100 / 254
100 カネコとシェイプシフター。
しおりを挟む勇者を四散させたシェイプシフター。
左の拳をもギュィ~ンと回転させ、ハードコークスクリュウ・ブローの二刀流となった。両腕をブイブイいわせては猛威を振るう。
うかつに攻められない。巻き込まれたら勇者の二の舞となる。
だから魔法使い、賢者、女騎士、ギルド長らは回避につとめ、いったん距離をとりつつ様子見となり、戦いは硬直状態へと陥った。
さなかのことである。
「あ~、めんどうくさい」
聖女がボヤキながら勇者を復活させている。
どうせ役に立たないのだから、いっそのこと戦闘が終わるまで放っておけばいい。
ワガハイなんぞはそうおもうのだが、聖女いわく「あんまり時間をおくと、あちこち傷むんですよ」とのこと。
腐っても勇者なのが、本当に腐る。
バカがいっそうバカになる。
それはさすがに看過できない。
ワガハイは作業中の聖女を守りつつ「だったらムリせずに撤退すればいいのにゃあ」と進言してみた。
だって、わざわざ向こうのホームで戦わなくても。さっさと隠し通路に逃げ込んでしまえば、シェイプシフターは追ってこれないんだもの。
「むにゃむにゃ」呪文を唱えていた聖女、いったん中断して「……それもそうですね。よくよく考えてみれば、私たちの目的はダンジョンコアの回収ですし」とうなづいた。
そうと決まればさっさと勇者を復活させて、とんずらしようとしたのだけれども。
まるでこちらの考えを見越したかのように、シェイプシフターが先手を打ってきた。
ヤツは両腕を前へと突き出すポーズにて。
ドドンッ!
ふたつの爆音がしたとおもったら、発射されたのはシェイプシフターの肘から先の部分である。
よもやのロケットパンチ!
合体変形だけに留まらず、まさか拳まで飛ばしてくるだなんて。
ヤツはどれだけワガハイの少年心をくすぐれば気が済むというのか。
でも、こんな場所でそんなモノを放ったりしたら……
ゴンッ、ガンッ、ドゴッ、バキン、ドスン、バタン。
ほら、言わんこっちゃない。
壁や床に天井と柱、あちらこちらへぶつかりまくりにて、自損事故を連発しまくり。
所狭しと大暴れする当たり屋。まるでビリヤードの玉のようにガンガンぶつかるもので、ワガハイたちは「ワーキャー」逃げ惑うことになった。
そして困ったことに、ロケットパンチのサイズが隠し通路にジャストフィット。
もしも逃げん込んだところで追撃を受けたら逃げ場がない。成す術なく一同そろってゴリゴリとミキサーの刑に処されてしまうだろう。
それこそがシェイプシフターの狙いだったのである。
逃亡時のリスクがいっきに高まった。ほぼ逃亡を禁じられたようなものだ。
こうなったら戦うしかない。
ワガハイたちが覚悟を決めたところで……
「私が行こう。皆は援護を頼む」
切り込み隊長を買って出たのは女騎士だ。
ビュンビュン飛び回っている腕はやっかいだが、それさえ掻い潜って懐に入ってしまえば、こっちのもの。
しかし相手は頑丈な宝箱の魔獣である、並の斬撃では通用しない。
なのに仲間の女たちが反対しないところをみるに、何やら秘策があるということか。
そうしたらここで「そうか。だったらうちのを連れて行くといい」とギルド長。
え~と、女騎士がカネコに騎乗するってことらしい。
けど、あれ? ワガハイの意思は? 何も聞いてないんですけど……
ワガハイが抗議の目を向けたら、ギロリとにらみ返されて黙らされた。う~ん、うちのギルド長の目力が強すぎる、あと目つきも悪い。
ちなみにこの話し合いの間、ずっと蚊帳の外であったモブ顔勇者さま。
いつもならば我先にとしゃしゃり出てくるのに、ずいぶんとおとなしい。
不審におもって見てみたら、勇者さまはぼんやりヨダレを垂らしており、声をかけても反応がなく、目の焦点も合っていない。
呆けている勇者さまの頭をバンバン叩いている聖女も首をかしげている。
「あら、おかしいわね。いつもならコレで直るのに」
そんな……昭和のブラウン管テレビじゃあるまいし。
まぁ、それはともかくとして。
寄宿生物カネコにまたがる女騎士という、異色の組み合わせが誕生したところで、いざ尋常に勝負!
0
お気に入りに追加
70
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる