それいけ!クダンちゃん

月芝

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067 学校七不思議 ― 尾行

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 天井から釣られている大きな鐘が、西日を受けてオレンジ色に輝いていました。
 ここは部室棟の屋上にある鐘塔の最上階です。
 あぁ、思い返してみれば、彼女の行動はいささか不自然でした。
 きっと誘われていたのでしょう。
 クダンちゃんたちの拙い尾行なんて、最初っから気づかれていたのです。

  〇

 風紀委員会の集団は校庭の部室棟を軒並み制覇すると、今度は四つの小隊に分かれて動き始めました。

 第一小隊は、体育館へ。
 勢いのままにバレーボール部やバスケットボール部などを強襲するつもりようです。

 第二小隊は、ダンボール箱を抱えて逃げ出した者らの追跡へ。
 よほど見られたくない品があったのか、あるいは没収されたくない物、もしくは意地か? なんにせよ直接対決は諦めて逃亡を選択した者たちがおり、それを草の根をわけても探し出しては、捕縛するつもりのようです。

 第三小隊は、遊撃として。
 状況に応じて、臨機応変に動いては、攻守をサポートし、より円滑な御用検めを実施します。

 第四小隊は、輸送部隊。
 没収された大量の荷を、風紀委員会が管轄している保管室へと運びます。
 ただし、たんなる荷運びではありません。奪還を目論む者たちを牽制しつつ、無事に保管室にまで辿り着かなければいけないので、とても難しい務めです。

 これら四つの小隊のうち、山田葉菜緒が組み込まれたのは第二小隊でした。
 だからクダンちゃんたちも、第二小隊の後方をつかず離れずにて、こそこそついていきます。
 しかしこれがとってもたいへん!
 なぜなら、第二小隊は逃亡犯を発見するなり「御用だーっ!」と一斉に駆け出すのですもの。
 当然、尾行している少女探偵団の面々も走ることになります。
 けれども、いかんせん体力差があって、元気ハツラツな風紀委員たちについていくのがやっとです。

 ひいこら、どうにか追いついたとおもったら、とっくに捕縛が完了しており、すぐさま別の獲物を求めて動き出す第二小隊。
 またぞろこれを追いかけるハメになるクダンちゃんたち。
 そんなことが三度ほども続けば、さすがにキツイです。

「ぜぇぜぇ、……連中は体力お化けなの?」
「ふぅふぅ、下手な運動部員よりもスタミナがあるっぽい」
「はぁはぁ、たぶん日頃から鍛えているのでしょう」
「ひぃひぃふ~、ひぃひぃふ~、やってることは学生運動を取り締まる機動隊とかわらない……のかも」

 クダンちゃんたちはすっかり青色吐息にて。
 さすがにこれ以上の追跡はむずかしいかも。
 とおもわれた矢先のことでした。

 ターゲットの山田葉菜緒が、すーっと第二小隊からひとり離れていくではありませんか!?

「えーと、トイレかしらん?」
「もしくは伝令役とか」
「家の用事とかで途中で帰らなくちゃいけないのかも」
「なんにせよ、すぐに追いかけないと見失っちゃう!」

 とっくに足はパンパンです。それでも疲れている体にムチを打ち、ときに弱気になる己を鼓舞し、互いを励まし合いながらクダンちゃんら四人は尾行を続けます。

 山田葉菜緒がまず最初に向かったのは、本校舎の昇降口でした。
 さりとてそこで何かをするでもなし、しばしうろちょろしてから、今度は二階にあがって職員室へと向かいます。
 さすがは二年生ともなると、物怖じすることなく職員室の扉をノックできちゃう。
 そちらでは自分のクラスの担任とおぼしき先生と、二言、三言、言葉を交わす。
 これが終わったらお次は二年二組の教室へと移動しました。

 そこはたしか彼女が所属しているクラスです。
 案の定、山田葉菜緒は自分の席にてカバンをがさごそ。あいにくと廊下からでは、何をしているのかまでは見えません。
 じきに教室を出ました。
 階段を下りて渡り廊下を通り、部室棟へ向かったとおもったら、またしても階段です。

 しかも登り!

 クダンちゃんたちのふくらはぎが「きゃーっ」と悲鳴をあげています。
 二階、三階、四階とズンズンあがっていったもので、またぞろ生徒会室にでも行くのかとおもいきやさにあらず。
 そこも素通りして向かうのは、さらに上の方――鐘塔です。
 山田葉菜緒は四角い塔の中へと踏み込み、そのまま内壁に沿って配置されてある螺旋階段を上へ上へと。

(こんなところに、いったいどんな用事があるのでしょうか?)

 訝しみつつも、あとをつけていく少女探偵団は、山田葉菜緒に続いて鐘塔の天辺にある部屋へとそーっと入っていきました。


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