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251 続お呼ばれ
しおりを挟むサトナカ宅を訪れたら、いきなり捕獲されて抱き枕状態のヒニクちゃん。見知らぬキレイなお姉さんが放してくれない。
すっかり困っていると、階段の上からアイちゃんの声が聞こえてきた。
「何してるのよ。早くあんたもいらっしゃい」
が、ヒニクちゃんに答えることはできない。
なぜならガッシリと抱きしめられて、たわわな胸に顔をうずめているので、返事どころか呼吸がヤバイ。
いっこうに上がってこないことに、焦れたアイちゃん。
トトトと階段を降りてきてひと言。「ちょっとお姉ちゃん。わたしのお客さまなんだから、はなしてよ」
「えー。ちょっとぐらいいいじゃないのー」
「だめ! ミヨちゃんといっしょに彼女の髪もいじるんだから」
「だったら、私も混ざるー。アイってば、この頃、ちっともいっしょに遊んでくれないんだもの。むかしは『お姉ちゃん大好き』って、どこにでもちょこちょこついてきていたのに。それなのに、この頃は……」
……なかなかいっしょにお風呂に入ってくれない。ようやく入れてくれても体を洗わしてくれない。お風呂あがりに体を拭かせてくれない。いっしょのお布団で寝てくれない。だから夜中にこっそりとベッドにもぐりこんだら、怒られた。クローゼットに潜んで隠し撮りしていたら、しこたまキレられた。ちょっと脱ぎたてのパンツを手にとっただけで、ものすごく怒られた。
などなど、なんだかトンデモ発言を連発する美人さん。
これがウワサの読者モデルをしているという、アイちゃんのお姉さんのサトナカマイ。
現役女子高生って話だが、どうやらミヨちゃんのところの二人のシスコン兄たちとは、方向性の違う、危険人物であるようだ。
ひょっとしてアイちゃんが、なかなか友だちを家に招待しないのって、コレが原因なのではと推察するヒニクちゃん。
小学二年生の妹相手に、ゴネにゴネたマイ姉さん。
結局、半ば強引に参加することに。
三階のアイちゃんの部屋では、すでに用意されたイスにちょっこんと座らされているミヨちゃんの姿が。
それを見たマイ姉さん、「こっちもかわいい」と抱きしめた。ヒニクちゃんのときといい、たんなる重度のシスコンなだけでなく、ロリコンでもあるようだ。
「ごめん、それウチの姉さん」
アイちゃんから紹介されて、なにを勘違いしたのかミヨちゃん、ギュっと抱き締め返したものだから、マイ姉さんのテンションがグングンうなぎ昇り。
どうやらミヨちゃんは、ウワサのイケてる読者モデルだから、外国人っぽいハグのあいさつなのかと思ったらしい。
女子高生と小学二年生の熱い抱擁は、呆れたアイちゃんが止めに入るまで、たっぷり五分ほど続いた。
どうにか騒ぎがおさまって、ようやくミヨちゃんの髪をいじりはじめたアイちゃん。
念願がかなって、よほどうれしいのか、教室では見せないニコニコ笑顔にて、おしりふりふり、鼻歌まじり。
それを眺めるマイ姉さんは、いそがしそうに携帯のカメラでパシャパシャ撮影中。
口の端がだらしなく、ちょっとヨダレが垂れていたのは、見なかったことにするヒニクちゃん。
そんなヒニクちゃんは、現在、何故だかアイちゃんとマイ姉さんのママさんの膝の上にいる。
娘の友だちが遊びにきたというので、ジュースやお菓子をもって部屋に顔を出したママさん。
現役売れっ子デザイナーのママさんは、家事と仕事を両立している出来る女。
そんないそがしい身なのに、そのまま、しれっと居座っている。
じつはサトナカのママさん。人形作家であるコヒニサユリこと、ヒニクちゃんのお母さんの大ファン。
ほんとうはこの前の参観日のときに、ぜひともお近づきになりたかったのに、周囲を他の親御さんらにかこまれて、近づけないうちにタイムアップ。
内心ではとってもガッカリしていたところに、次女がサユリさんの娘を自宅に招待したことを聞きつけたもんだから、ひそかにスケジュールを調整してまで、この日に備えていたのである。
サユリさんは娘にだまって、彼女を作品のモチーフにして何体も制作している。
それらを個展で穴の開くほど熱心に見ていたサトナカのママさん。
「やっぱり、私がにらんだとおり、モデルはきっとこの子なんだわ」との確信を抱き、そのまま本人も抱いて離さないという次第。
いかにヒニクちゃんといえども、大人の女性にガッチリと掴まれては脱出は困難。
まさか友だちのママさんの鼻っぱしらをへし折るわけにもいかず、諦めてされるがまま。
気分はまさに等身大人形。そんなヒニクちゃんがボソリ。
「わたし、大ピンチ」
ニコニコ笑顔で、キャラメル色のくせっ毛をいじっているアイちゃん。
ニコニコ笑顔で、幼女たちの戯れる姿の写真を撮りまくっているマイ姉さん。
ニコニコ笑顔で、私を放してくれないママさん。執着と熱意は紙一重だと思うの。
……なんぞと、コヒニクミコは考えている。
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