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シゼール

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「その話、自分も一枚噛ませてくださいよ」

 話がまとまってきたところで扉が開いて、一人のドワーフの青年が入ってきた。

「シゼール坊、久しぶり。大きくなったねえ」

「ジェイ兄さんは変わってませんね」

 弟弟子だから兄さんか。
 見た目の歳ならアースラ、シゼール、ジェイの順なんだから不思議な感じだ

「自分とアースラ兄さんの工房で声をかけたらほとんどのドワーフの耳に入るはずです」

「そりゃいいや。シゼールさん。頼めますか?」

「兄弟子の主の頼みなら聞かないわけにはいきませんね。ですが、一つお願いがあります。エスリメ国での出店の許可をください」

 エスリメ?俺の国の名前ってエスリメって言うのか。
 slimeのSをそのまま読んで後はローマ字読みしてエスリメか。

「良いだろう。一筆書こうじゃないか」

 紙に彼とジェイとの関係と出店の許可を与えて欲しいと孔明宛に日本語で書いて渡した。

「これを孔明ってやつに渡せば何とかなるだろう」

「はは。ここまで話が早いとは、ありがとうございます」

 にこにこ笑いながら手紙を懐にしまい、シゼールにアースラが刀を手渡す。

「これがアースラ兄さんが作りたがってた刀ですか。これもなかなか興味深い剣ですが、自分はユースケ様の腰にある剣の方が気になりますねぇ」

 先程からシゼールはずっと妖精の剣に熱い視線を注いでた。
 どうやらシゼールは妖精の剣を見た事があるようだ。

 てことはあの崖を登ったのか。大して強そうでもないシゼールなのに…………マジで長命種怖い。

「ユースケ様、シゼールはSランク程度の実力はありますよ」

「…………そうか。なら納得だ」

 メッセージの魔法を使ってシゼールだけに聞こえる言葉を飛ばす。

『訳あって抜けた。こんな強力な武器が転がってると不安で眠れないのでな』

「そうだったんですか。自分も握るところまではいけたのですが、固くて固くて。とてもだめでした。よろしければ一度握らせてもらえませんか?」
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