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200 資材置き場の戦い

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 ウゥ~~~~
  ウゥ~~~~
   ウゥ~~~~

 けたたましい警報音が鳴り響く。
 地下道にて罠が起動した時点で覚悟はしていたが、ついにファクトリー側に侵入がバレた!

「敵にはかまわないで! 最短距離を突っ切ります」

 エレン姫の指示により一行は罠を脱して休む間もなく、進路を北にとり三つ目の落陽水晶体がある資材置き場を目指す。

「キシャーッ!」

 さっそく敵の警邏隊と遭遇。
 前方の頭上より躍りかかってきた。
 しかしジャニスたちは剣は抜かず。代わりに取り出したのは一本のロープだ。捕縛用の丈夫なものにて、襲いかかってきた相手を瞬く間に縛りあげ身動きを封じる。
 コウケイ国は小国ゆえに、軍が町の治安維持も担っており、隊員らは捕縛術が必修となっている。敵を縛って拘束するのはお手のもの。
 鬼胡桃は一定以上のダメージを受けると自爆する。狭い通路内で爆発されたら逃げ場がない。ゆえに対策としてロープを用意してあったのが役に立った。

 縛りあげた鬼胡桃どもを転がし、一行は先を急ぐ。
 かとおもったら、ある程度距離が離れたところで、いきなりくるりとふり返ったエレン姫が「ふせてっ!」
 あわててうしろにいた枝垂らがしゃがめば、すかさず頭上を風の刃がビュンと通り過ぎる。
 魔法で攻撃したのは、縛られフガフガもがいている鬼胡桃のうちの一体だ。

 ザシュッ!

 まともに風の刃を喰らった個体の首が落ちた次の瞬間――

 ドッカン!

 鬼胡桃のカラダが爆ぜて、内部にあった汚染物質の玉が散乱し、連鎖して他の個体も次々と爆発を起こす。
 これに巻き込まれたのは、後方よりこちらへと迫っていた新手である。
 背後からの追手を撃退し、コウケイ国一行はふたたび駆け出した。

  ☆

 金属、ガラス、陶磁器、電球、蛍光灯、乾電池、ゴム製品やガラス製品、プラスチック、金属くず、木片、石片、コンクリ片、空き缶、フライパンにヤカン、折れた傘、ライター、スプレー缶、毒々しい色みの液体が零れている潰れたドラム缶、ペットボトル、炊飯器にトースターに冷蔵庫に自転車、建物の瓦礫、バイクやクルマの残骸らしきものまで……

 それらが大きさごとに適当に選り分けられては無造作に積まれた山が、いくつもそびえ立っている。

 エレン姫は資材置き場といったが違う。
 これは産業廃棄物の保管所だ。それも分別がおざなりでダメなタイプの、である。
 ごちゃまぜに近い状況にて、刺激臭が漂い粉塵が舞っている。うっかり吸い込んだらたちまち咳き込む。
 確実に肺を病むであろう空気に、コウケイ国一同は「うっ」と顔をしかめて、すぐさま鼻と口を布で覆った。

 入ってきた枝垂たちの姿を見つけるなり、運搬作業に従事していた鬼胡桃たちが一斉にこっちを向いた。
 数は五十ほどだが、おいおい増援が駆けつけるはず。
 瓦礫の山々を抜けた先に一本のポールが立っており、その上にて妖しい光を放っている落陽水晶体の姿がある。
 そこから視線を左奥へと向ければベルトコンベアが見えた。
 あれを辿れば、例の不気味な穴とやらがある部屋へと行けるはず。
 これらを視認するなりエレン姫が言った。

「ジャニスは隊員たちとともに、落陽水晶体を確保ののち、この場を制圧・維持してください。枝垂と飛梅さんたちは私とともに奥へ。やっかいな穴とやらをどうにかしましょう」

 地球とギガラニカを繋ぐやっかい穴のある場所は行き止まりになっており、追い込まれたら逃げ場がなくなる。
 だから二手に分かれて、この場を死守しつつ退路を確保する必要がある。

「ではジャニス、ここをお願いします」
「おまかせあれ、エレン姫さまもお気をつけて」

 露払いを隊員たちがしてくれたので、枝垂たちはすぐにベルトコンベアのもとへと辿り着く。
 しかしこの上を逆走するのは、ランニングマシーン状態になってかなり骨が折れる。
 そこで飛梅さんが落ちていた鉄パイプを拾っては、プーリー――回転してコンベアベルトを進ませる部品――へと突っ込んで、強引に動きを止めた。
 ベルトコンベアが停止したところで、エレン姫がひらりとベルトの上に飛び乗り、タタタと駆け出す。
 枝垂、飛梅さん、フセもこれに続く。


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