上 下
799 / 1,003

805 そこ

しおりを挟む
 
 ミヨちゃんはホラー系もわりとイケる口だ。
 テレビで心霊特番とか恐怖のほにゃらら映像、怪談ドラマなどを放送していたら、必ずチェックしている。
 だからその手の番組が増える夏場は、けっこううれしい。
 でも、だからとてこれを真に受けているのかとうと、そんなことはない。
 こわいを楽しんではいるけれども、九対一ぐらいの割合で信じてはいない。
 幼女いわく。

「いや、本当にいたらシャレにならないし」

 である。
 あくまで娯楽のひとつ、ゾクゾク背筋が凍るのを、フィクションとして楽しんでいるわけだ。
 世の中の大半の人がそうであろう。
 影響を受けすぎて、ヘンテコな宗教に走ったら、当人のみならず周囲も迷惑しちゃうから。
 そんなミヨちゃんだが、だからとてなんでもかんでも未知のモノをウエルカムというわけではない。
 未確認飛行物体やら、未確認生物とかはいい。
 ロマンがある。
 さすがに山やジャングルや湖にはいなさそうだけれども、まだまだ手つかずにてナゾ多き深海ならば、あるいは……とか考えている。
 だからたとえ明らかに合成チックなインチキくさい映像やら画像でも、笑って受け入れる。
 が、一転して「ふーん」と淡泊な対応になるのが、占い系。
 占いは今も昔も大人気。
 古代では国をも動かし、現代でも信奉者は数多。生活に熱心に取り入れている者もいれば、会社の経営やら、政治判断を委ねている者もいるとかいないとか。
 朝の情報番組には必ず星座占いのコーナーがあるし、散々に根拠がないと揶揄されている血液型占いも、いまだにマイナーチェンジをくり返してはちゃっかり生き残っている。
 その一方では新たな占いが続々と生まれては、消費されて、消えていく。
 他方では古くからあるタロット占いとかや、占星術なんかが脈々と受け継がれている。

 そりゃあ、ミヨちゃんだって小学二年生の女の子だから、歳相応に占いは気になるしチェックもする。
 いいことを言われたらうれしいし、結果がいまいちだったらちょっとへこむ。
 でもそれだけだ。
 なのに、たまに占い師がえらそうに説教を垂れている姿が、テレビに登場する。
 カウンセラーでもなんでもないのに、もっともらしいことを口にしては、居丈高。
 それを受ける側も、なぜだかヘコヘコしてみっともない。
 そしてそんな占い師が世間から妙に持ちあげられて、ありがたがられているのも、気にくわない。

「わたしにしたら、そんな社会の方が、よっぽどホラーで怖いよ。いい歳した大人たちが何やってんのって、なるよ」

 下校中のミヨちゃん。昨今の、というか昔から定期的に沸いてくる、その手のブームに物申す。
 これを受けて、おもむろにヒニクちゃんが口を開いた。

「占いは悪魔の証明」

 見える人には視える。わかる人には理解できる。
 感じる人には感じられる。アンテナの感度の問題などなど。
 どうでもいいことばかり言い当てて、宝くじとかはさっぱり。
 どちらかといえば、みんなそこが知りたいっていうのに。
 ……なんぞと、コヒニクミコは考えている。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

ロリっ子がおじさんに種付けされる話

オニオン太郎
大衆娯楽
なろうにも投稿した奴です

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

小児科医、姪を引き取ることになりました。

sao miyui
キャラ文芸
おひさまこどもクリニックで働く小児科医の深沢太陽はある日事故死してしまった妹夫婦の小学1年生の娘日菜を引き取る事になった。 慣れない子育てだけど必死に向き合う太陽となかなか心を開こうとしない日菜の毎日の奮闘を描いたハートフルストーリー。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

処理中です...