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おしゃべり剣を黙らせる

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 一つ聞くがお喋りなやつってのは面白い話をしないと大体煙たがれるものではないだろうか?
 面白い話をすれば話の中心になれるが、面白く無かったら敬遠され、下手するといじめに発展するだろう。

 まあ俺が何を言いたいかと言うと…………。

『我輩を封印に戻せー!』

「やっかましい!少し黙ってくれ!」

 キイィィィン!

「こいつ!」

 この剣!試練の山から丸一日騒ぎっぱなしなのだ。
 ウザイから無視してたら挙げ句の果には刀身を震わせてキイィィィン!と嫌な高音を立ててきやがった。
 ヴァイオレットなんか鬼の形相で折ろうとしてたぞ。

「よっし、できあがり」

『む、それは鞘か。ふむ、高貴な我輩にふさわし…………』

 全て言い切る前に妖精の剣を鞘に収めると一日ぶりの静寂が辺りを包んだ。
 しばらく目を瞑り、深呼吸して静寂を堪能する。

「ユースケ様?これは……」

「この鞘にはサイレントの魔法を付与してあるんだ。てことだ。騒ぎたいなら好きなだけ騒げ。俺たちは熟睡させてもらう」

 刀身を震わせてガタガタ鳴らすが、それだけだ。
 今までの高音に比べればどうということはない。

「流石です。ユースケ様」

「かーかっか。もっと褒めいもっと褒めい」

 マスターたちが俺を褒める中、諦めずに妖精の剣はガタガタと震える。

「おい、それ以上音を立ててみろ。刀身にやかましの剣って刻むぞ」

 少し力を込めて言うとピタリと剣は動かなくなった。
 人間だったら背中にやかましい人間入れ墨彫られてるようなもんだからな。流石に黙るだろ。

 え?妖精の剣を加工できるのかって?
 スーパーホーリースミススライムを作ったら何とかなるだろ。
 今のうちに作っておくよう孔明に伝令を送ろう。

「静かにしてたら今度は普通の鞘に入れてやるよ」

「剣を脅すなんて悪い人ね」

「おいおい。俺たちはダンジョンマスターだぜ?悪いことして誰が咎めるんだ?」

 俺がおどけて言うと、ヴァイオレット以外の皆も声を上げて笑った。
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