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全軍行動開始

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 快晴の下、二つの軍が対峙していた。
 片方はエスリメの属国の軍とエスリメ軍、もう片方は属国に侵略しようとした侵略国連合軍の一つ。この光景は後十数箇所、同じように展開されている。

 エスリメ軍の方は、雄亮からまだ指示が無い為動く気配を見せず、侵略軍の方は攻めようにも強大なエスリメ軍の様子を窺わなくてはならない為、こちらも動こうとしない。膠着状態であった。

 そんな停滞した状況で末端の兵士に油断が生じ始めた頃、青空の下に雄亮のホログラム映像が映し出された。

『ごきげんよう愚かな侵略軍と我が国民たちを拉致した国の民よ。余はエスリメの王、雄亮だ。本日は君たちにとっては残念な事を言わなくてはならない。まず余は誠に遺憾に思う。エスリメは全種族共栄、他国との平和的な交流を望んでいた。しかし、君たちはその気持ちを踏みにじり、エスリメが閉鎖中の隙を狙い属国を侵略しようと試みたり、避難していた元々は隣人だった者たちを奴隷に貶めるなど卑劣極まりないことをした。侵略の大義はダンジョンマスターに支配された国々の解放、だったか。全く笑えるほど無理矢理な大義名分だ。余はかの国々。支配しているのではない。保護しているのだ。まったく、人間とは理由をつけさえすればどんな残酷なことも平気でできてしまうんだな。いや、そんな人の道に反するような事ができるキチガイは人族の中でも少ないか。余と友好を望むものも多くいるからな。余は手を差し伸べられればそれに応じる手は、いくつでも持っている。しかし、剣を向けられればその者たちを後悔させる力も持っている。エスリメは平和主義だが決して無抵抗主義ではない!全軍、行動開始!』

 雄亮が右手を上げて振り下ろし合図を出した途端、エスリメ軍は野獣のような雄叫びを上げて侵略軍に向かって走り出した。

 そして同刻、世界各国の長たちに妖精族とエスリメが同盟を結んだことが知らされる事となり、中でも侵略国の長たちは真っ青な顔でその報を聞いていた。
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