それいけ!クダンちゃん

月芝

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057 学校七不思議 ― 怪盗ローファン

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 あれから怪獣島についての続報はなんら報道されず。
 第11ドームのウサギハウスが被害を受けたという話もちっとも聞こえてきません。
 おそらくはパニックが起きないように情報統制がされており、穏便かつ秘密裏に対応がなされたのでしょう。
 気になりつつも、元気になったクダンちゃんは一週間ぶりに登校しました。
 温かく出迎えてくれたクラスメイトたち、挨拶を返しつつ、自分の席へと座ります。
 そうしたら前の席の子が「ねえねえ、与謝野郡さんが休んでいる間に、じつはアレが出たのよ?」と話しかけてきました。

「アレ?」

 小首を傾げるクダンちゃんに、その子が教えてくれました。

「怪盗ローファンよ」と。

 怪盗ローファン……
 つばくろ高校七不思議のひとつとされているナゾの怪人のことです。
 男性なのか女性なのかも不明にて神出鬼没。
 そして狙うは女生徒の履物、学校指定のローファーばかりを盗む困った方。
 なのですけれども、ちゃんと代わりにピカピカの新品のローファーを残していくから、じつはそんなに困らない? サイズもぴったりで、サービスにインソールまでついてくるから、むしろお得かも?

 よもや自分が休んでいる間にそんな事件が起きていただなんて……
 お見舞いにきてくれたカエちゃんたちは、病欠していたクダンちゃんの身を案じ、きっと不安にさせないために、あえてこの話題を口にしなかったのでしょう。

「本当にでたのですか?」
「ええ、つい二日ほど前にね。やられたのは二年生よ」
「二年生ですか、時期的には絶妙なタイミングですね」
「だよね」

 なにが絶妙なのかというと、入学時から履いていたローファーが、成長期でサイズちがいとなっていたり、あるいは痛みが目立つ頃合いなのです。
 つまりちょうど買い替え時ということ。
 おそらくは持ち主も「そろそろ新しいのを買わなくちゃ」と考えていたことでしょう。
 そんなタイミングでの窃盗……というか交換なもので、なんとも文句が言いづらい。いえ、むしろ「ありがとう」と感謝を口にする被害者もこれまでにちらほらと。
 とはいえ、得体の知れない相手にずっと履いていた靴を持ち去られるというのは、あまり気分のいいことでもなくて。

「あんなことや、そんなこと、ヘンなことに使われていたらどうしよう……。きゃーっ、不潔よ! 不潔!」

 と気味悪がっている女生徒もいるわけで。
 もっともそうやって騒いでいる子が被害に合ったという話はとんと聞こえてきませんけれども。
 どうやら怪盗ローファンはしっかり下調べをした上で、犯行に及んでいる模様。

 あれこれと教えてくれる前の席の子。
 その話に「へー」と感心するクダンちゃん。「ところで七不思議って他にどのようなものがあるのでしょうか?」

「七不思議? えーとね、たしか……」

 つばくろ高校七不思議。
 
 その一、生徒会。
 なぜだか部活動のひとつとして存在しているつばくろ高校の生徒会、その影響力はおもいのほかに強く、その長い手は方々にまでのびているという。
 
 その二、小鬼さん。
 校内に破損箇所とかがあっても、いつのまにやら修繕されている。どうやら夜中に小鬼さんたちが、せっせと修繕してくれているようだ。ただし、彼らはとてもシャイなので、ぜったいにその姿を生徒には見せないという。
 
 その三、伝説の樹。
 つばくろ高校のシンボルのような大樹。卒業式の日に、この木の下で告白をして結ばれたカップルは、永遠に幸せになれるという。

 その四、変な間取りの教室。 
 一見すると普通の教室だが、長時間いるとなぜだか気分が悪くなってきて、クラリと眩暈が……

 その五、御庭番衆部。
 部活動で密かに学園の平和を守っているという影たち。
 どこに部室があるのか? 部員の数は? その規模は? 活動内容は? 顧問は? 所属しているのは誰? 一切が不明。
 だが、彼らは確かにいる!

 その六、怪盗ローファン。
 先に述べた通りにてここでは割愛する。

 その七、???
 六つの不思議を解けば明らかになるというが、知ったが最後、トンデモナイ目に遭うらしい。ガクブル。

 さすがはつばくろ高校、他校とはかなり毛色のちがう七不思議ばかりにて。
 怪盗ローファンは、活動を再開すると連続して犯行に及ぶそうなので、いましばらくはこの話題が校内を騒がせそうです。


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