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038 甘くはない
しおりを挟む籠手のデザインは和風にて拳までカバーするタイプ、表面は黒塗りの地に金の連枝と紅梅の花が描かれている。
飛梅さん専用とあったのでさっそく装着させてみたら、ジャストフィット。
テッテレー♪ 飛梅さんは右腕の強度があがった。たぶん拳の威力もあがってる。
にしても二袋目にして、いきなりアルティメットレアの綺羅カードがお目見えするだなんて……
ひょっとしたらレアカードが出る確率が、かなり良心的に設定されている?
酷いのだとまとめて箱買いしても出るかどうか。緩いのだとワンパックに一枚必ず入っていたりするけれども。
もしもそうなら、わりとすぐにフル装備がコンプリートできるかもしれない。
などと密かに期待しつつ、残り二袋のポテチも平らげてカードを引いてみたのだけれども、どうやらそう甘くはないらしい。梅おかか味だけに。
☆
とてもやりたそうにしていたので、しょうがないからロバイス王にオマケの封を切らせてあげたところ、二枚続けてハズレであった。
「ぐぬぬぬ」
悔しがるロバイス王を横目に、ディラ王妃が四つ目のカードのパッケージを開ける。
一枚目は☆ふたつにて銀のインゴット、二枚目は☆ひとつにて糸玉がでた。
ちなみにこの糸は、高級なドレスとかに使われる良品とのこと。
こうなると他のみんなもやってみたくなるのが人情というもの。
そこで枝垂は追加でポテトチップスを六袋召喚する。自分と飛梅さんの分も入っている。
で、みんなで協力しせっせと食べてから、順番にオマケを開封していったところ……
ジャニスの一枚目は☆ひとつにて銅のインゴット、二枚目はハズレであった。
マヌカの一枚目は☆ひとつにて天然ゴムのロール、二枚目も☆ひとつにてガラスのインゴットがでた。
アラバン医師の一枚目はハズレ、二枚目は☆ひとつにて鉄のインゴットであった。
ナシノ女史の一枚目は☆みっつにて魔鋼のインゴットがでるも、二枚目はハズレ。なお魔鋼とは魔素をふんだんに含んだ特殊な鋼材にて、これを用いて名工が鍛えた武具や防具は、装着者の魔力を高めたり、魔法の威力をあげたりする効果が得られるという優れ物であった。
ここにきて☆みっつが登場し、ならば自分もと意気込み挑んだ枝垂であったが結果は惨敗であった。よもやのハズレ二連発にてガックシ。
でもって飛梅さんは一枚目が☆ひとつでアルミニウムのインゴット、二枚目がハズレ。
ここまでの情報をざっくり整理してみると――
オマケのカードのパッケージ十袋、一袋に二枚カードが入っているので、引いたカードは合計二十枚となり、うちレアカードは一枚のみでハズレが九枚。
……なにげにハズレ率が高い。
さすがは梅おかか味なだけあって、レアの出現率はけっこうしょっぱいのかもしれない。
あとハズレはポテチの袋がもう一個プレゼントなので、地味に食べきれないのが増えていく。
とはいえこれは人海戦術でどうにかなりそう。
じゃんじゃん食べて、どんどんカードを引けば、案外、楽にレアカードが揃って、飛梅さんがパワーアップしちゃうかも。
もしかしたら枝垂専用のアイテムなんかもあって、星クズの勇者も強くなれるかもしれない。
夢は広がるばかり。
枝垂がほわほわそんなことを考えていたら、ロバイス王が「頼む、枝垂。もう一回、もう一回やらせてくれ。このままでは引き下がれん。次こそは必ずいいカードを引くから」とせがまれた。
妻と娘がいいカードを引き当てたというのに、自分だけハズレ二連発だったのがよほど悔しかったらしい。
まぁ、枝垂も気持ちは同じである。
だから追加で「ポテトチップス梅おかか味。トレーディングカード付」を出そうとしたのだけれども……
円卓に右手をかざして「ムムム」と念じたところ、不意にクラリと眩暈がしたとおもったら、ポテっと倒れてしまい、枝垂はそのまま気を失ってしまった。
星のチカラが尽きたのだ。ポテチ召喚はおもったよりも消耗が激しかったらしい。
毎日毎日、カリカリ梅やら梅干しをポコポコ出し続けることで、枝垂の星のチカラの総量はかなりあがっている。
しかしそれを持ってしても、一日に十袋が限界のようだ。
つまり大人買いならぬ大人召喚の大人喰いにて、レアカードをてっとり早く集めるのは無理ということ。こつこつやるしかない。出来ることといえば、引きが強いエレン姫かナシノ女史にカードの開封を頼むことぐらいか。
やはり甘くない。トホホである。
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