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22 デモンストレーション
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圧倒的強者たる魔族を前にして、勘違いをして踊る哀れな道化たる人類。
話によると人類連合とかに参加していない国もあると聞きますし、一部の賢い人らは、とっくにこの事実に気がついているのかもしれません。
ブンブンとちょっかいをかけてくる人間は鬱陶しいのですが、魔族側としてはタダで訓練が出来るし、国内に向けても軍備を維持する名目になって、都合がいいという大人の事情もあるようです。
……人類側の思惑すらも完全に組み込まれていますね。どうやら勝敗はとっくに決していたようです。勇者組がわざわざ異世界から呼ばれた意味、ありませんでしたね。これは良心に従って黙っておくことにしましょう。うっかり報せて、自棄でも起こされたら困りますから。
「さぁ、こんどは花蓮が何か見せておくれよ」
うっかり考え事に没頭していたら、アルティナさんから、ついにお声がかかりました。
では僭越ながら、ちょっとだけ能力を披露するとしましょう。
あちらの王城でも深夜にこっそりと抜け出しては、いろいろと試していたのです。
どれだけ能力があろうとも、ちゃんと把握して、使いこなせなければ意味がありませんから。
お婆ちゃんメイドは夜が早いので徘徊し放題。おかげでしっかり自主訓練が積めましたので感謝です。
少し離れたところまで歩いていくと、私はどなたかに協力を仰ぎます。すると猫系の獣人の方が真っ先に手を挙げてくれましたので、彼女にお願いして適当に小石を投げてもらうことにしました。
「お嬢ちゃん、本当にいいんだね?」
「はい、お願いします」
「それじゃあ、いくよ!」
軽く手首のスナップを効かせただけの小石が、もの凄い速さで私に迫ります。それを最小限度の動きにて躱したのを皮切りに、次々と放たれる小石たち。しかしどれもカスリもしません。段々とムキになっていく猫姉さん。でも本番はここからです。私は少しずつ、彼女の方へと近づいていきます。これには彼女が驚いて思わず手を止めようとしましたが、「そのまま」と告げて石を投げさせ続けました。体術を主体にする猫の獣人は、それこそ目にも留まらないほどの勢いにて石礫を放ちます。狙いも正確です、きっとそういう類の技も習得なされているのでしょう。だが当たらない、ついに彼女の懐まで私が接近を果たしたことにより、デモンストレーションは終了です。
しんと静まり返る訓練場、おや? これは演目が地味過ぎたのでしょうか。
私が心配していると、パチパチと拍手をしながらフリージアさんが近寄ってきました。
「素晴らしい、キャラの攻撃を躱すだけでなく、平然と近寄って見せるだなんて。これは単なる反射神経や素早さだけでは説明がつきませんね。おそらくは未来予知に近い察知能力もあると推察されます」
どうやら蒼いドラゴンさんも、こっそりと立ち会われていたようです。敏い彼女についに私の三つ目の能力も見破られてしまいました。相手の能力を把握するという魔眼うんぬんではなくて、彼女自身の洞察力が凄すぎです。
それにしてもあの猫姉さんは、キャラさんというのですね。あとでお願いしたら触らせてくれるでしょうか、見事な毛並みです、是非ともモフモフしたい。
「まぁ、あくまで避けて、躱して、逃げるだけですから」
正直にそう告白すると、何故か居並ぶ魔族たちからドッと笑いが起こった。どうやら謙遜と冗談と受け取られたようです。
その後は他の方々にも請われて、ひたすら彼らの攻撃を躱すというお遊戯会に突入しました。いやー、亜人って案外、負けず嫌いが多いみたいで、徐々に熱を帯びていく訓練所の雰囲気が、ちょっと怖かったです。
話によると人類連合とかに参加していない国もあると聞きますし、一部の賢い人らは、とっくにこの事実に気がついているのかもしれません。
ブンブンとちょっかいをかけてくる人間は鬱陶しいのですが、魔族側としてはタダで訓練が出来るし、国内に向けても軍備を維持する名目になって、都合がいいという大人の事情もあるようです。
……人類側の思惑すらも完全に組み込まれていますね。どうやら勝敗はとっくに決していたようです。勇者組がわざわざ異世界から呼ばれた意味、ありませんでしたね。これは良心に従って黙っておくことにしましょう。うっかり報せて、自棄でも起こされたら困りますから。
「さぁ、こんどは花蓮が何か見せておくれよ」
うっかり考え事に没頭していたら、アルティナさんから、ついにお声がかかりました。
では僭越ながら、ちょっとだけ能力を披露するとしましょう。
あちらの王城でも深夜にこっそりと抜け出しては、いろいろと試していたのです。
どれだけ能力があろうとも、ちゃんと把握して、使いこなせなければ意味がありませんから。
お婆ちゃんメイドは夜が早いので徘徊し放題。おかげでしっかり自主訓練が積めましたので感謝です。
少し離れたところまで歩いていくと、私はどなたかに協力を仰ぎます。すると猫系の獣人の方が真っ先に手を挙げてくれましたので、彼女にお願いして適当に小石を投げてもらうことにしました。
「お嬢ちゃん、本当にいいんだね?」
「はい、お願いします」
「それじゃあ、いくよ!」
軽く手首のスナップを効かせただけの小石が、もの凄い速さで私に迫ります。それを最小限度の動きにて躱したのを皮切りに、次々と放たれる小石たち。しかしどれもカスリもしません。段々とムキになっていく猫姉さん。でも本番はここからです。私は少しずつ、彼女の方へと近づいていきます。これには彼女が驚いて思わず手を止めようとしましたが、「そのまま」と告げて石を投げさせ続けました。体術を主体にする猫の獣人は、それこそ目にも留まらないほどの勢いにて石礫を放ちます。狙いも正確です、きっとそういう類の技も習得なされているのでしょう。だが当たらない、ついに彼女の懐まで私が接近を果たしたことにより、デモンストレーションは終了です。
しんと静まり返る訓練場、おや? これは演目が地味過ぎたのでしょうか。
私が心配していると、パチパチと拍手をしながらフリージアさんが近寄ってきました。
「素晴らしい、キャラの攻撃を躱すだけでなく、平然と近寄って見せるだなんて。これは単なる反射神経や素早さだけでは説明がつきませんね。おそらくは未来予知に近い察知能力もあると推察されます」
どうやら蒼いドラゴンさんも、こっそりと立ち会われていたようです。敏い彼女についに私の三つ目の能力も見破られてしまいました。相手の能力を把握するという魔眼うんぬんではなくて、彼女自身の洞察力が凄すぎです。
それにしてもあの猫姉さんは、キャラさんというのですね。あとでお願いしたら触らせてくれるでしょうか、見事な毛並みです、是非ともモフモフしたい。
「まぁ、あくまで避けて、躱して、逃げるだけですから」
正直にそう告白すると、何故か居並ぶ魔族たちからドッと笑いが起こった。どうやら謙遜と冗談と受け取られたようです。
その後は他の方々にも請われて、ひたすら彼らの攻撃を躱すというお遊戯会に突入しました。いやー、亜人って案外、負けず嫌いが多いみたいで、徐々に熱を帯びていく訓練所の雰囲気が、ちょっと怖かったです。
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