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33 転生者の末路 前編
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その男は村の有名人だった。
ただし、いい意味ではない。
件の男が産まれたときは周囲のみんなから祝福された。
当然だ。辺境の村では喜びも悲しみもみなで共有する。
一人はみんなのために、みんなは一人のために。
互いに肩を寄せあい、互いを支えながら生きてく。
そうしないと危険なモンスターが闊歩する、この世界では生きてはいけないから。
だから子供が誕生すれば、みなで祝い、みなで守り、みなで育てる。
中央から遠ざかるほどに、この傾向が強くなる。
男が産まれた土地は、そういう場所であった。
男はあまり泣かない赤子であったという。
これまで何人もの赤ちゃんの世話をしてきた地域のベテラン主婦も、首を傾げるほど大人しい。ひょっとしたら耳が聞こえないのかと両親が心配する。しかしそれは杞憂に終わる。巡回してきた教会の人間に診てもらったところ、体のどこにも異常ナシ。おそらくはそういう気質なのであろうとの説明を受け、両親は安堵した。
赤子はスクスクと成長していく。
物覚えが良いらしく言葉や文字はすぐに覚えてしまった。
特に数字に強く、教師役をしていた村の大人をして「この子は天才だ」と言わしめるほど。これには両親も鼻高々。いずれは中央の学園に通わせられるかもしれないと期待する。普通は結構な額の学費が必要となるのだが、学園では地方から優秀な人材を招聘する援助制度を設けており、領主の推薦があれば審査の後に結果次第でタダで通うことが出来る。
学園で優秀な成績を収め、中央で文官にでも取り立てられたら、辺境の村では大出世である。
少年へと成長した男は、周囲からすっかり孤立していた。
同年輩と交わろうとしない。それどころか大人にすら、どこか見下した態度をとる。
両親はそんな息子を何度も諫めたが、効果はなかった。それどころか自分をクドクド叱る親にすらも馬鹿にした眼差しを向ける。
少年が孤立したのは何もそんな態度ばかりが原因ではない。
この頃になると、彼の奇行が目立つようになっていたからである。
意味不明な言葉を発したり、訳の分からない行動を突発的にしては、上手くいかないと勝手に憤る。
少年が行った奇行の一つを紹介しよう。
彼は手近の森から落ち葉などを集めてくると、庭に堀った穴の中に自分の糞尿とともに放り込んだ。
「おまえは何をしているんだい?」と問うた母親に、息子は得意気な態度にてこう答えた。
「フヨウドをつくっているんだ」
聞いたことのない言葉に首を傾げる母親。
彼女はなおも質問を重ねようとした。しかし少年は面倒になったらしく、取り合うことはなかった。
その後、どうなったのか?
少年が堀った穴からは異臭が立ち込め、その匂いに釣られて森の奥からモンスターが現れて、村中を巻き込む騒動となってしまった。幸いなことに自警団の活躍によって人的被害はなかったが、攻防の余波で農作物に少なくない被害が出る。
もちろんこんな真似を引き起こした少年は、村の大人たちから叱られた。
だが少年が反省することはなかった。
それどころか「どいつもこいつも馬鹿ばかりだ」と悪態をつく始末。
これには両親たちも頭を抱え、周囲の大人たちも呆れた。
十歳になった男は領主推薦を受けて学園へと旅立った。
人格や行動に多少の問題はあるものの、数字に強い、その一点のみを辛くも評価されての推薦であった。
領主は後日、彼について、このように呟いたと記録されている。
「もしも他の者がいたら、アレは選ばなかったよ」
その年度は、たまたま他に候補者がいなかった。普段ならば最低でも三人はいるというのに。どうやら男の運はそこそこであったらしい。
学園、そこは王国中から集められた人材が集う場。
より正確に表すならば、幼少期より学習するに足る経済的余裕のある家の子の多くが集うところ。つまりは貴族の子息子女らが通うところを意味する。
もちろん平民の子らも少なからず通う。
だがそれらには家が商売などで財を成したか、あるいは当人が優秀かつ学習意欲に燃えているか、という条件が付いている。
地方からの推薦組なんて、その最たるもの。
地方の文化は先に述べたように、集団単位のモノの考え方をする。
そんな集団から個として送り出してくれた故郷のみなのためにも、背水の陣の覚悟をもって学園に臨む。辺境の厳しい環境で育ってきた、いわば彼らは野に咲く野生種。対して貴族の子らは家格の程度の差はあれども、良くも悪くも農園で育てられた栽培種。恥も外聞もなくガツガツ邁進する野生種。その姿に刺激を受け負けじと奮起する栽培種。当初より学園側にそこまでの思惑があったのかはわからないが、結果としてこの両輪は巧く回り、身分に関係なく多くの優秀な卒業生を輩出し、成果を社会に還元していた。
そんな中に、覚悟も決意もなしに飛び込むことになる男。
男は得意の数字ですらも、あっという間に他に追いつかれて、追い越されていった。
歴史、地理、語学、魔法学基礎概論、体術……、どれもこれも散々な成績。
挙句には試験の答案用紙に「身分なんておかしい」「人は生まれながらに平等」「社会が間違っている」「王政反対」などの文言が並ぶ意味不明な抗議文を、つらつらと書き連ねる始末。
これには教師陣らも、どうしたものかと頭を抱える。
男には確かに高い理解力があった。だが理解する努力を怠った。
学園において必要とされる最低限の礼節を軽んじ、貴族の子らに不遜な態度を働きなんら省みない。
一応、学園では建前上は身分差は存在しないことになっているが、生徒たちも卒業後には社会に出る。後々のことを考えれば、ここで良好な人間関係を築いておいたほうがいい。そんな当たり前のことも男にはわからない。
学園の生徒たちならば、みなが思い至ることに思い至れない。
いや、本当は男にもわかっていたのかもしれない。それでも彼は変わらなかった。
男には理解したことを、受け入れるだけの度量がなかったのである。
青年となってからも問題行動ばかりを繰り返す男。
ついに堪忍袋の緒が切れた学園は、彼を放校処分とした。
これは学園に在籍していたという履歴を抹消された上に、当学園のみならず国内すべての学園への入学資格を永久に剥奪するというもの。国内において彼は学ぶ機会を永遠に失ったことを意味する。
完全なる追放処分である。
ならば国外へ出ればいいのかというと、ことはそう簡単な話ではない。まずこの世界では国外旅行なんて気軽に出来るもんじゃない。相当な財力、権力、武力などがあって初めて実現が可能。それでさえも多少の危険を伴う。だから、ただの辺境の村人でしかない青年にはとても無理であろう。
ならば真面目に心を入れ替えて働こうとしても、学園を放校された不名誉がどこまでもついて回る。せっかくの得意な数字を活かした職につくことも無理。商会もギルドもどこの組織も、そんな厄介者なんて引き受けたくない。うっかり引き受けて関係各所から睨まれては堪らない。
男が生きていくための選択肢は、ほとんど残されてはいなかった。結局は散々に蔑んでいた郷里の人たちと同じ、辺境の名もなき村の住人として、土を耕すことになる。
それでも、そのまま慎ましやかでも穏やかに過ごして居れば、まだ男は幸せな最期を迎えられたことであろう。
独り身のまま中年へとなった男。
「オレは転生者だ。チートなオレが本気になれば凄いんだ。今に見ていろ。そん時に後悔したって知らねぇからな」
当時、男が酔ったときに、よく口走っていたという言葉。
村で唯一の酒場の店主が面白がって、業務日誌に書き留めていたので記録に残っている。他にもいろんな奇妙な言葉を口にしていたらしいが、そのほとんどは伝わっていない。
老年へと差し掛かった男は、街にて詐欺罪で告発された。
男は言葉巧みに出資者を募り、金を集めて商売を始める。
屋台にて珍しい料理を提供し、画期的に思われる馬車の部品を開発し、傾いていた飲食店をいくつも買い取っては立て直す。 誰の目にも商売が上手くいっているかのように見えた、実際に当初は上手くいっていた。
だがすぐに商売は行き詰ることになる。
あまりにも繁盛し過ぎる屋台は、周囲の屋台から根こそぎ客を奪い反感を買った。
馬車の部品の開発は成功するものの、すでに似たような品を錬金術ギルドと鍛冶ギルドの合同で製品化されており、しかもずっと安価で提供されていたため投資費用が回収不能に陥る。
飲食店もまた屋台と同様。地域との軋轢を生み、多くの店の経営を傾け、結果として失業者を増やすことになる。
冷静に傍から見れば、男のやったことは場を荒らしたに等しい。
彼はもう少し慎重に時間をかけて事に当たるべきであったのだ。そのように苦言を呈する商業ギルドのマスターに、男が返した言葉は「それの何が悪い。競争こそが市場原理だろう」というものであった。
思えばギルドマスターが乗り出したのが最終ラインであったのだろう。
彼の言葉を退けた男を待っていたのは詐欺罪での告発であった。
男に味方はいなかった、あまりにも敵が多すぎた、恨みが深すぎた。
この訴えの裁定を行った領主もまた男に憤っていた。自分が生涯をかけて、コツコツと育ててきた街には失業者が溢れ、治安も悪化、税収も落ちる、人口の流出も起こり悪評が周辺に散らばる。そんな悪夢のような負の連鎖を引き起こした張本人の男に対して、領主が下した判決は「終生、鉱山送り」という厳しいものであった。
「こんなのは不当だ! 横暴だ! やり直しを要求する!」
兵士らに引っ立てられていく男が叫ぶ。しかし誰もまともに取り合わない。
男はこうして鉱山へと送られ、じきにそこで果てた。
もしも彼の人生に功績があるとしたら、それは「転生詐欺」という珍妙なる言葉を新たに世に産み出したことだけであろう。
オレは読み終えた本を静かに閉じる。
本の表題は「世にも珍妙な人たち」
たまたま目について、興味本位でページをめくってみたのだが……。
ただし、いい意味ではない。
件の男が産まれたときは周囲のみんなから祝福された。
当然だ。辺境の村では喜びも悲しみもみなで共有する。
一人はみんなのために、みんなは一人のために。
互いに肩を寄せあい、互いを支えながら生きてく。
そうしないと危険なモンスターが闊歩する、この世界では生きてはいけないから。
だから子供が誕生すれば、みなで祝い、みなで守り、みなで育てる。
中央から遠ざかるほどに、この傾向が強くなる。
男が産まれた土地は、そういう場所であった。
男はあまり泣かない赤子であったという。
これまで何人もの赤ちゃんの世話をしてきた地域のベテラン主婦も、首を傾げるほど大人しい。ひょっとしたら耳が聞こえないのかと両親が心配する。しかしそれは杞憂に終わる。巡回してきた教会の人間に診てもらったところ、体のどこにも異常ナシ。おそらくはそういう気質なのであろうとの説明を受け、両親は安堵した。
赤子はスクスクと成長していく。
物覚えが良いらしく言葉や文字はすぐに覚えてしまった。
特に数字に強く、教師役をしていた村の大人をして「この子は天才だ」と言わしめるほど。これには両親も鼻高々。いずれは中央の学園に通わせられるかもしれないと期待する。普通は結構な額の学費が必要となるのだが、学園では地方から優秀な人材を招聘する援助制度を設けており、領主の推薦があれば審査の後に結果次第でタダで通うことが出来る。
学園で優秀な成績を収め、中央で文官にでも取り立てられたら、辺境の村では大出世である。
少年へと成長した男は、周囲からすっかり孤立していた。
同年輩と交わろうとしない。それどころか大人にすら、どこか見下した態度をとる。
両親はそんな息子を何度も諫めたが、効果はなかった。それどころか自分をクドクド叱る親にすらも馬鹿にした眼差しを向ける。
少年が孤立したのは何もそんな態度ばかりが原因ではない。
この頃になると、彼の奇行が目立つようになっていたからである。
意味不明な言葉を発したり、訳の分からない行動を突発的にしては、上手くいかないと勝手に憤る。
少年が行った奇行の一つを紹介しよう。
彼は手近の森から落ち葉などを集めてくると、庭に堀った穴の中に自分の糞尿とともに放り込んだ。
「おまえは何をしているんだい?」と問うた母親に、息子は得意気な態度にてこう答えた。
「フヨウドをつくっているんだ」
聞いたことのない言葉に首を傾げる母親。
彼女はなおも質問を重ねようとした。しかし少年は面倒になったらしく、取り合うことはなかった。
その後、どうなったのか?
少年が堀った穴からは異臭が立ち込め、その匂いに釣られて森の奥からモンスターが現れて、村中を巻き込む騒動となってしまった。幸いなことに自警団の活躍によって人的被害はなかったが、攻防の余波で農作物に少なくない被害が出る。
もちろんこんな真似を引き起こした少年は、村の大人たちから叱られた。
だが少年が反省することはなかった。
それどころか「どいつもこいつも馬鹿ばかりだ」と悪態をつく始末。
これには両親たちも頭を抱え、周囲の大人たちも呆れた。
十歳になった男は領主推薦を受けて学園へと旅立った。
人格や行動に多少の問題はあるものの、数字に強い、その一点のみを辛くも評価されての推薦であった。
領主は後日、彼について、このように呟いたと記録されている。
「もしも他の者がいたら、アレは選ばなかったよ」
その年度は、たまたま他に候補者がいなかった。普段ならば最低でも三人はいるというのに。どうやら男の運はそこそこであったらしい。
学園、そこは王国中から集められた人材が集う場。
より正確に表すならば、幼少期より学習するに足る経済的余裕のある家の子の多くが集うところ。つまりは貴族の子息子女らが通うところを意味する。
もちろん平民の子らも少なからず通う。
だがそれらには家が商売などで財を成したか、あるいは当人が優秀かつ学習意欲に燃えているか、という条件が付いている。
地方からの推薦組なんて、その最たるもの。
地方の文化は先に述べたように、集団単位のモノの考え方をする。
そんな集団から個として送り出してくれた故郷のみなのためにも、背水の陣の覚悟をもって学園に臨む。辺境の厳しい環境で育ってきた、いわば彼らは野に咲く野生種。対して貴族の子らは家格の程度の差はあれども、良くも悪くも農園で育てられた栽培種。恥も外聞もなくガツガツ邁進する野生種。その姿に刺激を受け負けじと奮起する栽培種。当初より学園側にそこまでの思惑があったのかはわからないが、結果としてこの両輪は巧く回り、身分に関係なく多くの優秀な卒業生を輩出し、成果を社会に還元していた。
そんな中に、覚悟も決意もなしに飛び込むことになる男。
男は得意の数字ですらも、あっという間に他に追いつかれて、追い越されていった。
歴史、地理、語学、魔法学基礎概論、体術……、どれもこれも散々な成績。
挙句には試験の答案用紙に「身分なんておかしい」「人は生まれながらに平等」「社会が間違っている」「王政反対」などの文言が並ぶ意味不明な抗議文を、つらつらと書き連ねる始末。
これには教師陣らも、どうしたものかと頭を抱える。
男には確かに高い理解力があった。だが理解する努力を怠った。
学園において必要とされる最低限の礼節を軽んじ、貴族の子らに不遜な態度を働きなんら省みない。
一応、学園では建前上は身分差は存在しないことになっているが、生徒たちも卒業後には社会に出る。後々のことを考えれば、ここで良好な人間関係を築いておいたほうがいい。そんな当たり前のことも男にはわからない。
学園の生徒たちならば、みなが思い至ることに思い至れない。
いや、本当は男にもわかっていたのかもしれない。それでも彼は変わらなかった。
男には理解したことを、受け入れるだけの度量がなかったのである。
青年となってからも問題行動ばかりを繰り返す男。
ついに堪忍袋の緒が切れた学園は、彼を放校処分とした。
これは学園に在籍していたという履歴を抹消された上に、当学園のみならず国内すべての学園への入学資格を永久に剥奪するというもの。国内において彼は学ぶ機会を永遠に失ったことを意味する。
完全なる追放処分である。
ならば国外へ出ればいいのかというと、ことはそう簡単な話ではない。まずこの世界では国外旅行なんて気軽に出来るもんじゃない。相当な財力、権力、武力などがあって初めて実現が可能。それでさえも多少の危険を伴う。だから、ただの辺境の村人でしかない青年にはとても無理であろう。
ならば真面目に心を入れ替えて働こうとしても、学園を放校された不名誉がどこまでもついて回る。せっかくの得意な数字を活かした職につくことも無理。商会もギルドもどこの組織も、そんな厄介者なんて引き受けたくない。うっかり引き受けて関係各所から睨まれては堪らない。
男が生きていくための選択肢は、ほとんど残されてはいなかった。結局は散々に蔑んでいた郷里の人たちと同じ、辺境の名もなき村の住人として、土を耕すことになる。
それでも、そのまま慎ましやかでも穏やかに過ごして居れば、まだ男は幸せな最期を迎えられたことであろう。
独り身のまま中年へとなった男。
「オレは転生者だ。チートなオレが本気になれば凄いんだ。今に見ていろ。そん時に後悔したって知らねぇからな」
当時、男が酔ったときに、よく口走っていたという言葉。
村で唯一の酒場の店主が面白がって、業務日誌に書き留めていたので記録に残っている。他にもいろんな奇妙な言葉を口にしていたらしいが、そのほとんどは伝わっていない。
老年へと差し掛かった男は、街にて詐欺罪で告発された。
男は言葉巧みに出資者を募り、金を集めて商売を始める。
屋台にて珍しい料理を提供し、画期的に思われる馬車の部品を開発し、傾いていた飲食店をいくつも買い取っては立て直す。 誰の目にも商売が上手くいっているかのように見えた、実際に当初は上手くいっていた。
だがすぐに商売は行き詰ることになる。
あまりにも繁盛し過ぎる屋台は、周囲の屋台から根こそぎ客を奪い反感を買った。
馬車の部品の開発は成功するものの、すでに似たような品を錬金術ギルドと鍛冶ギルドの合同で製品化されており、しかもずっと安価で提供されていたため投資費用が回収不能に陥る。
飲食店もまた屋台と同様。地域との軋轢を生み、多くの店の経営を傾け、結果として失業者を増やすことになる。
冷静に傍から見れば、男のやったことは場を荒らしたに等しい。
彼はもう少し慎重に時間をかけて事に当たるべきであったのだ。そのように苦言を呈する商業ギルドのマスターに、男が返した言葉は「それの何が悪い。競争こそが市場原理だろう」というものであった。
思えばギルドマスターが乗り出したのが最終ラインであったのだろう。
彼の言葉を退けた男を待っていたのは詐欺罪での告発であった。
男に味方はいなかった、あまりにも敵が多すぎた、恨みが深すぎた。
この訴えの裁定を行った領主もまた男に憤っていた。自分が生涯をかけて、コツコツと育ててきた街には失業者が溢れ、治安も悪化、税収も落ちる、人口の流出も起こり悪評が周辺に散らばる。そんな悪夢のような負の連鎖を引き起こした張本人の男に対して、領主が下した判決は「終生、鉱山送り」という厳しいものであった。
「こんなのは不当だ! 横暴だ! やり直しを要求する!」
兵士らに引っ立てられていく男が叫ぶ。しかし誰もまともに取り合わない。
男はこうして鉱山へと送られ、じきにそこで果てた。
もしも彼の人生に功績があるとしたら、それは「転生詐欺」という珍妙なる言葉を新たに世に産み出したことだけであろう。
オレは読み終えた本を静かに閉じる。
本の表題は「世にも珍妙な人たち」
たまたま目について、興味本位でページをめくってみたのだが……。
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