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131 学園編 ティプールの事情
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ダンジョンの最深部に広がる穏やかな草原の世界。
その中にポツンと建つ一軒家。
扉の奥から姿を現したのは黒髪を結わえた女性。
小股の切れ上がったいい女。
こんな人が小料理屋をやっていたら、オレはきっと足繁く通うことになるであろう。
おっとりとした雰囲気を眺めているだけで、こっちの気分までほんわかしてくる。どこか陽だまりにも似た居心地よさに、つい流されそうになったところで、ハタと思い留まる。
ここは未踏派ダンジョンの百階層目、恐らくは最終到達地点、そしてそこにいるのがこの女性だということは、彼女こそがダンジョンの主ということになるのでは?
《危ない危ない。素敵な容姿に惑わされて、すっかり油断するところであった。とりあえずちゃんと見極めねば。まずは彼女をしっかりと視てみるとしよう》
視覚に意識と魔力を集中し、視る。
そしてオレは激しく後悔することになった。
まるで底が見えない。奈落を覗き込んでいるかのような錯覚に襲われ、頭がくらり。
圧倒的規模の違いに打ちのめされる。
空から零れ落ちた雨粒が、大海を理解できる道理がない。
夜空を駆ける流れ星ごときが、大宇宙の壮大さを把握できる道理がない。
それはもう、比較という表現を使うのもおこがましいぐらいに、遥か彼方の世界線よりもなお、ずっと遠い存在。
オレはこの感覚を知っている。
かつて死の森で逢ったことがある、間違いない。
この女性は…………、ドラゴンだ。
正体に気付いてしまったオレは、縮み上がらんばかりに驚いた。
だがここで取り乱して、彼女の機嫌を損ねたらマズイと考えて、なんとか踏ん張った。
いっそのこと相手にしないで追い出してくれたら良かったのに、何故だか歓迎されてしまった。
オレは必死になって自分が生き残る道を模索する。そして閃いた。
今こそ前世のおっさんの記憶が、真から役に立つとき。
かつて営業で鍛えた挨拶とご機嫌伺いの技術を、ここで活用せずして、いつ使うというのか。
お土産は気に入ってくれたみたいで、ホクホク顔でお茶を淹れるために、キッチンへと向かった彼女。
結わえた黒髪の後ろ姿が、どことなく機嫌がいいように思える。とりあえず第一段階は成功と言えよう。あとは適当に話を合わせて、穏便なうちに撤退、これしかあるまい。
オレはきっと生き残ってみせる。
生きてクロアのところに帰るんだ。
「……でね、しつこいのなんのって。『オレ様のモノになれよ。可愛がってやるぜ』とかいう恥ずかしい台詞を、堂々と口にするんですよ。いくら興味がないって言っても『照れんなよ』とか盛大な勘違いをするし。逃げたら追っかけてくるし、本っ当に気持ち悪い。だからドラゴンの男性って嫌いなんです」
《あー、なまじっか自分に自信があるからこその勘違いですね、ソレって》
「そうなんですよ。力を誇示すれば、すべての女がひれ伏すとでも思っているんですかねぇ」
《女は男のここに弱い! とか思い込んじゃってるんですね。当人は頑張って自己アピールをしているつもりなんでしょうけど、完全に空回りですから》
「そうなんですよ。ムキムキの胸筋とかピクピクされても、ちっとも嬉しくないんです。ブレスで森を焼き払ってのドヤ顔とか、意味がわかりません。そのせいで犠牲になった子たちが、もう気の毒で気の毒で……」
先ほどまでの決死の覚悟もどこへやら、オレはただいまドラゴンの化身である、黒髪の女性とお茶を楽しんでいる。薫る紅茶と美味しいお菓子に、一緒になって舌鼓を打つうちに、オレたちはすっかり打ち解けた。
凄いぜウチの料理長、ドラゴンをも虜にするだなんて! もしもスーラが食べられるのならば、オレはアンタに調理してもらいたい。そして美味しく召し上がって欲しい。
凄いといえば彼女も流石の究極生物。
なにせ触手回線を開くことなく、子機の分体なしでもオレと普通に会話をしている。どうやら念話みたいな能力らしいのだが、原理は本人にもわかっていないのだとか。もしも分かっていたら、ご教授戴きたかったのに残念である。
彼女の名前はティプールさん、黒いドラゴンの雌だ。歳は秘密とのこと。
そして先ほどから盛大に愚痴りまくっている理由を、端的に言えば「モテ過ぎる」から。
人間の女に変化した状態でも、滲み出る楚々とした艶っぽさ、優しくすべてを受け入れてくれそうな包容力、一緒にいるだけで傷ついた魂が癒されるかのような柔らかな雰囲気。
スーラのオレですら、初見でクラっときた魅力溢れるティプールさん。
本来の姿であるドラゴンになったら、その魅力は留まることを知らない。
ただでさえモテ要素満載なところに、フェロモンまでもがムンムンになっちゃうんだと。
これに雄のドラゴンたちは、もう辛抱堪らんと群がっては言い寄って来る。
群がると言っても個体数はそんなにいないのだが、ここで忘れてはいけないのが、彼らがこの世界で最強の生命体だということ。
女を口説くのに自然破壊をしては自己アピール。ライバルと揉めては周囲の迷惑も顧みずに、暴れてやはり環境破壊を繰り返す。
見かねた彼女がとち狂った雄どもに「私のために争わないで」と必死に訴えれば、「お前はオレが守る!」とか言い出す始末。
「誰とも付き合うつもりはないの」
そう声高に叫んでも信じてもらえない。
困ったティプールさんが、女友達に相談すれば「モテ自慢か! なんて嫌味な女!」と相手を怒らせてしまい、友情が儚く散った。
断っても断っても、どれだけ本気で嫌がっても、まるで話が通じない。行く先々で現れては、男どもが迷惑行為を繰り返す。こんな騒ぎが数千年単位で続くのだ。
これにはティプールさんも、ホトホト疲れてしまった。
見かねた神竜が、そんな彼女の潜伏先にと勧めたのが、ちょうど程よく育っていたダンジョンの奥。
ドラゴンの巨体のままでは内部には入れないが、ティプールさんならば人型になれるので問題なし。もちろん他の雄どもも変身は出来る。しかし無駄にプライドの高い彼らは、自分らよりも遥かに劣る存在を模したような格好になることなんて、絶対にやりたくない。うっかり化けようものならば、他の男どもから何を言われるかわかったもんじゃない。仲間内で恥じをかく。そんな事は誇り高いドラゴンの男として、到底受け入れられやしない。
かくして彼女は、ダンジョンの最深部に安住の地を得たのである。
それ以来、ここに引き篭り続けて幾星霜。
スローライフを大いに満喫していたら、気づけば彼女の膨大な魔力の影響を受けて、ダンジョンもすくすく成長して、今では百階層にまで到達するほどに立派になった。
ダンジョンが途中から凶悪さを増していたのは、どうやら元となったティプールさんの負の感情の発露のようだ。
魔素の濃度を上げまくって、強大なモンスターを放ち、灼熱地獄を出現させてまで、阿呆な雄どもを拒絶したいという、彼女の願望にダンジョンが応えた結果がアレなのである。
きっとこのダンジョンは、この先もずっと未踏破のままであろう。
よしんば最深部まで辿り着いたところで、待っているラスボスは黒いドラゴン。
……色んな意味で、本当に酷いダンジョンだと思う。
その中にポツンと建つ一軒家。
扉の奥から姿を現したのは黒髪を結わえた女性。
小股の切れ上がったいい女。
こんな人が小料理屋をやっていたら、オレはきっと足繁く通うことになるであろう。
おっとりとした雰囲気を眺めているだけで、こっちの気分までほんわかしてくる。どこか陽だまりにも似た居心地よさに、つい流されそうになったところで、ハタと思い留まる。
ここは未踏派ダンジョンの百階層目、恐らくは最終到達地点、そしてそこにいるのがこの女性だということは、彼女こそがダンジョンの主ということになるのでは?
《危ない危ない。素敵な容姿に惑わされて、すっかり油断するところであった。とりあえずちゃんと見極めねば。まずは彼女をしっかりと視てみるとしよう》
視覚に意識と魔力を集中し、視る。
そしてオレは激しく後悔することになった。
まるで底が見えない。奈落を覗き込んでいるかのような錯覚に襲われ、頭がくらり。
圧倒的規模の違いに打ちのめされる。
空から零れ落ちた雨粒が、大海を理解できる道理がない。
夜空を駆ける流れ星ごときが、大宇宙の壮大さを把握できる道理がない。
それはもう、比較という表現を使うのもおこがましいぐらいに、遥か彼方の世界線よりもなお、ずっと遠い存在。
オレはこの感覚を知っている。
かつて死の森で逢ったことがある、間違いない。
この女性は…………、ドラゴンだ。
正体に気付いてしまったオレは、縮み上がらんばかりに驚いた。
だがここで取り乱して、彼女の機嫌を損ねたらマズイと考えて、なんとか踏ん張った。
いっそのこと相手にしないで追い出してくれたら良かったのに、何故だか歓迎されてしまった。
オレは必死になって自分が生き残る道を模索する。そして閃いた。
今こそ前世のおっさんの記憶が、真から役に立つとき。
かつて営業で鍛えた挨拶とご機嫌伺いの技術を、ここで活用せずして、いつ使うというのか。
お土産は気に入ってくれたみたいで、ホクホク顔でお茶を淹れるために、キッチンへと向かった彼女。
結わえた黒髪の後ろ姿が、どことなく機嫌がいいように思える。とりあえず第一段階は成功と言えよう。あとは適当に話を合わせて、穏便なうちに撤退、これしかあるまい。
オレはきっと生き残ってみせる。
生きてクロアのところに帰るんだ。
「……でね、しつこいのなんのって。『オレ様のモノになれよ。可愛がってやるぜ』とかいう恥ずかしい台詞を、堂々と口にするんですよ。いくら興味がないって言っても『照れんなよ』とか盛大な勘違いをするし。逃げたら追っかけてくるし、本っ当に気持ち悪い。だからドラゴンの男性って嫌いなんです」
《あー、なまじっか自分に自信があるからこその勘違いですね、ソレって》
「そうなんですよ。力を誇示すれば、すべての女がひれ伏すとでも思っているんですかねぇ」
《女は男のここに弱い! とか思い込んじゃってるんですね。当人は頑張って自己アピールをしているつもりなんでしょうけど、完全に空回りですから》
「そうなんですよ。ムキムキの胸筋とかピクピクされても、ちっとも嬉しくないんです。ブレスで森を焼き払ってのドヤ顔とか、意味がわかりません。そのせいで犠牲になった子たちが、もう気の毒で気の毒で……」
先ほどまでの決死の覚悟もどこへやら、オレはただいまドラゴンの化身である、黒髪の女性とお茶を楽しんでいる。薫る紅茶と美味しいお菓子に、一緒になって舌鼓を打つうちに、オレたちはすっかり打ち解けた。
凄いぜウチの料理長、ドラゴンをも虜にするだなんて! もしもスーラが食べられるのならば、オレはアンタに調理してもらいたい。そして美味しく召し上がって欲しい。
凄いといえば彼女も流石の究極生物。
なにせ触手回線を開くことなく、子機の分体なしでもオレと普通に会話をしている。どうやら念話みたいな能力らしいのだが、原理は本人にもわかっていないのだとか。もしも分かっていたら、ご教授戴きたかったのに残念である。
彼女の名前はティプールさん、黒いドラゴンの雌だ。歳は秘密とのこと。
そして先ほどから盛大に愚痴りまくっている理由を、端的に言えば「モテ過ぎる」から。
人間の女に変化した状態でも、滲み出る楚々とした艶っぽさ、優しくすべてを受け入れてくれそうな包容力、一緒にいるだけで傷ついた魂が癒されるかのような柔らかな雰囲気。
スーラのオレですら、初見でクラっときた魅力溢れるティプールさん。
本来の姿であるドラゴンになったら、その魅力は留まることを知らない。
ただでさえモテ要素満載なところに、フェロモンまでもがムンムンになっちゃうんだと。
これに雄のドラゴンたちは、もう辛抱堪らんと群がっては言い寄って来る。
群がると言っても個体数はそんなにいないのだが、ここで忘れてはいけないのが、彼らがこの世界で最強の生命体だということ。
女を口説くのに自然破壊をしては自己アピール。ライバルと揉めては周囲の迷惑も顧みずに、暴れてやはり環境破壊を繰り返す。
見かねた彼女がとち狂った雄どもに「私のために争わないで」と必死に訴えれば、「お前はオレが守る!」とか言い出す始末。
「誰とも付き合うつもりはないの」
そう声高に叫んでも信じてもらえない。
困ったティプールさんが、女友達に相談すれば「モテ自慢か! なんて嫌味な女!」と相手を怒らせてしまい、友情が儚く散った。
断っても断っても、どれだけ本気で嫌がっても、まるで話が通じない。行く先々で現れては、男どもが迷惑行為を繰り返す。こんな騒ぎが数千年単位で続くのだ。
これにはティプールさんも、ホトホト疲れてしまった。
見かねた神竜が、そんな彼女の潜伏先にと勧めたのが、ちょうど程よく育っていたダンジョンの奥。
ドラゴンの巨体のままでは内部には入れないが、ティプールさんならば人型になれるので問題なし。もちろん他の雄どもも変身は出来る。しかし無駄にプライドの高い彼らは、自分らよりも遥かに劣る存在を模したような格好になることなんて、絶対にやりたくない。うっかり化けようものならば、他の男どもから何を言われるかわかったもんじゃない。仲間内で恥じをかく。そんな事は誇り高いドラゴンの男として、到底受け入れられやしない。
かくして彼女は、ダンジョンの最深部に安住の地を得たのである。
それ以来、ここに引き篭り続けて幾星霜。
スローライフを大いに満喫していたら、気づけば彼女の膨大な魔力の影響を受けて、ダンジョンもすくすく成長して、今では百階層にまで到達するほどに立派になった。
ダンジョンが途中から凶悪さを増していたのは、どうやら元となったティプールさんの負の感情の発露のようだ。
魔素の濃度を上げまくって、強大なモンスターを放ち、灼熱地獄を出現させてまで、阿呆な雄どもを拒絶したいという、彼女の願望にダンジョンが応えた結果がアレなのである。
きっとこのダンジョンは、この先もずっと未踏破のままであろう。
よしんば最深部まで辿り着いたところで、待っているラスボスは黒いドラゴン。
……色んな意味で、本当に酷いダンジョンだと思う。
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