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序章
序六章 差別
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町の端の方にある、大きなお屋敷。コラレ商会の建物である。
私達は、会長さんの病気を治す薬を作る為、ここにマンドラゴラを買いに来た。
「にしても、何時見ても悪趣味な所だな!」
「ええ全く。ここまで差別的な店が、何故ここにあるのかが謎ですよ」
リーダーさん達は、目の前の建物に対して色々言っている。しかし、たしかに差別的な外見だ。人間が、他種族を踏みつけにしている。見ていて良い気分じゃない。
しかし、今はこの建物に入る他、道が無いのだ。これ位の事は、我慢するしかない。
中も、豪華絢爛と言った感じで、所々に、宝石や貴金属があしらわれた装飾品が飾ってある。どこぞの貴族様がバックに居るという噂だが、あながち間違いでもなさそうだ。
少し待っていると、奥から小太りの男性がでてきた。
「おや?どうなされました?汚らわしい獣風情と仲良しな下級民族共が」
おっと言葉には気を付けた方が良いんじゃなかろうか。どこで誰が聞いているのかも分からない。まあ、あの外装にこの態度。今更と言えば今更か。
結構な暴言を吐かれながらも、リーダーさんは堂々と、「今回はマンドラゴラを買いに来た。在庫はあるか」と言った。カッコイイ。
「ふん!どうせあの獣に飲ませる為だろう?マンドラゴラは確かに万能の薬だが、あの病に効きはせん。無駄だし、愚かだな」
「今回は、旅の薬を切らしたから、買いに来た」
嘘だが、これ位なら直ぐに見抜かれる。彼は、小さく舌打ちをした後、不機嫌そうに顔を歪めた。
しかし、これも一応仕事なので、彼は一旦店の奥に引っ込み、箱一杯のマンドラゴラを持って来た。
「これだろう?貴様等が欲しい物は」
「ああ。それで?値はどの程度だ」
彼は、ニヤリといやらしく笑った後、私達に値札を渡した。それを見た私達は、自分達の目を疑った。
「二千ゴルドだって!?こんな値段、どうなってるんだ!」
彼は、私達を見下した様に笑い、「君達も商人の端くれなら分かるだろ?」と言ってのけた。
「この町で、他にこれを買える所は無い。ならば、値段を上げた方が儲けは多いだろう?」
そうだ。何故ここに来たのか。それは、この町ではマンドラゴラを扱う店はここ以外に無いからだ。つまり、彼等には競争相手が居ない。ならば、いくら値段を上げようが、それが必要になった時、人々は必ずそこで買う。そして売値を上げた分だけ、彼等は儲ける。
この状態は、何も法を犯している訳じゃない。こうなるのは、競争相手が居ない以上、どうしようもない事で、私達が簡単にどうこうできる問題ではない。
恐らく、彼は人間以外の種族には、通常よりも高い値で売っているのだろう。この値段は、私達が人間だからこうなっているだけだ。悔しい。
しかし、薬にはこれの四分の一程度でも足りる。私達は、必要最低限の量だけ買って、会長さんの居る屋敷に足を運んだ。
「しかし、アイツらとんでもない奴等ね!他種族排斥主義なんて、今時流行らないわ!」
「奴等が信じる宗教の教えだろう。ゲン担ぎは良い事だが、ああなったらお終いだな」
帰り道、リョウコさんはずっと怒っていた。まあ、あんな物を見たら仕方が無い。ただの見た目の問題なのに、あそこまで熱狂的になれるのは凄い事だと思う。
まあ、私がミスしない限り、これでどうにかなるのだ。今はそれだけを考えていれば良い。
そうこうしている内に、マニシン商会の屋敷が見えて来た。
しかし、中は慌ただしくなっていた。
「おい!材料は揃ったぞ!どうしたんだ!?」
「会長の容態が!意識不明の重体です!」
成程。しかし、この病気に罹った人が、一時的に意識を失う事は珍しくない。身体中に斑点が現れてからが問題になる。そうなったら、基本的に治る事は無い。延命は出来るが、近い内に死んでしまう。
私は、薬の材料になる物が揃っているという部屋に案内された。マンドラゴラ以外は珍しい物ではないので、流石に全て揃っていた。
さて、ここからは作業の時間だ。あの村で教わった、シスターから教わった事を思い出す。そして、私はその通りに体を動かす。
一つ一つ、確実に工程が終わって行く。ああそういえば、村でも褒められたな。『お前の魔法は便利だ』って言われてたな。私は悪戯にばかりに使っていたが、偶に誰かを手伝う時は、物を動かしたり、直したりする力が役に立った。その度、シスターに褒められた物だ。その日は、皿に乗るパンが一つ増えたっけ。
少しのホームシックを感じながら、私は作業を終わらせた。手元には、緑色をした、ドロドロとした薬があった。完成だ。因みに、初めてこの薬を飲む人は、この見た目から敬遠しがちらしい。ついでに尋常じゃなく苦い。
私は、マスクをしている係の人に、その薬を渡し、直ぐに飲ませるように指示した。マスクで目元しか見えなかったが、少なくとも笑顔ではなかった。そりゃそうなるよなと思う見た目だし、仕方ない物と諦めよう。
私は、皆が待つ応接室に戻った。途端に、皆が駆け寄って来た。
「ライラちゃん、大丈夫かい?」
「顔色が悪いわ。リーダー、少し横にさせたいから、ちょっとどいてて」
リーダーさんが座っていた椅子を退くと、少しのスペースができ、私はそこに寝かされた。ああ、いつもこうだ。魔法を使った直後はこうなる。体が怠くなって、力が入らない。
横になると、疲れからか安心からか、私は直ぐに眠ってしまったようで、私はそこからの事をあまり覚えていなかった。
私達は、会長さんの病気を治す薬を作る為、ここにマンドラゴラを買いに来た。
「にしても、何時見ても悪趣味な所だな!」
「ええ全く。ここまで差別的な店が、何故ここにあるのかが謎ですよ」
リーダーさん達は、目の前の建物に対して色々言っている。しかし、たしかに差別的な外見だ。人間が、他種族を踏みつけにしている。見ていて良い気分じゃない。
しかし、今はこの建物に入る他、道が無いのだ。これ位の事は、我慢するしかない。
中も、豪華絢爛と言った感じで、所々に、宝石や貴金属があしらわれた装飾品が飾ってある。どこぞの貴族様がバックに居るという噂だが、あながち間違いでもなさそうだ。
少し待っていると、奥から小太りの男性がでてきた。
「おや?どうなされました?汚らわしい獣風情と仲良しな下級民族共が」
おっと言葉には気を付けた方が良いんじゃなかろうか。どこで誰が聞いているのかも分からない。まあ、あの外装にこの態度。今更と言えば今更か。
結構な暴言を吐かれながらも、リーダーさんは堂々と、「今回はマンドラゴラを買いに来た。在庫はあるか」と言った。カッコイイ。
「ふん!どうせあの獣に飲ませる為だろう?マンドラゴラは確かに万能の薬だが、あの病に効きはせん。無駄だし、愚かだな」
「今回は、旅の薬を切らしたから、買いに来た」
嘘だが、これ位なら直ぐに見抜かれる。彼は、小さく舌打ちをした後、不機嫌そうに顔を歪めた。
しかし、これも一応仕事なので、彼は一旦店の奥に引っ込み、箱一杯のマンドラゴラを持って来た。
「これだろう?貴様等が欲しい物は」
「ああ。それで?値はどの程度だ」
彼は、ニヤリといやらしく笑った後、私達に値札を渡した。それを見た私達は、自分達の目を疑った。
「二千ゴルドだって!?こんな値段、どうなってるんだ!」
彼は、私達を見下した様に笑い、「君達も商人の端くれなら分かるだろ?」と言ってのけた。
「この町で、他にこれを買える所は無い。ならば、値段を上げた方が儲けは多いだろう?」
そうだ。何故ここに来たのか。それは、この町ではマンドラゴラを扱う店はここ以外に無いからだ。つまり、彼等には競争相手が居ない。ならば、いくら値段を上げようが、それが必要になった時、人々は必ずそこで買う。そして売値を上げた分だけ、彼等は儲ける。
この状態は、何も法を犯している訳じゃない。こうなるのは、競争相手が居ない以上、どうしようもない事で、私達が簡単にどうこうできる問題ではない。
恐らく、彼は人間以外の種族には、通常よりも高い値で売っているのだろう。この値段は、私達が人間だからこうなっているだけだ。悔しい。
しかし、薬にはこれの四分の一程度でも足りる。私達は、必要最低限の量だけ買って、会長さんの居る屋敷に足を運んだ。
「しかし、アイツらとんでもない奴等ね!他種族排斥主義なんて、今時流行らないわ!」
「奴等が信じる宗教の教えだろう。ゲン担ぎは良い事だが、ああなったらお終いだな」
帰り道、リョウコさんはずっと怒っていた。まあ、あんな物を見たら仕方が無い。ただの見た目の問題なのに、あそこまで熱狂的になれるのは凄い事だと思う。
まあ、私がミスしない限り、これでどうにかなるのだ。今はそれだけを考えていれば良い。
そうこうしている内に、マニシン商会の屋敷が見えて来た。
しかし、中は慌ただしくなっていた。
「おい!材料は揃ったぞ!どうしたんだ!?」
「会長の容態が!意識不明の重体です!」
成程。しかし、この病気に罹った人が、一時的に意識を失う事は珍しくない。身体中に斑点が現れてからが問題になる。そうなったら、基本的に治る事は無い。延命は出来るが、近い内に死んでしまう。
私は、薬の材料になる物が揃っているという部屋に案内された。マンドラゴラ以外は珍しい物ではないので、流石に全て揃っていた。
さて、ここからは作業の時間だ。あの村で教わった、シスターから教わった事を思い出す。そして、私はその通りに体を動かす。
一つ一つ、確実に工程が終わって行く。ああそういえば、村でも褒められたな。『お前の魔法は便利だ』って言われてたな。私は悪戯にばかりに使っていたが、偶に誰かを手伝う時は、物を動かしたり、直したりする力が役に立った。その度、シスターに褒められた物だ。その日は、皿に乗るパンが一つ増えたっけ。
少しのホームシックを感じながら、私は作業を終わらせた。手元には、緑色をした、ドロドロとした薬があった。完成だ。因みに、初めてこの薬を飲む人は、この見た目から敬遠しがちらしい。ついでに尋常じゃなく苦い。
私は、マスクをしている係の人に、その薬を渡し、直ぐに飲ませるように指示した。マスクで目元しか見えなかったが、少なくとも笑顔ではなかった。そりゃそうなるよなと思う見た目だし、仕方ない物と諦めよう。
私は、皆が待つ応接室に戻った。途端に、皆が駆け寄って来た。
「ライラちゃん、大丈夫かい?」
「顔色が悪いわ。リーダー、少し横にさせたいから、ちょっとどいてて」
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