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65 王都編 王城内潜入捜査 4
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《タイチョー、ほうこくー》
正妃のところに出入りしていた謎のフード姿の人物。
奴を追跡していた分体ナンバー31から、オレの下に連絡が届く。
そいつは街中のとある建物に入っていったという。
見た目は普通の三階建ての民家だが、中にいたのは堅気じゃないとのこと。目の動かし方、歩き方、身のこなし、すべてが特殊な訓練を積んだ連中。会話の内容から正妃の生国からの間者みたい。組織のトップがフードの人物で、ここが連中のアジトというのが確定。念のため他にもアジトがないか一緒に行ったナンバー28、49が探っている。
《ふむ。連中はとりあえず叩く、アジトも潰す。これは決定事項だな》
これまで知り得たことを考慮して、いろいろと考えた。
正直、頭の中がこんがらがった。いっそのこと全部ぶっ飛ばしてやろうかとも思った。
でもクロアらと戯れているうちに、当初の目的を思い出した。
オレが動くのはファチナ王女を守るため、ひいては友達のクロアやメーサを悲しませないため。
ちょっと難しく考えすぎていたようである。
王族の家庭のゴタゴタはこの際、ザックリと無視する。所詮はよそ様の家の揉め事。下手に関わるべきじゃない。夫婦の問題は夫婦で解決してもらおう。
現状だけをどうにかする。とりあえず事態の鎮静化を図る。
問題の先送り? その通りだよ。こんだけ色んなモノが積み重なっているのに、一手打ったところで万事解決なんてするもんか。
だからオレは悪さをする連中の羽をむしり、翼をもぐ。
何をするにも世の中、カネ、かね、金。タダでは誰も動かないし動けない。
正妃や第二側妃を後押ししている連中の情報は着々と集まっている。
あと数日もあれば両陣営の完全なリストが手に入る。
なぁに、子供に毒を盛るような連中だ。ちょっと叩けば、埃がわんさか出てくることだろう。徹底的に暴いてやる。資金は根こそぎ奪ってやろう。悪い事に加担している暇なんてないほどに、ケツを叩いて煽ってやる。
従う人材も使える金もなくなれば、正妃と第二側妃も大人しくならざるおえまい。
所詮は時間稼ぎにしかならないかもしれないが、今回はその時間を稼ぐ。
数年もすれば王女も大人になる。それまでの間もてばいい。後は知らん。
《タイチョー、ほうこくー》
えーと、第二側妃の周囲に出没していた男の一人を追跡していたナンバー21からだな。
なになに……、王都東区にあるロンゴー商会の中に入っていったと。
《ロンゴー商会? 聞いた事ない名前だな。少なくともアンケル爺の取引相手じゃない》
《タイチョー、ちかにヒトいっぱーい。ウデワつけてるー》
《腕輪? ……って拘束具か! それって奴隷商じゃねぇか》
ちなみにこの国では奴隷はご法度である。国外で捌くつもりだろう。
マジでろくでもない。よし、ここも絶対に潰そう。
出入している貴族の男は尻の毛までむしる。コイン一枚残してやらん。
とりあえずロンゴー商会には応援を送って監視を強化。助ける前に運び出されたら面倒だからな。
《タイチョー、ほうこくー》
こいつは……04っと、ナンバー33とは別の騎士団に張り付いていた奴だな。
なになに、王城を出てすぐの堀で女の死体が上がったと。
素っ裸で顔が潰されており身元不明か。たぶん王子の一件に絡んでいるんだろうな。いくらなんでもタイミングが良すぎる。わざわざ外部の人間が、そんなところにまで死体を捨てに来るとも考えられないしな。
《にしてもエグイ真似をする。犯人は外道だな。見つけたら駆除しておこう》
《隊長ー、報告ー》
おっと、また連絡が来た。えーと今度はナンバー101か。
《こちら隊長、どうした? 有益な情報が入ったのか》
《王城内では白が優勢。次点で黒。ごく少数ですがゼロ派も確認。調査を続けます。以上報告終わりー》
あれ? ナンバー101奴。一方的に連絡を切りやがった。忙しいのか。なんだか他の分体と違って妙にハキハキしていやがるが、オレの気のせいかな。
それにしてもなんだコレ。ゼロ派? もしかして親国派や他国派、中立派の他にもまだオレが知らない派閥が存在しているのか。だったら厄介だな。とりあえず注意しておかなければ。
ふー、しかし大変だな。幼女らの相手をしながら送られてくる報告を処理するのは。百二十もの分体を出したせいで、連中からの報告が波状攻撃化してやがる。ラク出来るかなぁーと安易に考えていたが、結局オレの仕事量が激増しているような……。
「ムーちゃん。ちょっときてー」
おっと、今度はご主人様のお呼びだ。
はいはい、今いくよー。
正妃のところに出入りしていた謎のフード姿の人物。
奴を追跡していた分体ナンバー31から、オレの下に連絡が届く。
そいつは街中のとある建物に入っていったという。
見た目は普通の三階建ての民家だが、中にいたのは堅気じゃないとのこと。目の動かし方、歩き方、身のこなし、すべてが特殊な訓練を積んだ連中。会話の内容から正妃の生国からの間者みたい。組織のトップがフードの人物で、ここが連中のアジトというのが確定。念のため他にもアジトがないか一緒に行ったナンバー28、49が探っている。
《ふむ。連中はとりあえず叩く、アジトも潰す。これは決定事項だな》
これまで知り得たことを考慮して、いろいろと考えた。
正直、頭の中がこんがらがった。いっそのこと全部ぶっ飛ばしてやろうかとも思った。
でもクロアらと戯れているうちに、当初の目的を思い出した。
オレが動くのはファチナ王女を守るため、ひいては友達のクロアやメーサを悲しませないため。
ちょっと難しく考えすぎていたようである。
王族の家庭のゴタゴタはこの際、ザックリと無視する。所詮はよそ様の家の揉め事。下手に関わるべきじゃない。夫婦の問題は夫婦で解決してもらおう。
現状だけをどうにかする。とりあえず事態の鎮静化を図る。
問題の先送り? その通りだよ。こんだけ色んなモノが積み重なっているのに、一手打ったところで万事解決なんてするもんか。
だからオレは悪さをする連中の羽をむしり、翼をもぐ。
何をするにも世の中、カネ、かね、金。タダでは誰も動かないし動けない。
正妃や第二側妃を後押ししている連中の情報は着々と集まっている。
あと数日もあれば両陣営の完全なリストが手に入る。
なぁに、子供に毒を盛るような連中だ。ちょっと叩けば、埃がわんさか出てくることだろう。徹底的に暴いてやる。資金は根こそぎ奪ってやろう。悪い事に加担している暇なんてないほどに、ケツを叩いて煽ってやる。
従う人材も使える金もなくなれば、正妃と第二側妃も大人しくならざるおえまい。
所詮は時間稼ぎにしかならないかもしれないが、今回はその時間を稼ぐ。
数年もすれば王女も大人になる。それまでの間もてばいい。後は知らん。
《タイチョー、ほうこくー》
えーと、第二側妃の周囲に出没していた男の一人を追跡していたナンバー21からだな。
なになに……、王都東区にあるロンゴー商会の中に入っていったと。
《ロンゴー商会? 聞いた事ない名前だな。少なくともアンケル爺の取引相手じゃない》
《タイチョー、ちかにヒトいっぱーい。ウデワつけてるー》
《腕輪? ……って拘束具か! それって奴隷商じゃねぇか》
ちなみにこの国では奴隷はご法度である。国外で捌くつもりだろう。
マジでろくでもない。よし、ここも絶対に潰そう。
出入している貴族の男は尻の毛までむしる。コイン一枚残してやらん。
とりあえずロンゴー商会には応援を送って監視を強化。助ける前に運び出されたら面倒だからな。
《タイチョー、ほうこくー》
こいつは……04っと、ナンバー33とは別の騎士団に張り付いていた奴だな。
なになに、王城を出てすぐの堀で女の死体が上がったと。
素っ裸で顔が潰されており身元不明か。たぶん王子の一件に絡んでいるんだろうな。いくらなんでもタイミングが良すぎる。わざわざ外部の人間が、そんなところにまで死体を捨てに来るとも考えられないしな。
《にしてもエグイ真似をする。犯人は外道だな。見つけたら駆除しておこう》
《隊長ー、報告ー》
おっと、また連絡が来た。えーと今度はナンバー101か。
《こちら隊長、どうした? 有益な情報が入ったのか》
《王城内では白が優勢。次点で黒。ごく少数ですがゼロ派も確認。調査を続けます。以上報告終わりー》
あれ? ナンバー101奴。一方的に連絡を切りやがった。忙しいのか。なんだか他の分体と違って妙にハキハキしていやがるが、オレの気のせいかな。
それにしてもなんだコレ。ゼロ派? もしかして親国派や他国派、中立派の他にもまだオレが知らない派閥が存在しているのか。だったら厄介だな。とりあえず注意しておかなければ。
ふー、しかし大変だな。幼女らの相手をしながら送られてくる報告を処理するのは。百二十もの分体を出したせいで、連中からの報告が波状攻撃化してやがる。ラク出来るかなぁーと安易に考えていたが、結局オレの仕事量が激増しているような……。
「ムーちゃん。ちょっときてー」
おっと、今度はご主人様のお呼びだ。
はいはい、今いくよー。
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