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ワールドトレント撃破
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「どーれ、まずはその鬱陶しい枝葉を伐採してやろう。スピンカッター!」
柄を中心に高速回転させた数千の剣や斧を発射させたが、複雑な操作をしている為か、ベリル本人が乗っている剣は止まっていた。
数千動かしているのだからあと一本どうということはないと思いがちだが、自分が動いてしまうと今動かしている数倍の負荷がかかる。
ユースケ様の例えで言う、自転車に乗ってるか乗ってないかの差は大きい。
ベリルが止まっている隙を逃さずワールドトレントが魔法を浴びせかけるが、そこにノルンが割り込んだ。
大盾を乗り物にしているから彼を守る物は身につけている全身鎧だけのはずだった。しかし、魔法の爆発が収まって、少しずつ見えてきた彼には一切の傷が付いてなかった。
ノルンは腕を顔前で交差させている。何か特別な力を使ったのだろうと推測できる。
「あの大盾はただの足場かよ」
「ベリルと共闘している時はな。ソロの時はあれを使ってちゃんと防御するし、振り回してモンスターを殴り倒したりもしている」
と言うことはノルンは戦闘もしようと思えばできるのか。
今は攻撃をすべてベリルに任せて自分は守りに徹している。攻と守、二人の相性は抜群と言える。
隙を突いた攻撃を行って守りが疎かになっているワールドトレントにベリルの武器たちが襲いかかる。
全方位から迫る武器を必死になって魔法で打落そうとするが、多くの武器が避け、挙げ句の果には魔法を切り裂いて近づきワールドトレントの枝を切断し始めた。
回避していた武器たちは必要最低限の動きで避けていて、その繊細な動きはとても一人で操作しているとは思えない。
「すっげー、ただ飛ばすだけじゃなくてあんなに細かい操作を全ての武器で行っている」
「実はユースケ様の鑑定が通じないダンジョンマスターだったと言われても信じられるわー。なんだよあの出鱈目な能力は」
結果的に悪手を取って後手後手に回ってしまったワールドトレントは全ての枝を切り落とされ、体表は切り刻まれ満身創痍になった。
すると、ワールドトレントは最後の抵抗として、己のすべての魔力を集中させて赤黒い破壊の光を二人に浴びせた。
光が二人を包み込み爆発して、爆炎の中から二つの影が落下していった。
「何っ!?」
蘇生アイテムの身代わり人形は死んだら発動するが、死なないとどんな重症でもそのままだ。
私はすぐさま翼を広げて所々黒焦げになったベリルとノルンを地面に落ちる前に拾い上げた。
「は、はははは。やってやりましたよ」
力なく笑うベリルは顔の穴という穴から血が流れ出ている。武器の操作に集中し過ぎた代償だろうか。
ノルンは鎧の両腕と脇腹、左足部分が崩れ落ちている。あの攻撃をベリル庇って受けた上で重症程度で済んでいるとは……当たり所が良かったのかこの者の耐久力が異常なのか。
「今治療するから喋るな。全く、あの攻撃を受けて生き残るとは」
「約束ですよ。私の頼みを聞いてください」
「ダンジョンバトルが終わった後だ。いいからもう黙れ」
回復魔法を掛けて傷を治したが、激戦で精神的に疲労した二人はここまでだ。
二人に護衛を付けてエスリメへと返して、私たちはダンジョンの奥へと進む。
孔明殿、マスターソード殿にマオ殿、そして多くのダンジョンマスターたちがいるエスリメは、人間の国程度の戦力では敵にもならないと思っていたが、まだまだベリルやノルンのような逸材がいたとはな。
彼らだけが例外というわけでもあるまい。私の思っている以上に人間たちは強大ということか。
柄を中心に高速回転させた数千の剣や斧を発射させたが、複雑な操作をしている為か、ベリル本人が乗っている剣は止まっていた。
数千動かしているのだからあと一本どうということはないと思いがちだが、自分が動いてしまうと今動かしている数倍の負荷がかかる。
ユースケ様の例えで言う、自転車に乗ってるか乗ってないかの差は大きい。
ベリルが止まっている隙を逃さずワールドトレントが魔法を浴びせかけるが、そこにノルンが割り込んだ。
大盾を乗り物にしているから彼を守る物は身につけている全身鎧だけのはずだった。しかし、魔法の爆発が収まって、少しずつ見えてきた彼には一切の傷が付いてなかった。
ノルンは腕を顔前で交差させている。何か特別な力を使ったのだろうと推測できる。
「あの大盾はただの足場かよ」
「ベリルと共闘している時はな。ソロの時はあれを使ってちゃんと防御するし、振り回してモンスターを殴り倒したりもしている」
と言うことはノルンは戦闘もしようと思えばできるのか。
今は攻撃をすべてベリルに任せて自分は守りに徹している。攻と守、二人の相性は抜群と言える。
隙を突いた攻撃を行って守りが疎かになっているワールドトレントにベリルの武器たちが襲いかかる。
全方位から迫る武器を必死になって魔法で打落そうとするが、多くの武器が避け、挙げ句の果には魔法を切り裂いて近づきワールドトレントの枝を切断し始めた。
回避していた武器たちは必要最低限の動きで避けていて、その繊細な動きはとても一人で操作しているとは思えない。
「すっげー、ただ飛ばすだけじゃなくてあんなに細かい操作を全ての武器で行っている」
「実はユースケ様の鑑定が通じないダンジョンマスターだったと言われても信じられるわー。なんだよあの出鱈目な能力は」
結果的に悪手を取って後手後手に回ってしまったワールドトレントは全ての枝を切り落とされ、体表は切り刻まれ満身創痍になった。
すると、ワールドトレントは最後の抵抗として、己のすべての魔力を集中させて赤黒い破壊の光を二人に浴びせた。
光が二人を包み込み爆発して、爆炎の中から二つの影が落下していった。
「何っ!?」
蘇生アイテムの身代わり人形は死んだら発動するが、死なないとどんな重症でもそのままだ。
私はすぐさま翼を広げて所々黒焦げになったベリルとノルンを地面に落ちる前に拾い上げた。
「は、はははは。やってやりましたよ」
力なく笑うベリルは顔の穴という穴から血が流れ出ている。武器の操作に集中し過ぎた代償だろうか。
ノルンは鎧の両腕と脇腹、左足部分が崩れ落ちている。あの攻撃をベリル庇って受けた上で重症程度で済んでいるとは……当たり所が良かったのかこの者の耐久力が異常なのか。
「今治療するから喋るな。全く、あの攻撃を受けて生き残るとは」
「約束ですよ。私の頼みを聞いてください」
「ダンジョンバトルが終わった後だ。いいからもう黙れ」
回復魔法を掛けて傷を治したが、激戦で精神的に疲労した二人はここまでだ。
二人に護衛を付けてエスリメへと返して、私たちはダンジョンの奥へと進む。
孔明殿、マスターソード殿にマオ殿、そして多くのダンジョンマスターたちがいるエスリメは、人間の国程度の戦力では敵にもならないと思っていたが、まだまだベリルやノルンのような逸材がいたとはな。
彼らだけが例外というわけでもあるまい。私の思っている以上に人間たちは強大ということか。
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