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俺様は割と優秀なんだぜ

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「君たちはランナーになってどれ程経ってるんだ?」

「俺たちはこれからランナー登録をしに行くところなんです」

 先程から俺と話しているリーダー(多分)の話を聞いて、俺は改めて駆け出しパーティーのメンバーを観察した。

 剣士が二人に武闘家一人、魔法使い二人か。多分魔法使いの内一人は回復魔法が使えるな。
 中々バランスの整ったパーティーだ。新人はパーティー戦の経験が少ないから剣士五人とか剣士一人魔法使い五人とかふざけた編成の奴らもしばしば出てくる。

「君たちはランナーの養成学校に行ってたのかい?」

「はい。この町の学校に通ってました」

 なるほど。教官にバランスのいい編成を教えてもらったのだろう。しかし、こんな辺鄙な町の養成学校の割には丁寧な教育をする教官だ。
 質の悪い教官だと馬鹿みたいにひたすら組み手、あとは自分たちで勝手に勉強しろ!てやつも居るからな。

「着きましたよ」

 流石初心者用ダンジョンの町のランナー協会。小さい。大海のダンジョンの町の5分の1位の大きさだ。

「こんにちは。本日はどのようなご用件でしょう?」

「おじさん、先どうぞ」

 お?年上を優先させるとは殊勝なガキだな。
 俺様はうけつけのおばちゃんに自分のランナーとしての情報が記入されているカード、ランナーカードを渡した。

「アービィさん。23歳。養成学校は…………アカデミー!?私、アカデミーを卒業した方に初めてお会いしました」

 おばちゃんや駆け出し共の尊敬の眼差しを受けて俺様は心のなかでニヤリと笑った。
 俺様とリオンが卒業したランナー養成学校。アカデミーは、各町村の養成学校の校長が推薦した者だけが受験の資格を得ることのできる世界最高峰の養成学校だ。

 資格を出せるといったが、半端な奴を受験に行かせたら送り出した校長の責任問題になるから、資格を得るだけでもかなり優秀な人間の証明になる。

 ランナーとして著名な者たちの殆どがアカデミー卒の人間だ。
 しかも受験できても合格できる可能性は低く、俺様とリオン以外の同期が十人しかいないことを考えればその門の狭さは押して図るべきだ。

 デイルたちに散々器用貧乏器用貧乏と罵られているが、リオンパーティーのレベルが高すぎるだけで俺様は割と優秀なのだ。
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