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アダマンタイトの幸運

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 少年の地図のおかげて五層までサクサク来れた。
 途中の宝箱にはアダマンタイト製の物はなかったものの、業物の武器やミスリル製の武器まであった。

 売る気はさらさらないが、仮に売ればミスリル貨一枚なんて簡単に元が取れる成果だ。
 地図通り五層の手前の広場にいくつものテレポートゲートがあったが、今回は任務外なのでパスだ。
 任務外のことでわざわざ危険があるかもしれない場所に飛ばされるようなことはしない。後続の他の調査員に任せよう。

「さて、どうする?」

「ぶっちゃけ地図を提出したら依頼は達成できるからなー。少年が言っていた部屋に行って引き返すか」

「そうだな」

「賛成だ」

 それにしてもここのスライムは弱いなあ。
 受けた被害といえばマグマスライムにダレカが火傷を負わされたくらいだ。
 火傷には応急処置として潰した火傷に効く薬草を塗っておいた。

「これ染みるんだよ。ポーション使ってくれよー」

「その程度の傷に使ってられるか!ポーションが幾らすると思ってるんだ!」

 ここからはどうか分からないから、一応警戒して行くつもりだが他の二人は少し、いやかなり油断している。
 何で負傷したダレカがおしゃべりして俺が警戒してるんだ?

 まあ、ポーションが高いとぼやくのはいつもの事か。
 回復魔法を使える神官は冒険者なんて職業しないだろうし、どうしてもポーションが必要になる。

「あの部屋か?」 

「トラップは、無いみたいだな」

「ん?何だあのスライムは?」

 部屋に入ると一匹のスライムがいた。
 その色は、店で見たアダマンタイト製の剣と同じ色をしていた。
 ゴトリ。

「これは…………」

 スライムが出したのはあのアダマンタイトだった!
 そこから俺たちは今まで出したことのないスピードで動いた。

「うおおお!ダレカぁ!絶対に逃がすな!ナニカ!早くテイムしろ!」

「「おお!」」

 幸いアダマンタイトスライム(仮)は特に抵抗もせずに、ナニカに大人しくテイムされてくれた。

「ふう焦ったぜ。心臓が飛び出るかと思った。マジで」

「ふーむふむ。どうやらこの子は一日に一回この量のアダマンタイトを出せるようだ。戦闘力はあまり無い。むしろ弱い」

 一日に一回でも十分すぎる。
 この塊だって贅沢をしなければ人一人が一生働かなくていい量だ。

「新種か?」

「うん、こんなスライム聞いたことがない。あの少年の占いは当たっていたようだね」

 まったく。つくづくこちらを得にさせる少年だ。後で礼を言わなければな。

「これ報告したらそのスライム、ギルドに取られるんじゃないか?」

 ダレカの発言に黙る俺とナニカ。

「まあ、帰りは十日くらいはかかるし、それだけのアダマンタイトがあれば十分じゃねえか?」

「…………ダンジョン調査に時間がかかったと言えば二、三週間は稼げる」

「「それだ!」」

 心配事が綺麗さっぱり消えた俺達はようようと少年の店へ引き返していった。
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