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812 海上決戦!
しおりを挟むう~ん、ちょっとアクシデントが勃発。
愛葉会の首魁が潜んでいるであろう大型タンカーを発見したまではよかったのだが、あろうことが伯魅が突撃を敢行!
てっきり適当なところに着陸するのかとおもいきや、船体のどてっ腹に風穴をあけて、単身、中へと乗り込んでしまったのだ。
これにはその場面を目撃した一同、「えぇーっ!!」
「誰だよ、桃は傷みやすいとかいっていたのは?」
「めちゃくちゃ頑丈じゃん!」
「まるで砲弾だな」
「おいおい、嘘だろう」
「タンカーの船体って、たしか鋼鉄製でしたわよね」
「ひょっとしたら、この短期間で能力が成長しているのかも」
「鬼とはいったい……」
「現時点でこれとは、なんとも末恐ろしい」
だが呆けていられたのはここまで。
いくらすごくても伯魅はまだまだ子ども。急ぎ合流せねばならない。
だからすぐにでもタンカーのヘリポートに着陸したかったのに、先客の機体があって降りられない。
そこでおれたちは上空を旋回するヘリコプターから甲板に飛び降りることにする。
「四伯おじさんっ!」
「あいよ、変化」
化け術発動、おれがドロンと鉄パイプに化けるなり、それを引っ掴んだ芽衣が「ていやっ」と先陣を切って宙へと踊り出る。いや、おれだってここはヒーローよろしく、颯爽と行きたかったけど、そんなことをしたらボキリとあちこちの骨が逝くからね。その場のノリで行動するとロクなことにはならない。おっさんはちゃんと学習しているのである。
芽衣のあとに弧斗羅美、出灰桔梗、白妙幸らが続く。
びゅうびゅう殴りつけてくる海風をものともせずに降下するタヌキ娘が、くるりんぱ。着地時の衝撃を前受け身にて逃がしつつ、勢いを利用して跳ね起きるなり、甲板を突っ切り最寄りの入り口へと疾駆。
出灰桔梗と白妙幸もこれにならう。
一方で弧斗羅美はその場にとどまり、「滅爛虎慄紅武爪術、三の段、百花斉放っ!」
いきなり大技にて完全獣人化したトラ猛女。金色の瞳がぎろりとにらんだのは、ヘリポートを占領している一機。おそらくは敵首魁の所有物であろうそれにむかって、トラ猛女は渾身の蹴りを放つ。
ぐしゃりと破砕音。その一撃でもってひしゃげたヘリコプターの機体が、ごろん。派手に横転したひょうしにプロペラの羽がへし折れ、尾翼がもげる。そいつをトラ猛女はさらにもうひと蹴り。
その二撃でもって邪魔なヘリは海へと転げ落ちた。
盛大な水柱があがるのを横目に、上空のヘリコプター内より身を乗り出している、安倍野京香の手にしたライフルの銃口が火を吹く。
正確無比な射撃にて狙い撃つのは、甲板上にいた敵の見張りたち。
案の定、敵兵も銃火器類を保有しており、突如としてあらわれた襲撃者らに向けてさっそく発砲してきたもので、容赦なく返り討ちにする。
ともに上空に残っていた零号の左腕に内蔵されたクギガンも連射モードにて、ダダダダダダッ!
先に降りた仲間らを援護しつつ、自分たちのヘリコプターを守る。
みなに聞かせるようにして安倍野京香が指示を飛ばす。
「芽衣と四伯は伯魅との合流を最優先しろ。桔梗と幸はそれをサポート。トラ美は敵戦力を削りつつ動力部を確保。瑪瑙は無線で後続部隊に逐次報告を。零号はこの場に残って瑪瑙とヘリを守れ。私は進路上の敵を掃討しつつ、艦橋を押さえる!」
役割りが決まったところで、早速行動を開始するメンバーたち。
いまここに、鬼姫を狙うカルト集団である愛葉会と動物界との海上決戦が幕を開けた。
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