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911 りんぐ
しおりを挟む公園でバトミントンをして遊んでいたときのこと。
うっかる強く打ちすぎて、ハネがポーンと頭の上を越えてしまい、繁みの中へ。
さいわい木の枝とかに引っかからなかったので、ミヨちゃんとヒニクちゃんは二人してすぐに見つけることができた。
でもハネを探している途中で、足下にてキラリと光るモノがちらり……。
「なんだろう」
半分地面に埋もれていたソレを拾ったミヨちゃん。
形は指輪っぽい。
けど輪っかが途中で切れている。
断面からしてニッパーとかの工具で、ちからまかせにブチっとしたっぽい。
で内側には、アルファベットにてイニシャルとおぼしきものが彫られてあるけど、かすんでしまってよくわからない。
「うーん、片方はエヌかな。でももう一方がわからないや」
ミヨちゃんから指輪とおぼしき品を手渡されたので、確認してみたヒニクちゃんも首を横にふる。
まぁ、イニシャルがわかったところで持ち主を特定できるでもなし。
「……というか、明らかに落としたとかじゃないよね? だとしたら自分で捨てたのかな。でもがっつり壊しているから、別れ話がもめたのかも」
まずはそんな予想を立てたミヨちゃん。
浮気とかされて怒った女の人が「きーっ」となって。
とか考えた。
いかにもありえそうな話だが、「でもちょっと待って」とミヨちゃんが更なる深読みを披露する。
「この切られているところ、ちょうど二人のイニシャルをつなぐところだよね? たまたまにしてはデキすぎだよ。なにやら怨念めいたものを感じる。だとしたら……」
とあるカップルがいて、それを妬み憎む第三者がいて、これは悪意の果ての所業。
自分で口にしている考えに、ゾクリときてぶるるをふるえたミヨちゃん。
「ドロドロの三角関係だよ!」
あとは、指輪をこんな風にした犯人は、じつは男の方。なにせニッパーで指輪をどうにかするのってけっこうチカラがいりそうだし。
もしくは結婚目前に破談になって、とか。
あーでもない、こーでもない。いやいや、あるいはこんな感じで。
落ちていた指輪の残骸をネタに、やいやい妄想をひとしきり楽しんだ二人の幼女たち。
そろそろ飽きてきたところで、ハタと困った。
「これって落とし物として交番に届けるべきなのかしらん」
指輪の価値とかわからない。
ダイヤっぽい石とかはついてないけど、シルバーだのプラチナだのが使われていると、それなりにする。
とはいえわざわざ壊して捨てているし。
いや、もしかしたら犯罪の証拠という可能性もある?
なにより男女の想いがこもった品。下手に扱ったらなんだか祟られそう。
「うーん、やっぱり、とりあえず交番行きがぶなんかなぁ」
いろいろ思い悩んだミヨちゃん。そう結論を下す。
ヒニクちゃんも同意しつつ、ぼそり。
「指輪が婚約の証となったのは古代ローマ時代らしい」
さかのぼれば紀元前の古代エジプトの頃からリングは存在。
魔除けに権威の象徴、契約や誓約のしるしだったり。
もともと呪術的意味合いがあったみたいだし、わりと怖い品かも。
……なんぞと、コヒニクミコは考えている。
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