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66 駆ける市松人形
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現在、私は魔族領を出て他国に赴いております。
ちゃんと魔王様の許可は貰っていますよ。影の中にはセラーさんが寝ています。宮原さんを奪取するという任務をこなした後も、何故だか彼女は私の影に入り浸っています。
「いいの?」と魔王様に訊いたら、「好きにさせておけ」ですって。なんて自由な職場なんでしょう。
今回のお供は彼女だけです。
彼女を影の中に潜ませて、市松人形は野を超え山を越え走ります。森の木々をスルスル躱し、立ち塞がるモンスターの股座を突破し、川の水面をシュタタタタッと駆け抜けちゃいますよ。括目せよ! この健脚! 逃げ専は伊達じゃないのです。およそ地に足がついている限りは、大体のところはイケちゃいますね。
こんな風に走っている目的は、魔族と繋がりのある某国にて、香辛料を仕入れるためです。
宮原百合さんを得て、ついに「カレープロジェクト」が本格的に始動しました。
料理長全面バックアップの下、彼女があちらで頑張っている間、私は異国にて使えそうな食材やら香辛料を、大量に確保することになりました。「とりあえず匂いを嗅いで、イケそうなモノは片っ端から持って帰ってこい」と宮原さんから厳命されています。これはカレーの味と匂いを知る私か彼女にしか出来ない仕事、そして彼女は厨房にて研鑽する使命があるために、必然的に私が動くことになりました。好都合なことに時間停止機能のついたアイテム収納鞄も持っていることですし、少々遠出をしても問題はありません。
人間領に行くので、青い肌のリースさんは今回もお留守番、ちょっとムクれてしまったので、新しい銃を創成魔法で作り出して渡したら、なんとか機嫌を直してくれました。鉄板をも撃ち抜く貫通力が気に入ったようで、良かったです。
国境の関所付近に近寄ると、何やらドンパチしていました。
五十匹ほどのモンスターの群れと、衛兵らが闘っています。しばらく見物していたのですが、なかなか終わりません。むしろ衛兵らが押され気味。このままだと入国するのが遅れてしまいます。イライラした私は銃を手に参戦しました。
シュタ―ッと群れの奥に入り込み、パイナップルをばら撒いて、ササっと逃げる。
チョドンと吹き飛んでいる側で、片っ端から脳天を狙い撃ち。
リースさんに付き合って射撃場に通っているせいか、すっかり銃器の扱いにも慣れました。
引き金って、本当に軽いんですよね。まるで命の重みなんて感じられません。
「ふっ、また、つまらぬモノを撃ってしまった」
銃口をフーフーしながら、決め台詞を口にしていると、衛兵らが駆け寄って来て、盛大に胴上げされちゃいました。そんなのいらないから、早く入国手続きをさせて下さい。
ちなみに今回の潜入での私の設定は、孤高の凄腕美人冒険者です。異論は受け付けません。ですから、モンスターどもをバッタバッタと狩りまくっても問題ありません。
身分証は宰相のブルタスさんが、どこかから手に入れてくれました。大人には色んな伝手があるんですって、さすがは出来る男は違います。
助けた衛兵たちから仕入れた情報によると、西の街に行けば毎日大きな朝市が立っており、たいていの品が手に入ることがわかりました。
もちろんダッシュで向かいます。
夕方には街に到着、すぐに宿をとり、明日の朝に備えました。
ちゃんと魔王様の許可は貰っていますよ。影の中にはセラーさんが寝ています。宮原さんを奪取するという任務をこなした後も、何故だか彼女は私の影に入り浸っています。
「いいの?」と魔王様に訊いたら、「好きにさせておけ」ですって。なんて自由な職場なんでしょう。
今回のお供は彼女だけです。
彼女を影の中に潜ませて、市松人形は野を超え山を越え走ります。森の木々をスルスル躱し、立ち塞がるモンスターの股座を突破し、川の水面をシュタタタタッと駆け抜けちゃいますよ。括目せよ! この健脚! 逃げ専は伊達じゃないのです。およそ地に足がついている限りは、大体のところはイケちゃいますね。
こんな風に走っている目的は、魔族と繋がりのある某国にて、香辛料を仕入れるためです。
宮原百合さんを得て、ついに「カレープロジェクト」が本格的に始動しました。
料理長全面バックアップの下、彼女があちらで頑張っている間、私は異国にて使えそうな食材やら香辛料を、大量に確保することになりました。「とりあえず匂いを嗅いで、イケそうなモノは片っ端から持って帰ってこい」と宮原さんから厳命されています。これはカレーの味と匂いを知る私か彼女にしか出来ない仕事、そして彼女は厨房にて研鑽する使命があるために、必然的に私が動くことになりました。好都合なことに時間停止機能のついたアイテム収納鞄も持っていることですし、少々遠出をしても問題はありません。
人間領に行くので、青い肌のリースさんは今回もお留守番、ちょっとムクれてしまったので、新しい銃を創成魔法で作り出して渡したら、なんとか機嫌を直してくれました。鉄板をも撃ち抜く貫通力が気に入ったようで、良かったです。
国境の関所付近に近寄ると、何やらドンパチしていました。
五十匹ほどのモンスターの群れと、衛兵らが闘っています。しばらく見物していたのですが、なかなか終わりません。むしろ衛兵らが押され気味。このままだと入国するのが遅れてしまいます。イライラした私は銃を手に参戦しました。
シュタ―ッと群れの奥に入り込み、パイナップルをばら撒いて、ササっと逃げる。
チョドンと吹き飛んでいる側で、片っ端から脳天を狙い撃ち。
リースさんに付き合って射撃場に通っているせいか、すっかり銃器の扱いにも慣れました。
引き金って、本当に軽いんですよね。まるで命の重みなんて感じられません。
「ふっ、また、つまらぬモノを撃ってしまった」
銃口をフーフーしながら、決め台詞を口にしていると、衛兵らが駆け寄って来て、盛大に胴上げされちゃいました。そんなのいらないから、早く入国手続きをさせて下さい。
ちなみに今回の潜入での私の設定は、孤高の凄腕美人冒険者です。異論は受け付けません。ですから、モンスターどもをバッタバッタと狩りまくっても問題ありません。
身分証は宰相のブルタスさんが、どこかから手に入れてくれました。大人には色んな伝手があるんですって、さすがは出来る男は違います。
助けた衛兵たちから仕入れた情報によると、西の街に行けば毎日大きな朝市が立っており、たいていの品が手に入ることがわかりました。
もちろんダッシュで向かいます。
夕方には街に到着、すぐに宿をとり、明日の朝に備えました。
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