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589 再放送
しおりを挟むあの人気ドラマを一挙放送しちゃいます!
あのアニメをまとめてドーンと地上波で!
映画版が公開されたり、新シリーズが始まったりするときに、たまに見られるテレビの番組編成。
それがいつしか年末年始にも幅を利かすようになった。
びっちり埋まった新聞のテレビ欄をよくよく見れば、踊っているのが「再」の文字。
ドラマばかりか、バラエティまで、再再再と再放送。
そしてニュースなどの情報番組では、一年の総括という名の総集編。
どこかで見たような内容ばかりが電波に乗って垂れ流される。
「年末やお正月とかって、わりと退屈なのがお約束だけれども、この頃、ちょっと手抜きが過ぎない?」
商店街の本屋さんにて立ち読み中のミヨちゃんとヒニクちゃんの二人。
ミヨちゃんが雑誌の正月特番を特集したページをめくりながら、ぶつくさ。
年明けこそは気合の入ったスペシャルドラマとかを放送する局もあるが、全体で見れば量が明らかに激減している。
ひと昔前ならば、超大型時代劇とかやっていた。
それも十時間ぐらい、ぶち抜きとかイカれた枠で!
けっこうな大御所の役者が、青年期から晩年期まで通して演じるとかいう無茶もやらかしていた。
バラエティ系にしても、けっこう過激に攻めた内容だったのに、すっかり鳴りをひそめて大人しいものになっている。見た子供がマネをする? 悪影響? はんっ! ちゃんちゃらおかしくってヘソで茶を沸かしてしまうぜ。
漫才番組に至っては、芸人がまったく同じネタをやっているのを見て、愕然とさせられることもしばしば。あんまりにも芸の引き出しが少なすぎる。もっともソレは制作側から「それでお願いします」との指示が飛んでいるのかもしれないが……。
映画の放送はまだ許せる。
しかしドラマの再放送はダメだろう。しかも平素からバンバン再放送している奴を、またもってくるとかヒネリがないのにもほどがある。
そりゃあ、安心の面白さがあるし、ファンも多いから、安定した数字が取れるだろうが、だからとて、年末年始からソレに手を出すなんて、なんと情けないことか。
クイズ番組も、どこかでみたようなシステムばかりにて創意工夫がない。
あげくに「伝説の番組が復活」とか臆面もなく言って、かつての安牌にすがるだなんて、もうとても見ちゃいられない。
「そりゃあ、スポンサーが減って、製作費も昔のようにはいかないのは知っているけれども、だからって戦う姿勢を忘れたらダメだと思うの。こんなことを続けていたら業界全体がいずれダメになっちゃう」
冒険心を忘れた者たちが君臨する業界に、果たして気骨溢れる若人たちが集うであろうか?
きっと見向きもすまい。
付き合うだけ時間の無駄だと優秀な者ほど、呆れて、ソッポを向く。
そして違う世界へと行ってしまうことであろう。
「年明け一発目から再放送の文字が並んでいる時点で、かなりやばい状況だってことに、いい加減に気づかないと」
小学二年生の幼女に心配される放送業界に明日はあるのか?
ミヨちゃんの嘆きと心配を受けて、パタリと手にしていた月刊「家庭菜園」を閉じたヒニクちゃん。おもむろに口を開く。
「いっそのことオール再放送の局が一つぐらいあってもいいかも」
金と手間がかかるわりに賞味期限が短い女子アナは放出。
金喰い虫の社員や制作、管理職もバッサリカット。
似たり寄ったりのニュース番組やワイドショーも他局に任せちゃう。
そして浮いたお金をそっくり再放送枠に充てれば、けっこういい線いくかも。
……なんぞと、コヒニクミコは考えている。
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