです。おかしいですよね、私は襲われた側だというのに……。
「もしかして、これってズルズルの関係ですか?」
露店の婆さまに訊ねたら、うんうんと頷いてくれました。どうやらヤクザ者が権力とくっついて、街でやりたい放題だったらしいです。呆れたのでバンと一発、貴族のボンボンに喰らわして黙らせました。大丈夫、ちゃんとゴム弾を使用しています。ちょっと頭蓋骨にヒビが入る程度で済むでしょう。
「次はない」
ドスの効いた声で凄んでみせますと、兵士らは倒れた主を担いで、慌てて逃げて行きました。やれやれですね。気を取り直して買い物の続きをしていると、やたらと声をかけられました。街の皆様、よほど鬱憤が溜まっていたようです。いっぱいサービスされて、かえって申し訳ないほどでした。
目的を済ませて、ホクホク顔で街を出て、しばらくするとズラリと周囲を取り囲まれました。賊やらチンピラやら兵士やらと、とにかく無頼の徒がワラワラと集まっております。どいつもこいつも欲望塗れの野卑た顔をして、舌なめずり。率いていたのは先ほど気絶させた貴族の方でした、どうやら面の皮が厚かったらしくって、ゴム弾の衝撃が思いのほか軽かったようです。
「さっきはよくもやってくれたな、今度は……」
パンっと彼の言葉を遮るように発射音を被せました。
次はないと言ったはずです。
だから今度のは実弾です。額に風穴を開けてコテっと倒れる貴族の男。あまりの突然のことに呆気に取られる一同を前にして、悠然とガトリング砲を取り出した私は、これをガリガリ放ちます。ものの一分ほどで討伐完了です。生き残りの止めは、セラーさんにお任せしました。これで運よく弾を躱せた方も、確実に地獄往きです。影に潜み闇に生きる女は、敵には容赦しないのです。涙ながらの命乞いなんか、せせら笑ってブスリです。
「やりますね、花蓮さま。人間相手だったら敵なしですよ」
「あくまで人間限定ですけどね。それに今回は特別です。お世話になった街の皆さんが困っているようでしたので。話によれば、若い女子をさらっては、酷いこともしていたみたいですし、コレなら殺っても心が痛みませんから。普段ならば逃げますからね」
「なるほど、ところでコレの始末はどうしましょうか? 放っておくとモンスターとかが寄ってきちゃいますよ」
「ああ、それならいいモノがあります」
そう言って創成魔法にて取り出したのは火炎放射器、うろ覚えですが、あまりに人道を外れ過ぎていて、悪魔の兵器と呼ばれているんだとか。ですが汚物を償却処分するには便利な道具です。山となったゴミが、あっという間に炎に包まれてしまいました。無駄に脂肪を溜め込んでいるせいか、よく燃える。
「さて、そろそろ引き上げるとしましょう。早く帰らないとリースさんがへそを曲げてしまいますから」
セラーさんに影に入ってもらい、私は土煙を巻き上げながら、猛然と走り出しました。
夜までには魔族領に戻りたいと思います。
だって追撃とか来たら面倒ですから。
7
お気に入りに追加
1,641
あなたにおすすめの小説

【完結】特別な力で国を守っていた〈防国姫〉の私、愚王と愚妹に王宮追放されたのでスパダリ従者と旅に出ます。一方で愚王と愚妹は破滅する模様
岡崎 剛柔
ファンタジー
◎第17回ファンタジー小説大賞に応募しています。投票していただけると嬉しいです
【あらすじ】
カスケード王国には魔力水晶石と呼ばれる特殊な鉱物が国中に存在しており、その魔力水晶石に特別な魔力を流すことで〈魔素〉による疫病などを防いでいた特別な聖女がいた。
聖女の名前はアメリア・フィンドラル。
国民から〈防国姫〉と呼ばれて尊敬されていた、フィンドラル男爵家の長女としてこの世に生を受けた凛々しい女性だった。
「アメリア・フィンドラル、ちょうどいい機会だからここでお前との婚約を破棄する! いいか、これは現国王である僕ことアントン・カスケードがずっと前から決めていたことだ! だから異議は認めない!」
そんなアメリアは婚約者だった若き国王――アントン・カスケードに公衆の面前で一方的に婚約破棄されてしまう。
婚約破棄された理由は、アメリアの妹であったミーシャの策略だった。
ミーシャはアメリアと同じ〈防国姫〉になれる特別な魔力を発現させたことで、アントンを口説き落としてアメリアとの婚約を破棄させてしまう。
そしてミーシャに骨抜きにされたアントンは、アメリアに王宮からの追放処分を言い渡した。
これにはアメリアもすっかり呆れ、無駄な言い訳をせずに大人しく王宮から出て行った。
やがてアメリアは天才騎士と呼ばれていたリヒト・ジークウォルトを連れて〈放浪医師〉となることを決意する。
〈防国姫〉の任を解かれても、国民たちを守るために自分が持つ医術の知識を活かそうと考えたのだ。
一方、本物の知識と実力を持っていたアメリアを王宮から追放したことで、主核の魔力水晶石が致命的な誤作動を起こしてカスケード王国は未曽有の大災害に陥ってしまう。
普通の女性ならば「私と婚約破棄して王宮から追放した報いよ。ざまあ」と喜ぶだろう。
だが、誰よりも優しい心と気高い信念を持っていたアメリアは違った。
カスケード王国全土を襲った未曽有の大災害を鎮めるべく、すべての原因だったミーシャとアントンのいる王宮に、アメリアはリヒトを始めとして旅先で出会った弟子の少女や伝説の魔獣フェンリルと向かう。
些細な恨みよりも、〈防国姫〉と呼ばれた聖女の力で国を救うために――。

追放された引きこもり聖女は女神様の加護で快適な旅を満喫中
四馬㋟
ファンタジー
幸福をもたらす聖女として民に崇められ、何不自由のない暮らしを送るアネーシャ。19歳になった年、本物の聖女が現れたという理由で神殿を追い出されてしまう。しかし月の女神の姿を見、声を聞くことができるアネーシャは、正真正銘本物の聖女で――孤児院育ちゆえに頼るあてもなく、途方に暮れるアネーシャに、女神は告げる。『大丈夫大丈夫、あたしがついてるから』「……軽っ」かくして、女二人のぶらり旅……もとい巡礼の旅が始まる。

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

姉の陰謀で国を追放された第二王女は、隣国を発展させる聖女となる【完結】
小平ニコ
ファンタジー
幼少期から魔法の才能に溢れ、百年に一度の天才と呼ばれたリーリエル。だが、その才能を妬んだ姉により、無実の罪を着せられ、隣国へと追放されてしまう。
しかしリーリエルはくじけなかった。持ち前の根性と、常識を遥かに超えた魔法能力で、まともな建物すら存在しなかった隣国を、たちまちのうちに強国へと成長させる。
そして、リーリエルは戻って来た。
政治の実権を握り、やりたい放題の振る舞いで国を乱す姉を打ち倒すために……

パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
【完結】魔力がないと見下されていた私は仮面で素顔を隠した伯爵と結婚することになりました〜さらに魔力石まで作り出せなんて、冗談じゃない〜
光城 朱純
ファンタジー
魔力が強いはずの見た目に生まれた王女リーゼロッテ。
それにも拘わらず、魔力の片鱗すらみえないリーゼロッテは家族中から疎まれ、ある日辺境伯との結婚を決められる。
自分のあざを隠す為に仮面をつけて生活する辺境伯は、龍を操ることができると噂の伯爵。
隣に魔獣の出る森を持ち、雪深い辺境地での冷たい辺境伯との新婚生活は、身も心も凍えそう。
それでも国の端でひっそり生きていくから、もう放っておいて下さい。
私のことは私で何とかします。
ですから、国のことは国王が何とかすればいいのです。
魔力が使えない私に、魔力石を作り出せだなんて、そんなの無茶です。
もし作り出すことができたとしても、やすやすと渡したりしませんよ?
これまで虐げられた分、ちゃんと返して下さいね。
表紙はPhoto AC様よりお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる