【THE TRANSCEND-MEN】 ー超越せし者達ー

タツマゲドン

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Category 3 : Rebellion

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 黒髪の男が手を伸ばす。手から空気へエネリオンが流れる。空気が振動し、振動は広がりもせず一直線に前進する。

 音波に対する少年、アダムは体を左へスライドして躱した。突破しても次なる音波が出現し、躱してはまた表れる。何度も身体を傾けたり反らしたりするが、接近出来ない。

 避けられた音波が後方でベクトルを逆転し、少年の後方から襲う。

 それを知っているアダムは音波が接近する前に、相手との距離を詰めナイフを連続して突き出した。

 黒髪の男はバックしながら短い刃を体の動きでどうにか躱していくが、服の一部が切断されて何処かへ飛んで行ったのを目視した。

 目の前の少年が身を屈めた。男が自分で放った音波が丁度迫っていたのは分かっていた。

 音波へエネリオンを送り、屈折させて低姿勢の少年へ送ろうかと考えたが、脛への衝撃が考えを妨げさせた。

 音波がローキックを繰り出したアダムの頭上を通り過ぎ、黒髪の男へ命中。飼い犬に手を噛まれた様なものだから負傷よりも驚きは大きかった。

 アダムが起き上がりバランスが不安定な男目掛けてナイフを次々に振るう。武器を持たぬ男は攻撃する暇も与えられず、後退するのみ。

 2人の距離が更に縮まった。アダムが左足で地面を蹴り、右足で膝蹴りを繰り出したのだ。

 ナイフに気を取られていた男は膝を腹に受け、後ろに吹っ飛んだ。空中で体勢を整え、綺麗に着地した。

「面白いなあ。そうだ、自己紹介しよう。俺はジェフ・ベル」

 訳が分からなかった。何故戦いの最中だというのにこうも目を離す様な行為をするのか。しかし、その行為に注意を引かれてアダムも銃口を地面に下ろしていた。

 背後数十メートル先には無人兵器達が闊歩していた。2人の目はそれにも気を取られなかった。

「アンダーソン、お前が”我々”に戻ればあのブリキの群れ共を退却させてやる事だって出来る。どうだ?」
「何故そこまでして自分を連れ戻そうとする?」
「さあな、中佐に訊かんと分からんな」
「……」(また「中佐」と言ったか。何者だ?)
「お前はどうしたい?」

 アダムは暫く黙り、考えた。

 思い出したのはハンと話し合い、反乱軍の一員になると決めた事。それからアンジュリーナが地球管理組織の残酷さについて愁いのある顔で話した事。

 一番印象に残ったのは、何もない白い世界。

 少年がその中を走る。誰かが少年を追う。

 逃げたい。だが逃げられない。

 何故逃げたいのか、分からない。だがそう思っていた事は確かだ。

 だから返答は決まっていた。

「嫌だ」
「理由を聞きたい」

 二者に表情の変化は無い。

「行きたくないからだ」
「……」

 ジェフ・ベルと名乗る男が動揺を見せた。そして何かを思い付いた様に考える。

 その時だった。

『アダム、後ろ!』

 耳の通信ユニットから聞こえた聞き覚えのある気品の高い女性の声。雑な警告に直感的に従う事にしたアダムは振り向き、姿勢を低くする。

 視界に自分に向かって跳び蹴りを放とうとする人物の姿があった。クラウディアと戦闘を行っている筈の茶髪でサングラスの男だ。

 しゃがんでいたので茶髪の男は飛び越え、後ろへ着地。アダムが振り向き、迫る相手の横蹴りを腕で防いだ。

「アダム、大丈夫か?」

 通信機で聞いた声と同じ者からの問いだ。サングラスの男と同じ方向から来た銀髪の女性はクラウディアに他ならなかった。問いには頷いて応じた。

『ブラウン、俺はアレクソン司令の命令通り反乱軍兵士共を片付けに行く』
『了解、引き付けを行う』

 耳にはめ込まれた極小の思考通信機によるやり取りは反乱軍の2人に内容を知られない。

 サングラスの男がナイフの刃先と共にアダムへ向く。クラウディアがアダムへ寄り細剣を構える。アダムがサングラスの男へ対抗する様にナイフを構えた。

(この男、まさか1人で私達を相手にするのか?)

 クラウディアの予想通りか、黒髪の男が踵を返し、何処かへ走って言った。

(あの方向は……ロバート達が危ない!)

 しかしサングラスの男が通さぬ様にそれを阻む。2メートルも無い身長だのに壁の役割をするには十分過ぎた。

 一方、立ち去るベルは足を動かしながら心に引っ掛かった所を考えていた。

(何故アンダーソンがこんな「欠陥」を持っているのに中佐は取り戻したがるんだ?)




















 戦場と化したロサンゼルス郊外より遥か東方、ユタの荒野。

 打ち鳴らされる5本の刃。2本と3本に分かれて争いを繰り広げる。

 その内1本の湾曲した中国刀、リョウが所有するそれは敵トランセンド・マンの1人が持つ斧とぶつかり合う。

 リョウの剣撃が斧に防がれる。その度に斧の重量に押され強く弾かれた。

 相手の斧がリョウへ反撃を次々と行う。リョウの剣はそれを防ぐが、重量差によって押され後退を余儀なくされる。

 後ろへ下がるリョウの足元へ斧が薙がれる。それをリョウは跳び越えて避け落下と同時に剣を振り下ろす。

 空ぶった斧を引き戻した相手は頭上に斧をかざして剣を防ぎ、斧の重さを活かしてその剣を前に押しのけ、目の前の青年が後退する。

 押されたリョウは踏み出して八の字を描く様に剣を振るう。素早さで有利にする作戦だが、厚みのある斧は鈍いスピードを賄って刃を次々と防ぐ。

 次は相手の番、比較的遅いが重量のある一撃一撃がリョウを押し続け、攻撃は防がれるがペースを自分のものにしていた。

(俺以上のパワータイプか。じゃあ脅しでもやってみるか)

 突然リョウは距離を取り、剣を持っていない左手を前に向けた。エネリオンが放出され、相手へ一直線。

 突然だったが、相手はそれを直感的に体を捻って躱した。

 しかし直後、ドパン! と何かの破裂音が鳴った。音源は相手の後ろからだ。

 相手は突然の出来事に驚き、注意を逸らせてしまう。振り向くと、丁度後ろにあったサボテンの上半分が綺麗に吹き飛ばされていた。飛び散った残骸が顔に降りかかったが、気にする事ではなかった。

 エネリオンを変換した事による熱によってサボテンの殆どを構成する水を蒸発させ、水蒸気爆発でサボテンの肉体をばら撒いたのだ。

「もしや自然愛好家? 悪かったな植物を殺しちまって!」

 元気なジョークと共にリョウは全身を前に、剣を突き出す。

 剣と斧が交差し競り合う。ただ、細い剣の方が若干押されている様にも見えた。

 エネリオンがリョウの掌から剣へ送られる。剣の耐久力を上げる為にエネリオンを使うが、今回は違った。

 剣の周囲の空気が陽炎の如く揺らぐ。熱によって空気の屈折率が変化したが故の現象だ。

 送り込まれるエネリオンは熱を帯びる剣の耐熱性すらも引き上げる。しかしそれがされていない相手の斧はどうか。

 答えはすぐに出た。剣を受け止めている斧は接触面が赤熱化し溶断される。物を切る道具である筈の斧は逆に真っ二つにされた。

 武器を破壊され更に驚いた相手は、足元を刈る鋭い感覚が来ると同時に地面に跪いた。リョウが無防備な相手の頭を左手で乱暴に掴む。

 立ち上がろうとしても足を焼き切られた感覚に負け、逆らえない。リョウは剣を手中に収めた相手の頭を固定したまま楽に首を切り落とした。

 地面へ伏した首無しの死体も気にせず、リョウは別な場所で戦っている仲間へ声を掛けた。

「手伝ってやろうか?」
「いいや、俺だけで十分だ」

 レックスのお言葉に甘える事にしたリョウは、傍にあった岩に腰掛け、懐から半分食べかけのホットドッグを取り出し、食事にありつけながら観戦し始めた。

 レックスの持つのは2本の細い短剣。対峙する相手はミドルソードを装備している。

 2本の刃が素早い連撃を繰り出し、1本だけの相手は防戦一方だった。

 レックスの右の剣が相手の剣を上から押さえ、がら空きとなった腹へ左の剣を突き出す。相手は抑圧を横へ逸らし、腹への刃を続けて防いだ。

 今度は頭へ右を、防がれ左を脇腹へ、また防がれ右を胸へ突き出し、またまた防がれ左を顔面へ伸ばし、またしても防がれた。

 だがペースはレックスが握っているのは事実。更に前進し、2本からなる連撃を浴びせる。1本でそれらを防ぐのだから相手は更に押される。

 ここで相手が劣勢を巻き返そうと無茶をして青年からの攻撃を巻き込みながら自分から連撃を繰り出す。

 2本のか細い剣で一撃一撃の強い攻撃を受け止めるのは苦、ではなかった。細い剣で相手の剣を逸らしながら隙を伺う。

 首に向かってくる突きを左で外側へ逸らし、右の剣を横に薙いだ。体を引っ込め躱した相手は自分の剣を引き戻し、レックスの腹へ剣先が向かう。

 右の剣で攻撃を下に振り払ったレックスは左をそのまま前へ、相手の剣が戻り上に逸らされたが、今度は右で相手の剣を持つ腕を狙う。

 武器を持つ腕に攻撃が迫っている事を察知した相手は、その腕を引っ込めて避ける。空ぶった青年へ向けて剣を突き出すが、彼が左に持つ剣がその軌道を外側へ逸らした。

 レックスは左の剣に加えもう片方の右の剣でも相手のミドルソードを押さえ、二者は拮抗する。相手が抜け出そうと蹴りを放ってくるが、蹴り返して防ぐ。

 掌から空間に向けてエネリオンを放出、空気へ作用し、勢いを持った空気塊が相手の足元へ。

 不測の事態に相手は対応出来ず、体勢が崩れ片膝を地面に着いてしまった。無防備な姿を晒す訳にはなるまいと剣を頭上から振り下ろす。

 もう一度、体表から吸収し脳へ、脳から手へ、掌から空気中へ放出。

 圧力を持った空気塊が、レックスへ下されかけている剣の平たい側面へヒット。片手で扱える程軽いミドルソードが軌道を急変、レックスの横へ逸れた。

 隙を見せた相手へ2本の剣を叩き込む。とにかく速く、相手の体に次々と切り傷が出来上がる。

 息が上がり、剣を鞘へ納めた時、相手は呼吸を見せず地面にうつ伏せ状態だった。

「お疲れ」
「ホットドッグなんて呑気に食いやがって」

 日系人が楽しそうな笑顔で口に頬張るのをラテン人が羨む様に言った。

「サツマイモチップはどうした?」
「邪魔になるし持って来てないぜ。第一戦闘の衝撃で粉々だ。お前は何で当たり前みたいに持って来てるんだよ」
「俺は頭が良いから準備も良いんだ」
「だったら何で何時もごり押しみたいな戦い方なんだ……」

 最後のレックスの台詞は無視したリョウは立ち上がり、袖で口を拭った。

「さて、戻るか」
「ああ、アンジュちゃん達が危ねえな」
「トレバーの方は大丈夫かね?」
「きっとテキサス土産でも持って来て帰って来るだろうよ」

 口調は軽かったが、2人の目つきは真剣だった。

 レックスが空気を噴射し空を飛ぶ。リョウが地面を蹴り加速する。




















 ロバート達が機械の兵士共と戦い、アダムとクラウディアがサングラスの男と戦い始め、リョウとレックスが引き返し始めた頃。

 ハンはロサンゼルス市中心部のビルの指令室でオペレーター達と籠る中、ある事を思い付いた。

 一見落ち着いた雰囲気を見せるこのアジア人は、左手をデスクの上にある、丁度掌が乗るサイズの黒い台へ置いていた。

 手をその台に置き、神経を通し使用者の思考によってコンピューターを操作する入力装置の一種だ。これはハンが自身のトランセンド・マンとしての情報処理能力を活かす為に作ったものだ。

 頭で考えた事が卓上のモニターに反映され、素人から見れば不可解なプログラムの文字群が、常人には全く追い付かないスピードで目まぐるしく生成される。

 ハンがほっと一息つく。左手を台から離した。画面が止まる。

「ついに出来たぞ。早速送ってくれ」
「はい!」

 隣の副官を務める女性オペレーターが張り切った声で答え、キーボードを叩く。

「送信開始しました」
「敵の航空戦力の接触までは?」
「あ、あと30秒です」
「そうか……どうか間に合ってくれ」

 声には冷静さが保たれていたが、一方で焦りも混じっていた。もう一度思考操作インターフェースに手を置き、自然と力が籠る。

「送信完了。あと20秒です!」
「即席だが、これで試すしかない」

 ハンの意識は電気信号の流れへ集中した。電気信号はコンピューターから遠く、サンタモニカの観測所まで届く。

 エネリオンが電気信号のネットワークを通し、そこへ送られる。

(皆、無事でいてくれ!)
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