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分からないこれから
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その後、亜人の国には新たな王が誕生した。アレは飾りでしかなかったが、国は頼れる大臣達に任されたらしい。ルーデリヒは彼等に、自分が勇者に殺される事、自分はそれに納得したつもりだった事を話していたようで、ルーデリヒが死んだ後も、滞り無く政治は行われている。
人間の国には一応、『他国の王を暗殺した』という事で、結構な額の請求をしたらしい。僕らも今後、亜人の国に何かあった時、絶対に亜人の国の味方をするという契約をした。これで済んだのは、亜人王が事前に、大臣達に相談していたからだろう。まあ、納得していない人も居たけど。
人間の国は罰せられ、亜人の国は大した変化も無し。これが全て、神々が作った『茶番劇』と思うと、胸の奥がもやもやする。
これが、僕らが体験した、『英雄譚の成り損ない』だ。
アレから僕らは、魔法使いを探す為、元の世界に帰る方法を探す為、それぞれ散らばった。大聖は人間の国の魔術師となり、人間の国周辺の捜索。ついでに僕らに資金の援助。忍さんは教会に所属し、世界中から魔法、神に関する情報、文献の収集。諒子は世界中を回る行商に所属し、魔法使いを探すらしい。
僕はと言うと、亜人の国に居る。亜人の国で、守れなかった、アステリアさんとの約束の償いと、亜人の国の厄介事の解決をしている。ルーデリヒが死んで以降、亜人が地下深く留めていたという『厄災』が顔を出したからだ。アレは一部の地域を焼け野原にし、何もかも無くしてしまう。これは僕らがルーデリヒを殺したせいだ。僕がなんとかしなければ。
諒子と離れる日には、お互いに大泣きした。だが、お互いにやる事があったので仕方が無かった。責任は取らなければならない。
アレ以降、僕らの体に変化が起こっている。二年程経ってから気付いた事だが、僕の体の成長が、遅くなっている。疑似魔法の影響だろう。手紙では、疑似魔法を使っていた諒子、疑似魔法の研究をしている大聖、そして、疑似魔法を使えるようになったという忍さんにも、同様の現象が起きているらしい。
アステリアさんへの償いは、まだ終わりそうに無い。これは人から聞いた事だが、まだアステリアさんが幼かった頃、戦争孤児だったアステリアさんを、ルーデリヒが拾ったらしい。アステリアさんはその事から、ルーデリヒに深く懐いていたようで、それを失った悲しみは、未だ消えていないだろう。
そんな僕にも最近、弟子のような物ができた。彼女はライラと言い、僕と共に、厄災への対処に赴いている。彼女は魔法使いだ。もし僕らに賛同してくれたら、共に神々と戦う事も考えている。
そして話は、『不完全な神話』へと繋がって行く。
人間の国には一応、『他国の王を暗殺した』という事で、結構な額の請求をしたらしい。僕らも今後、亜人の国に何かあった時、絶対に亜人の国の味方をするという契約をした。これで済んだのは、亜人王が事前に、大臣達に相談していたからだろう。まあ、納得していない人も居たけど。
人間の国は罰せられ、亜人の国は大した変化も無し。これが全て、神々が作った『茶番劇』と思うと、胸の奥がもやもやする。
これが、僕らが体験した、『英雄譚の成り損ない』だ。
アレから僕らは、魔法使いを探す為、元の世界に帰る方法を探す為、それぞれ散らばった。大聖は人間の国の魔術師となり、人間の国周辺の捜索。ついでに僕らに資金の援助。忍さんは教会に所属し、世界中から魔法、神に関する情報、文献の収集。諒子は世界中を回る行商に所属し、魔法使いを探すらしい。
僕はと言うと、亜人の国に居る。亜人の国で、守れなかった、アステリアさんとの約束の償いと、亜人の国の厄介事の解決をしている。ルーデリヒが死んで以降、亜人が地下深く留めていたという『厄災』が顔を出したからだ。アレは一部の地域を焼け野原にし、何もかも無くしてしまう。これは僕らがルーデリヒを殺したせいだ。僕がなんとかしなければ。
諒子と離れる日には、お互いに大泣きした。だが、お互いにやる事があったので仕方が無かった。責任は取らなければならない。
アレ以降、僕らの体に変化が起こっている。二年程経ってから気付いた事だが、僕の体の成長が、遅くなっている。疑似魔法の影響だろう。手紙では、疑似魔法を使っていた諒子、疑似魔法の研究をしている大聖、そして、疑似魔法を使えるようになったという忍さんにも、同様の現象が起きているらしい。
アステリアさんへの償いは、まだ終わりそうに無い。これは人から聞いた事だが、まだアステリアさんが幼かった頃、戦争孤児だったアステリアさんを、ルーデリヒが拾ったらしい。アステリアさんはその事から、ルーデリヒに深く懐いていたようで、それを失った悲しみは、未だ消えていないだろう。
そんな僕にも最近、弟子のような物ができた。彼女はライラと言い、僕と共に、厄災への対処に赴いている。彼女は魔法使いだ。もし僕らに賛同してくれたら、共に神々と戦う事も考えている。
そして話は、『不完全な神話』へと繋がって行く。
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