105 / 226
104 娯楽
しおりを挟む
現在、アンケル・ランドクレーズ家にはメーサが滞在している。
遊びに来たのと、仮面女ことフィメール・サファイアに人形遣いとしての指南を受けるためだ。クロア同様にメーサもスクスクと育ち、今では人形を同時に十三体も使役することが可能となっている。だが何よりも成長著しいのはその髪型。かつてはシングルドリルで精一杯であったのが、今では立派なツインドリルへと進化した。
薄い緑色の髪がギュルンギュルンと縦に巻かれている。
毎朝、セットに一時間近くかかって大変だと愚痴りつつも、亡くなった母親と同じ髪型になれるのは嬉しいらしく、口ぶりとは裏腹に表情はにこやかであった。
クロアの方は相変わらず、髪は適当に後ろで縛ってあるだけ。専従メイドのルーシーさんが「綺麗な髪なのにもったいない」と文句を垂れるも知らん顔。それでも立場上、パーティーなどの正式な場に出る時だけは、キチンと編み込んでいる。
昔はもっとお洒落に気を配っていたように思ったが、オレの勘違いであろうか。
午前中に一通りの授業も終わり、午後からは自由時間。
「今日は何して遊ぼうか」と相談する二人の美少女の姿はとても愛らしい。ただしその内容を知らなければ、だ。
先日なんか人形十三体との追いかけっこという名の乱取り稽古をして、ちょっとした騒動を巻き起こした。遊んでいるうちに夢中になったクロアたちが、そのままの勢いで騎士団の訓練場に乱入、何故か団員らまで混ざっての激しい乱闘に発展する。おかげで後には所々が打ち壊された訓練場の惨状が。
これに団長が珍しく本気で怒った。全員が正座でマジ説教を喰らっていた。もちろんクロアとメーサの二人も例外ではない。例え主家の娘であろうと客人であろうと容赦しない。何せ我が家は躾けに厳しいのだ。
そんなわけで今日は大人しく遊ぼうという話に落ち着いたのだが……、この二人、同年輩の子らが、どんな遊びをしているのかをまるで知らなかった。ならば誰かの教えてもらおうと考えるも、生憎と頼りになるトア先生は所用にて不在。仮面女は論外。他のみんなは忙しく立ち回っていて声をかけづらい。
どうしようかと退屈そうにしている姿が不憫になったので、ここはオレが助け船を出すことにした。
木を削り出して作ったボールとパターを用いて、これをコロコロと打ち出し、あらかじめ掘っておいた穴に入れる。いわゆるパターゴルフって奴だな。これなら適当にコース設定出来るし、体力の有無は関係なしに愉しめる。なにせ体力主体の遊びは、クロアに断然有利過ぎてメーサが楽しくない。だからオレが提案したのがコレであった。ゴルフと違って、かっ飛ばす要素もないから周囲に優しいし安全だろう。
わざとらしく二人の目の前で遊んでみせる。
すると二人はすぐに「ムーちゃん、何してるの」と興味を持った。
試しにパターとボールを差し出すと、喜んで真似しだした。
穴に入る度にオォーと歓声を上げる。上手く転がらないと地団駄を踏む。
そっからは、もう夢中だ。
クロアは生来の感の良さを活かして、天才的なライン読みをみせたかと思えば、メーサは周囲の状況を的確に判断し、最適な道を選んでは確実に穴へとボールを導く。
プレイスタイルに二人の性格が如実に現れている。
よっぽど楽しかったのか、クロアとメーサはじきにコース設計にまで乗り出した。庭中をうろつき回っては、面白そう場所を選んで設定していく。ついにはゴルフのように多くのコースを巡って、最終的な成績で勝敗を決めるにまでに至った。
《いやはや子供の発想の翼って凄いね。どこまでも飛んでいくよ》
オレはそんな二人を眺めながら、つくづく感心する。
こうしてあちこちに掘られた穴に向かって、ボールを転がす彼女たちの姿は、屋敷内で働く多くの者たちの目に留まったわけだが……。
翌日になると大人たちがこぞって真似をしていた。わざわざお手製のパターとボールを拵えて。どうやら子供たちが遊んでいる姿を見て、興味を覚えたらしい。酒の席で酔っ払った奴が、適当にデッキブラシと石ころでやってみたら、案外これが面白い。どれどれと他の者たちもやってみると、これはイイということになって、たった一晩でこの有様であった。
まさかのパターゴルフ人気の到来である。
その夜、オレはアンケル爺の執務室に呼び出されて、グチグチと文句を言われた。
「お前という奴は……、あれほど何かをするのなら事前に報せろと、念を押していたというのに」
《すまん。まさかこんな事態になろうとは》
触手回線越しにオレは平謝り。
すっかり忘れていたが、この世界って娯楽が少ないのだった。
オセロやチェスに近い盤上ゲームはそれなりにあるのだが、外で遊べるモノ、それも大人も子供も男も女も一緒になって遊べるモノなんて、これまで皆無だった。
「まぁ、世に出てしまったモノはしようがない。問題はコレをどう扱うかということじゃが……」
爺はなにやら思案顔。
これは頭の中で色々と悪巧みをしているときの顔だ。嫌な予感がする。
そっと逃げ出そうとするオレ。しかしいつの間にか背後にはメイド長のエメラさんがいて、すぐさま抱き上げられてしまった。おのれ、これでは逃げられない。悪魔の双丘がオレを捉えて離さない。
「とりあえずお前はあの遊びのルールを明文化しろ。それから必要な道具についての詳細もレポートにして提出な。あとエメラはアロの奴に連絡を入れてくれ」
アロとはクロアの母方の祖母。国内外に影響力を持つシャープ商会の会頭もしているトンデモナイ婆だ。ちなみにオレが提供したシロップやら芋の案件にガッチリ絡んでいる。どうやら今回も爺は彼女を巻き込む気まんまんのようだ。
「かしこまりました。それで何と言って連絡を取りましょうか」
「そうさなぁ、面倒だから『儲けさせてやる』とだけ手紙には書いておけ、アヤツならばそれだけで飛んでくるわ」
「わかりました。ではそのように」
エメラさんはオレをそっと下ろすと、一礼して部屋を出ていった。
オレも朝までに書類を揃えるようにと言われて、執務室を追い出された。
《ちょっと子供たちを喜ばしてあげようと思っただけなのに》
オレは少しブルーになった。
しかしいつまでも落ち込んでいる暇はない。なにせ明日の朝までに、提出する書類を作成せねばならぬのだから。
とぼとぼと図書室に向かう青いスーラ。だがそこで司書室長のマリアベルに捉まって、雑用を押し付けられるハメになる、おっさんなのであった。
なおパターゴルフはホルンフェリス発祥の遊戯として王国内はもとより、広く世界に発信されることになり、数年後には世界中で爆発的流行を見せることになる。
遊びに来たのと、仮面女ことフィメール・サファイアに人形遣いとしての指南を受けるためだ。クロア同様にメーサもスクスクと育ち、今では人形を同時に十三体も使役することが可能となっている。だが何よりも成長著しいのはその髪型。かつてはシングルドリルで精一杯であったのが、今では立派なツインドリルへと進化した。
薄い緑色の髪がギュルンギュルンと縦に巻かれている。
毎朝、セットに一時間近くかかって大変だと愚痴りつつも、亡くなった母親と同じ髪型になれるのは嬉しいらしく、口ぶりとは裏腹に表情はにこやかであった。
クロアの方は相変わらず、髪は適当に後ろで縛ってあるだけ。専従メイドのルーシーさんが「綺麗な髪なのにもったいない」と文句を垂れるも知らん顔。それでも立場上、パーティーなどの正式な場に出る時だけは、キチンと編み込んでいる。
昔はもっとお洒落に気を配っていたように思ったが、オレの勘違いであろうか。
午前中に一通りの授業も終わり、午後からは自由時間。
「今日は何して遊ぼうか」と相談する二人の美少女の姿はとても愛らしい。ただしその内容を知らなければ、だ。
先日なんか人形十三体との追いかけっこという名の乱取り稽古をして、ちょっとした騒動を巻き起こした。遊んでいるうちに夢中になったクロアたちが、そのままの勢いで騎士団の訓練場に乱入、何故か団員らまで混ざっての激しい乱闘に発展する。おかげで後には所々が打ち壊された訓練場の惨状が。
これに団長が珍しく本気で怒った。全員が正座でマジ説教を喰らっていた。もちろんクロアとメーサの二人も例外ではない。例え主家の娘であろうと客人であろうと容赦しない。何せ我が家は躾けに厳しいのだ。
そんなわけで今日は大人しく遊ぼうという話に落ち着いたのだが……、この二人、同年輩の子らが、どんな遊びをしているのかをまるで知らなかった。ならば誰かの教えてもらおうと考えるも、生憎と頼りになるトア先生は所用にて不在。仮面女は論外。他のみんなは忙しく立ち回っていて声をかけづらい。
どうしようかと退屈そうにしている姿が不憫になったので、ここはオレが助け船を出すことにした。
木を削り出して作ったボールとパターを用いて、これをコロコロと打ち出し、あらかじめ掘っておいた穴に入れる。いわゆるパターゴルフって奴だな。これなら適当にコース設定出来るし、体力の有無は関係なしに愉しめる。なにせ体力主体の遊びは、クロアに断然有利過ぎてメーサが楽しくない。だからオレが提案したのがコレであった。ゴルフと違って、かっ飛ばす要素もないから周囲に優しいし安全だろう。
わざとらしく二人の目の前で遊んでみせる。
すると二人はすぐに「ムーちゃん、何してるの」と興味を持った。
試しにパターとボールを差し出すと、喜んで真似しだした。
穴に入る度にオォーと歓声を上げる。上手く転がらないと地団駄を踏む。
そっからは、もう夢中だ。
クロアは生来の感の良さを活かして、天才的なライン読みをみせたかと思えば、メーサは周囲の状況を的確に判断し、最適な道を選んでは確実に穴へとボールを導く。
プレイスタイルに二人の性格が如実に現れている。
よっぽど楽しかったのか、クロアとメーサはじきにコース設計にまで乗り出した。庭中をうろつき回っては、面白そう場所を選んで設定していく。ついにはゴルフのように多くのコースを巡って、最終的な成績で勝敗を決めるにまでに至った。
《いやはや子供の発想の翼って凄いね。どこまでも飛んでいくよ》
オレはそんな二人を眺めながら、つくづく感心する。
こうしてあちこちに掘られた穴に向かって、ボールを転がす彼女たちの姿は、屋敷内で働く多くの者たちの目に留まったわけだが……。
翌日になると大人たちがこぞって真似をしていた。わざわざお手製のパターとボールを拵えて。どうやら子供たちが遊んでいる姿を見て、興味を覚えたらしい。酒の席で酔っ払った奴が、適当にデッキブラシと石ころでやってみたら、案外これが面白い。どれどれと他の者たちもやってみると、これはイイということになって、たった一晩でこの有様であった。
まさかのパターゴルフ人気の到来である。
その夜、オレはアンケル爺の執務室に呼び出されて、グチグチと文句を言われた。
「お前という奴は……、あれほど何かをするのなら事前に報せろと、念を押していたというのに」
《すまん。まさかこんな事態になろうとは》
触手回線越しにオレは平謝り。
すっかり忘れていたが、この世界って娯楽が少ないのだった。
オセロやチェスに近い盤上ゲームはそれなりにあるのだが、外で遊べるモノ、それも大人も子供も男も女も一緒になって遊べるモノなんて、これまで皆無だった。
「まぁ、世に出てしまったモノはしようがない。問題はコレをどう扱うかということじゃが……」
爺はなにやら思案顔。
これは頭の中で色々と悪巧みをしているときの顔だ。嫌な予感がする。
そっと逃げ出そうとするオレ。しかしいつの間にか背後にはメイド長のエメラさんがいて、すぐさま抱き上げられてしまった。おのれ、これでは逃げられない。悪魔の双丘がオレを捉えて離さない。
「とりあえずお前はあの遊びのルールを明文化しろ。それから必要な道具についての詳細もレポートにして提出な。あとエメラはアロの奴に連絡を入れてくれ」
アロとはクロアの母方の祖母。国内外に影響力を持つシャープ商会の会頭もしているトンデモナイ婆だ。ちなみにオレが提供したシロップやら芋の案件にガッチリ絡んでいる。どうやら今回も爺は彼女を巻き込む気まんまんのようだ。
「かしこまりました。それで何と言って連絡を取りましょうか」
「そうさなぁ、面倒だから『儲けさせてやる』とだけ手紙には書いておけ、アヤツならばそれだけで飛んでくるわ」
「わかりました。ではそのように」
エメラさんはオレをそっと下ろすと、一礼して部屋を出ていった。
オレも朝までに書類を揃えるようにと言われて、執務室を追い出された。
《ちょっと子供たちを喜ばしてあげようと思っただけなのに》
オレは少しブルーになった。
しかしいつまでも落ち込んでいる暇はない。なにせ明日の朝までに、提出する書類を作成せねばならぬのだから。
とぼとぼと図書室に向かう青いスーラ。だがそこで司書室長のマリアベルに捉まって、雑用を押し付けられるハメになる、おっさんなのであった。
なおパターゴルフはホルンフェリス発祥の遊戯として王国内はもとより、広く世界に発信されることになり、数年後には世界中で爆発的流行を見せることになる。
2
お気に入りに追加
359
あなたにおすすめの小説
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです
ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。
転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。
前世の記憶を頼りに善悪等を判断。
貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。
2人の兄と、私と、弟と母。
母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。
ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。
前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
御者のお仕事。
月芝
ファンタジー
大陸中を巻き込んだ戦争がようやく終わった。
十三あった国のうち四つが地図より消えた。
大地のいたるところに戦争の傷跡が深く刻まれ、人心は荒廃し、文明もずいぶんと退化する。
狂った環境に乱れた生態系。戦時中にバラ撒かれた生体兵器「慮骸」の脅威がそこいらに充ち、
問題山積につき夢にまでみた平和とはほど遠いのが実情。
それでも人々はたくましく、復興へと向けて歩き出す。
これはそんな歪んだ世界で人流と物流の担い手として奮闘する御者の男の物語である。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる