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ギギガガのガガのガ
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「ユースケ様、お久しぶりです」
「おお、ソランか。2ヶ月ぶりか?旅の調子はどうだ?」
執務室で仕事をしていると、大きな虫かごを持ったソランがやってきた。
虫かごが気になるがとりあえず近況を聞こう。
「妖精族の大陸の見聞も終わり、魔族の大陸へ行くところです。そのために一度人族の大陸を経由しなければならないので、現在港で船を待っています」
「やっと二つ目の大陸か、こりゃ一人に戻るのに何年待つことになることやら」
「妖精族の大陸はニアラ殿の件がありましたから。他の大陸ではそう大きな足止めはありませんよ」
ホントかなぁ。なんだかんだで長居するフラグになった気がするぞ。
「それとこれを」
ソランが出してきたのはさっきから気になっていた虫かごだ。
中には黒い触手が入っている。気持ち悪い。
「これは?」
「邪神ギギガガのガガのガです」
「分からん」
その後、ソランから詳しい説明を聞いて何とか大まかに理解できた。
「なあ、あっちの俺面倒なところ全部こっちに回していないか?」
「あっちで持っておくと、残りのガが追ってくる可能性がありますので適材適所と思いますが」
そうだけどさぁ。
「俺がしないといけないのは、人々が持つこいつへの恐怖心を無くすってことでいいのか?」
「はい。邪神の力の源は人々の恐れ。ユースケ様も少しはこれに恐れがあるのでは?」
確かに。キモいと思うと同時にゴキブリが部屋の隅に居るくらいの恐怖心を感じる。
……黒いしこいつ≒Gじゃん。
「でもこの程度なら大丈夫じゃない?」
「できれば1を0にして頂きたいです」
無理でしょ。こんなのでも少しくらいは怖いよ。ほら今ビチチッ!って動いた。
「あとこれ、聖属性の無いものが触れると腐食してしまうので気をつけて下さい。この虫かごはホーリースライムが祝福済みです」
「最初に言えよなそれ!…………暴れ出すとかないよな?」
「人々の恐れ次第では有り得ますが、ギギガガはともかくガガは私だけでも対処できました。ニアラ殿が警備に常駐しておけば万全かと」
えー、ニアラ、ラボから動くかなぁ?
こいつの処遇は少し考えてみるか。丁度資料を提出しに来たニアラの助手のダンジョンマスターが居るから渡しとこう。
「おい」
「え?何すか何すか?」
「これ、ラボに持ってってニアラに見張りしといてもらえるか?」
「うわー、気持ち悪いっすね」
「おい!触るな!」
「うわわっ、腕がー!」
手が腐り始めたバカと俺が慌ててる間に、ソランは仕方ねえなコイツラみたいな感じで苦笑して帰ってしまった。
俺たちふざけてねえからな!真面目に慌ててんだ!
……とにかく、腐食は部位を切り落としてしまえば止まることが分かったのは怪我の功名だったな。
もちろんバカはすぐに治療して切り落とした腕も無事元通りに再生できた。
虫かごに触るべからずとマジックで書いて持って帰ってったよ。あいつバカだけどタフだな。
「ユースケさん……」
「コーリンさん。慣れてくれ。自分で志望した就職先だ」
「進路間違えましたわ」
手伝いに来てくれていたコーリンは隅でずっと震えていた。
「おお、ソランか。2ヶ月ぶりか?旅の調子はどうだ?」
執務室で仕事をしていると、大きな虫かごを持ったソランがやってきた。
虫かごが気になるがとりあえず近況を聞こう。
「妖精族の大陸の見聞も終わり、魔族の大陸へ行くところです。そのために一度人族の大陸を経由しなければならないので、現在港で船を待っています」
「やっと二つ目の大陸か、こりゃ一人に戻るのに何年待つことになることやら」
「妖精族の大陸はニアラ殿の件がありましたから。他の大陸ではそう大きな足止めはありませんよ」
ホントかなぁ。なんだかんだで長居するフラグになった気がするぞ。
「それとこれを」
ソランが出してきたのはさっきから気になっていた虫かごだ。
中には黒い触手が入っている。気持ち悪い。
「これは?」
「邪神ギギガガのガガのガです」
「分からん」
その後、ソランから詳しい説明を聞いて何とか大まかに理解できた。
「なあ、あっちの俺面倒なところ全部こっちに回していないか?」
「あっちで持っておくと、残りのガが追ってくる可能性がありますので適材適所と思いますが」
そうだけどさぁ。
「俺がしないといけないのは、人々が持つこいつへの恐怖心を無くすってことでいいのか?」
「はい。邪神の力の源は人々の恐れ。ユースケ様も少しはこれに恐れがあるのでは?」
確かに。キモいと思うと同時にゴキブリが部屋の隅に居るくらいの恐怖心を感じる。
……黒いしこいつ≒Gじゃん。
「でもこの程度なら大丈夫じゃない?」
「できれば1を0にして頂きたいです」
無理でしょ。こんなのでも少しくらいは怖いよ。ほら今ビチチッ!って動いた。
「あとこれ、聖属性の無いものが触れると腐食してしまうので気をつけて下さい。この虫かごはホーリースライムが祝福済みです」
「最初に言えよなそれ!…………暴れ出すとかないよな?」
「人々の恐れ次第では有り得ますが、ギギガガはともかくガガは私だけでも対処できました。ニアラ殿が警備に常駐しておけば万全かと」
えー、ニアラ、ラボから動くかなぁ?
こいつの処遇は少し考えてみるか。丁度資料を提出しに来たニアラの助手のダンジョンマスターが居るから渡しとこう。
「おい」
「え?何すか何すか?」
「これ、ラボに持ってってニアラに見張りしといてもらえるか?」
「うわー、気持ち悪いっすね」
「おい!触るな!」
「うわわっ、腕がー!」
手が腐り始めたバカと俺が慌ててる間に、ソランは仕方ねえなコイツラみたいな感じで苦笑して帰ってしまった。
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「ユースケさん……」
「コーリンさん。慣れてくれ。自分で志望した就職先だ」
「進路間違えましたわ」
手伝いに来てくれていたコーリンは隅でずっと震えていた。
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