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ウォルテニアの腐敗

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 神聖国ウォルテニア、その玉座の間には王と臣下たちがいた。
 そこにいる者は若者、年寄り、痩せてる者太ってる者、様々な姿であったが精神が腐ってるという点においては共通していた。

「陛下、勇者共が帰還致しました」

「通せ」

 通された勇者たちはまるで畜生を見るような視線に耐えてるのだろう歯を噛み締めている。
 勇者は三人。42歳の岩井誠司、23歳の秋原蓮、18歳の渡光。三人を代表して誠司が前に出て拳を左胸に当てて敬礼した。

「ダンジョンより帰還、エスリメの街の中央に転移座標の設置成功致しました」

「うむ、下がれ」

 王が犬猫を追い払うように、しっしっと手を払うあまりな態度にかっとなった蓮が前に出るが、光に肩を掴まれ止められた。
 それに目をつけた臣下の一人が口を荒げる。

「貴様、王の御前であるぞ!」

「何だ?貴様ら余になにか不服でもあるのか?」

 太った体のせいで窮屈な玉座でごそごそと姿勢を動かしながら王が言った。

「いえ、我らに不服などありません」

「そうだろうそうだろう。なにせお主らのような化け物のことを有効に使ってやってるのだからな」

「……………………………………………………おっしゃるとおりで御座います。失礼しました」

 喉元まで上がってきた言葉を飲み込んで、今にも暴れそうな蓮と光の肩を引っ張って誠司は玉座の間から立ち去った。
 そんな彼らを見て王と臣下たちは嘲笑を浴びせるだけであった。
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