162 / 226
161 災厄の魔女編 魔女のボヤキ
しおりを挟む
また失敗した!
それにしても使えない王子ね。あれだけお膳立てしてあげたというのに、巨人の珠を手に入れることすら出来ないだなんて、どれだけ無能なのよ……って、それはそう育つように私が仕向けたんだけど、まさかここまで酷いとは想定外だわ。子供のお使いすら、満足にこなせないだなんて。
一人の部屋で少女がいきり立っている。
しばらく文句を喚きながら、手近なクッションに当たり散らしていたが、じきに落ち着きを取り戻す。
まぁ、いいわ。あんなのでも後々には、内乱の火種になってくれるんだから、それ以上に高望みしたのが間違いだったのよ。はぁー、慣れって怖いわね。思い通りになることが当たり前だから、ついつい欲張ってしまう。いけない、いけない、欲をかいても碌な事がないんだから。ここは堅実に焦らずいきましょう。
それにしてもあんな化け物を止めた存在がいることの方が問題よ。古の巨人をどうにか出来る奴がいたなんて、どんな悪い冗談よ。
この前からチョロチョロと姿を現しては、邪魔をしているようだし、もしかして王家の犬かしら? でもそれほどの腕前だったら、私の耳にも情報が届いているはずなのに……。予言の書にもそれらしい記述は現れないし、一体何者なのかしら。
閃光姫と人形姫の正体はわかったけど、よりにもよって片方はあの魔王の孫娘だったなんて、なんの因果よ。両親が死んで、不幸続きの果てに心を閉ざし、狂った挙句に王国内を混乱させ、金色の悪魔と呼ばれるハズが、いつの間にか異名持ちの英雄になってるし。あそこの一家は、どこまで私の邪魔をすれば気が済むの! 本当に腹立たしい!
こんな事なら両親と一緒に、赤ちゃんも始末しておけばよかった。
こうなったら今からでも……、いや、今はまだ駄目ね。なんど予言の書に問いかけても、狙いが成就しそうな内容が浮かんでこないもの。
初期の予言の書は、勝手に文字が浮かんで来るのを、こちらが必死になって読み解かなければいけなかったが、使い続けて三百年を超えたあたりで能力が成長したのか、こちらの質問に、簡単な単語で答えてくれるようになった。相変わらず言葉足らずで愛想の悪い相棒だが、それでも随分とマシになった。
それに何度問いかけても、願いが適いそうな単語が一つも出てこない。
表示されるのは人形姫を始め流星だの銀閃だの金棒? はよくわからないけど、そんな単語ばかりが並んで表れる。これは彼女の周囲にいる連中のことだろう。
今回の一件でもかなり派手に王都で暴れていたみたいだし、迂闊にちょっかいを出したら、逆にやられちゃいそう。これだから体力馬鹿は嫌いなのよ。私みたいな頭脳労働者は繊細なんだから、あんなのに小突かれたすぐに死んでしまうわ。
くそっ! いっそのこと、とっとと嫁に行くなり、婿でも取るなりして家に篭ってくれないかしら。仮にも貴族の令嬢なんだから、家で大人しく刺繍でもしてろってぇの。
「あー、もう、本当に面倒くさい。どいつもこいつも死んじゃえー」
大声でそう叫ぶ少女。
ソファーにポフンと飛び乗り、ジタバタと手足を振って、小さな体全体を用いて最大限の不満を表明していた。
そんな事もあったという記憶が彼方へと消え去る前に、またしても予想されていた未来が変わり、少女は絶叫するハメになる。
「はぁ? なんで、なんで、なんで、あのボンクラが名君になってるのよっ!」
これまでの予言の書では『第三の王子、僻地、内乱』となっていたのが、朝、目を覚まして見てみれば『第三の王子、聖女、僻地、豊穣』となっていたのである。先の通りならば、馬鹿をやり過ぎて飛ばされた僻地にて、欝々として過ごした後に、反旗を翻して挙兵という筋が読めるのに、後の方を素直に解釈すれば、飛ばされるまでは同じだが、そこを立て直したと解釈できる。しかも聖女って誰よ? ここにきて新キャラ登場だなんて聞いてないわよ!
キーキー喚きながら、手をぶんぶん振り回していたら、うっかり机に手の小指をガンっとぶつけた。涙目になって悶絶する少女。あまりの痛さに声も出ない。だがおかげで冷静さを取り戻す。
……とりあえず、まずは情報を集めないとダメね。
あのバカ王子と聖女って奴について調べないと。そろそろ学園を卒業するはずだったと思うけど。まさか、さすがに留年とかしていないでしょうね。
少女は机の上にあったベルを鳴らし、家人を呼ぶ。
ここは自分の屋敷ではないが、彼女はそんなことは気にしない。何せ屋敷の持ち主からは、好きに使って構わないとの了承を得ているのだから、遠慮する方がよほど失礼というもの。
慌てて駆けつけてきた執事服の男が恭しく礼をとる。
少女は尊大な態度にて彼に命じた。
「ちょっと調べて欲しいことがあるんだけど……」
彼女が男に調査を命じた五日後、その日はちょうど学園にて卒業式があった翌日に当たるのだが、王子の婚約破棄騒動に合わせて、聖女の正体も判明する。
この報告を受けた少女が「何してくれとんじゃー」と、髪を振り乱して猛り狂ったはずみで、今度は机の角に足の小指をぶつけて悶絶するハメとなる。
その恨みも込めて予言の書に聖女抹殺を問う。
しかしこれまた極めて否定的な言葉しか返ってこない。
『聖女、毒殺、健康』『聖女、刺殺、健康』『聖女、事故、健康』こんな具合に思いつく限りの殺し方で問うてみたが、最後はすべて『健康』の二文字。
「健康健康健康って、どんだけ頑丈なのよ! 聖女って言ったら、普通は可憐で華奢なもんじゃないの? 丈夫過ぎるにもほどがあるでしょっ!」
正しくは頑丈ゆえに健康ではなくて、生来の強運ゆえに、あらゆる難事を撥ね退けているのだが、少女はその事に気がつかない。
思わず切れて暴れそうになる少女。しかし、そこでハタと動きを止めた。何故なら感情に身を任せると、痛い目をみるから。彼女はちゃんと学べる聡い女なのである。
「ふぅ、危ない危ない。また同じ過ちを繰り返すところだったわ。私は出来る女、この程度のことで取り乱してはいけないわ。とりあえず紅茶でも飲んで、落ち着くことにしましょう」
優雅な手つきにて湯気の立ったカップを口元へと近づける。
すると何故だか突然、取っ手の部分からピキリと嫌な音がした。
アッ、と思ったときにはすでに遅し、熱々の紅茶が膝の上に……。
屋敷中に少女の悲鳴が響き渡る。
しかし屋敷にいた数少ない家人たちは、その声を耳にしても誰一人彼女の部屋には向かおうとはしなかった。
くれぐれもベルの音がしない限り、近づかないようにと彼女から厳命されていたからである。
「ムッキー! 閃光姫といい、聖女といい、あいつ等絶対に許さない。この恨み晴らさずにおくべきかぁー」
紅茶が染みて熱々になったワンピースを脱ぎ散らかして喚く少女。
いつの間にやら災厄の魔女の恨みを、押し売りされていたクロアたち。
まさかそんな両者が近日中に相対することになろうとは……。
それにしても使えない王子ね。あれだけお膳立てしてあげたというのに、巨人の珠を手に入れることすら出来ないだなんて、どれだけ無能なのよ……って、それはそう育つように私が仕向けたんだけど、まさかここまで酷いとは想定外だわ。子供のお使いすら、満足にこなせないだなんて。
一人の部屋で少女がいきり立っている。
しばらく文句を喚きながら、手近なクッションに当たり散らしていたが、じきに落ち着きを取り戻す。
まぁ、いいわ。あんなのでも後々には、内乱の火種になってくれるんだから、それ以上に高望みしたのが間違いだったのよ。はぁー、慣れって怖いわね。思い通りになることが当たり前だから、ついつい欲張ってしまう。いけない、いけない、欲をかいても碌な事がないんだから。ここは堅実に焦らずいきましょう。
それにしてもあんな化け物を止めた存在がいることの方が問題よ。古の巨人をどうにか出来る奴がいたなんて、どんな悪い冗談よ。
この前からチョロチョロと姿を現しては、邪魔をしているようだし、もしかして王家の犬かしら? でもそれほどの腕前だったら、私の耳にも情報が届いているはずなのに……。予言の書にもそれらしい記述は現れないし、一体何者なのかしら。
閃光姫と人形姫の正体はわかったけど、よりにもよって片方はあの魔王の孫娘だったなんて、なんの因果よ。両親が死んで、不幸続きの果てに心を閉ざし、狂った挙句に王国内を混乱させ、金色の悪魔と呼ばれるハズが、いつの間にか異名持ちの英雄になってるし。あそこの一家は、どこまで私の邪魔をすれば気が済むの! 本当に腹立たしい!
こんな事なら両親と一緒に、赤ちゃんも始末しておけばよかった。
こうなったら今からでも……、いや、今はまだ駄目ね。なんど予言の書に問いかけても、狙いが成就しそうな内容が浮かんでこないもの。
初期の予言の書は、勝手に文字が浮かんで来るのを、こちらが必死になって読み解かなければいけなかったが、使い続けて三百年を超えたあたりで能力が成長したのか、こちらの質問に、簡単な単語で答えてくれるようになった。相変わらず言葉足らずで愛想の悪い相棒だが、それでも随分とマシになった。
それに何度問いかけても、願いが適いそうな単語が一つも出てこない。
表示されるのは人形姫を始め流星だの銀閃だの金棒? はよくわからないけど、そんな単語ばかりが並んで表れる。これは彼女の周囲にいる連中のことだろう。
今回の一件でもかなり派手に王都で暴れていたみたいだし、迂闊にちょっかいを出したら、逆にやられちゃいそう。これだから体力馬鹿は嫌いなのよ。私みたいな頭脳労働者は繊細なんだから、あんなのに小突かれたすぐに死んでしまうわ。
くそっ! いっそのこと、とっとと嫁に行くなり、婿でも取るなりして家に篭ってくれないかしら。仮にも貴族の令嬢なんだから、家で大人しく刺繍でもしてろってぇの。
「あー、もう、本当に面倒くさい。どいつもこいつも死んじゃえー」
大声でそう叫ぶ少女。
ソファーにポフンと飛び乗り、ジタバタと手足を振って、小さな体全体を用いて最大限の不満を表明していた。
そんな事もあったという記憶が彼方へと消え去る前に、またしても予想されていた未来が変わり、少女は絶叫するハメになる。
「はぁ? なんで、なんで、なんで、あのボンクラが名君になってるのよっ!」
これまでの予言の書では『第三の王子、僻地、内乱』となっていたのが、朝、目を覚まして見てみれば『第三の王子、聖女、僻地、豊穣』となっていたのである。先の通りならば、馬鹿をやり過ぎて飛ばされた僻地にて、欝々として過ごした後に、反旗を翻して挙兵という筋が読めるのに、後の方を素直に解釈すれば、飛ばされるまでは同じだが、そこを立て直したと解釈できる。しかも聖女って誰よ? ここにきて新キャラ登場だなんて聞いてないわよ!
キーキー喚きながら、手をぶんぶん振り回していたら、うっかり机に手の小指をガンっとぶつけた。涙目になって悶絶する少女。あまりの痛さに声も出ない。だがおかげで冷静さを取り戻す。
……とりあえず、まずは情報を集めないとダメね。
あのバカ王子と聖女って奴について調べないと。そろそろ学園を卒業するはずだったと思うけど。まさか、さすがに留年とかしていないでしょうね。
少女は机の上にあったベルを鳴らし、家人を呼ぶ。
ここは自分の屋敷ではないが、彼女はそんなことは気にしない。何せ屋敷の持ち主からは、好きに使って構わないとの了承を得ているのだから、遠慮する方がよほど失礼というもの。
慌てて駆けつけてきた執事服の男が恭しく礼をとる。
少女は尊大な態度にて彼に命じた。
「ちょっと調べて欲しいことがあるんだけど……」
彼女が男に調査を命じた五日後、その日はちょうど学園にて卒業式があった翌日に当たるのだが、王子の婚約破棄騒動に合わせて、聖女の正体も判明する。
この報告を受けた少女が「何してくれとんじゃー」と、髪を振り乱して猛り狂ったはずみで、今度は机の角に足の小指をぶつけて悶絶するハメとなる。
その恨みも込めて予言の書に聖女抹殺を問う。
しかしこれまた極めて否定的な言葉しか返ってこない。
『聖女、毒殺、健康』『聖女、刺殺、健康』『聖女、事故、健康』こんな具合に思いつく限りの殺し方で問うてみたが、最後はすべて『健康』の二文字。
「健康健康健康って、どんだけ頑丈なのよ! 聖女って言ったら、普通は可憐で華奢なもんじゃないの? 丈夫過ぎるにもほどがあるでしょっ!」
正しくは頑丈ゆえに健康ではなくて、生来の強運ゆえに、あらゆる難事を撥ね退けているのだが、少女はその事に気がつかない。
思わず切れて暴れそうになる少女。しかし、そこでハタと動きを止めた。何故なら感情に身を任せると、痛い目をみるから。彼女はちゃんと学べる聡い女なのである。
「ふぅ、危ない危ない。また同じ過ちを繰り返すところだったわ。私は出来る女、この程度のことで取り乱してはいけないわ。とりあえず紅茶でも飲んで、落ち着くことにしましょう」
優雅な手つきにて湯気の立ったカップを口元へと近づける。
すると何故だか突然、取っ手の部分からピキリと嫌な音がした。
アッ、と思ったときにはすでに遅し、熱々の紅茶が膝の上に……。
屋敷中に少女の悲鳴が響き渡る。
しかし屋敷にいた数少ない家人たちは、その声を耳にしても誰一人彼女の部屋には向かおうとはしなかった。
くれぐれもベルの音がしない限り、近づかないようにと彼女から厳命されていたからである。
「ムッキー! 閃光姫といい、聖女といい、あいつ等絶対に許さない。この恨み晴らさずにおくべきかぁー」
紅茶が染みて熱々になったワンピースを脱ぎ散らかして喚く少女。
いつの間にやら災厄の魔女の恨みを、押し売りされていたクロアたち。
まさかそんな両者が近日中に相対することになろうとは……。
1
お気に入りに追加
359
あなたにおすすめの小説
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
御者のお仕事。
月芝
ファンタジー
大陸中を巻き込んだ戦争がようやく終わった。
十三あった国のうち四つが地図より消えた。
大地のいたるところに戦争の傷跡が深く刻まれ、人心は荒廃し、文明もずいぶんと退化する。
狂った環境に乱れた生態系。戦時中にバラ撒かれた生体兵器「慮骸」の脅威がそこいらに充ち、
問題山積につき夢にまでみた平和とはほど遠いのが実情。
それでも人々はたくましく、復興へと向けて歩き出す。
これはそんな歪んだ世界で人流と物流の担い手として奮闘する御者の男の物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
私のお父様とパパ様
棗
ファンタジー
非常に過保護で愛情深い二人の父親から愛される娘メアリー。
婚約者の皇太子と毎月あるお茶会で顔を合わせるも、彼の隣には幼馴染の女性がいて。
大好きなお父様とパパ様がいれば、皇太子との婚約は白紙になっても何も問題はない。
※箱入り娘な主人公と娘溺愛過保護な父親コンビのとある日のお話。
追記(2021/10/7)
お茶会の後を追加します。
更に追記(2022/3/9)
連載として再開します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる