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分かり難い勝ち筋
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魔術の雨が降り注ぐ。防御も追い付かなくなって来た。隙すら見つけられない。考えろ。何ができる。今の僕にできる事は何だ。
「色々考えているようだが、無駄だ!」
亜人王は僕に、一際大きい、魔術の槍を投げ付けた。僕はそれを右腕の義手で受け止め、なんとか防御する。この義手が無かったら、僕はもう死んでいるかも知れない。
しかし、防御に成功したというだけで、僕と彼の間は開く。僕は衝撃を殺し切れずに、大きく後ろに吹き飛ばされた。不意に、皆の姿が目に映る。皆追い詰められている。僕がどうにかしないと。どうすれば良い。今の僕が知り得る最大限の事を。今の僕にできる最大限の事を。
そう考えている間にも、亜人王の攻撃は続く。絶え間無い攻撃に、僕は深く考える事すら叶わなかった。勝ち筋すら見えない。僕らが今持っている技能に、亜人王に攻撃できる間を作れる物は無い。どうすれば良い。
それに、忍さんのバフも弱まって来ている。魔力を消耗している証拠だ。普段なら魔力を回復するポーションを飲んで元通りなのだが、今はその暇が無い。このままでは、最初に忍さんがやられる。どうにか一瞬、攻撃を止めさせなければ。
魔術を使う鍵は、『思考』だ。思考を止めさせれば、この魔術の雨も止む。思考を止めさせるには何が良いか。予想外の動き。あの怪物の裏をかくにはどうすれば良い。近付く。どうやって?
僕は今、どれだけのリスクを背負える?無論、命を賭ける覚悟は、とっくに決めている。今やらねば。
僕は一か八か、自分の前方に魔術の障壁を展開し、一気に踏み込む。亜人王はそれに気が付き、少し、僕の方に魔術を多く飛ばす。僕は当たるギリギリのタイミングで、自分の背中に衝撃波を打ち込み、初速を可能な限り早くする。そのままの勢いで、僕は亜人王の懐を目指す。
だが、そう上手くは行かない。僕は下から岩系統の魔術を当てられ、一気に空中へ飛ばされる。亜人王は体勢は崩した僕に、魔術の槍を飛ばす。僕はそれをなんとか右腕で受け止めたが、全ては無理だった。いくつかの槍は僕の体を貫き、そのまま、真っ黒な天井に突き刺さった。
痛い。凄く痛い。だが、僕の狙いはそこじゃない。亜人王は今の一瞬、攻撃を僕だけに集中させた。その一瞬を逃す程、僕の仲間は鈍くない。忍さんはポーションを飲みながら、皆にバフを掛け直し、僕の傷を治す。諒子は全速力で、亜人王の首に刃を向ける。大聖は大規模な魔術を組み立て、亜人王に無数の魔術の槍を飛ばす。
亜人王はそれらを魔術の障壁で防ぎ切り、再び体勢を立て直そうとする。二人は攻撃を止めない。目の前の壁を破る為に、全力で攻撃を当て続ける。障壁にヒビが入る。亜人王はそれを見て、一筋の冷や汗を掻いた。亜人王は自分を中心に衝撃波を放ち、諒子を吹き飛ばし、土煙のような物と共に、大聖の魔術から逃れた。
「クソッ!仕留めそこなった!」
「油断しないで!どこから来るか分からないわ!」
亜人王が放った煙幕が、僕らを包み込む。視界を塞がれた。皆の位置も分からない。亜人王はどこから来る?感覚を研ぎ澄ませろ。煙がある。相手が来る方向には、違和感がある。どこから来る?来い。僕は剣を構え、辺りを警戒する。
少しの音も聞こえない。皆はどうなっている?煙が邪魔だな。風の魔術で吹き飛ばすか。僕は掌に魔力を集め、魔法陣を描く。その瞬間、後ろの煙に違和感が生じた。僕は直ぐに後ろを振り向き、剣を振った。手応えは無い。外したか。だが、これで僕の近くに亜人王が居るのが分かった。次は逃がさない。
次は前。だが、一つじゃない。後ろ、横、いや、全方向に違和感を感じる。どれが本物だ?いや、どれが本物でも関係無い。僕は両腕に力を込め、全力で剣を振った。刃の風圧で煙は少し晴れ、亜人王の姿が見える。
いや、これは亜人王の姿とは言えないだろう。その姿は、違和感を感じた全ての方向にあった。偽物だ。魔術で幻覚を見せられている。本体を探さねば。
そう考えている僕に、偽物達が右手をかざす。その手に魔法陣が浮かび上がり、そこから魔術の弾丸が放たれる。僕はそれに反応し、幻覚に刃を振るい、拳を繰り出した。まるで手応えは無いが、偽物はそれで消える。だが、偽物は次から次へと出て来るし、魔術は絶え間無く飛んで来る。このままでは僕の持久負けだ。本体を叩かないと。
だが、全方向を煙に囲まれ、周囲は全く見えない。風魔術も、僕の技量では直ぐに使えない。偽物に阻まれて、道を切り開く事もできない。それに、この煙に包まれてから、全く耳が聞こえない。せめて皆と何か話せれば良いのだが、多分皆も今、同じ状況だ。それは不可能。
僕の風魔術の熟練度は一。これでは精々、魔術を使うまでの時間が僅かに縮まるだけだ。僕は風魔術に長けている訳でもないし、この状況で魔術を使える程、頭の回転も速くない。やっぱ、大聖と忍さんは凄いな。
どうやって皆と話し合う?このまま移動していて、果たして皆と会えるんだろうか。忍さんは攻撃があまり得意でもないし、大聖もこの状況じゃ、あまり大規模な魔術は使えないだろう。大聖は僕らに攻撃を当てないように、するだろう。そういう人だ。諒子も僕と同じ状況だろう。いくら諒子が速くても、この状況ではどうしようもないだろう。
正直、こういう状況に遭遇した事なんて無い。こういう時に使える魔術は未収得だし、そういう魔道具も持ってない。ていうか、そんな効果を持った上で、持ち運び可能な魔道具は存在しない。
この状況は間違い無く、僕らが遭遇した中で最も危機的な場面だ。全員、魔術はほぼ封じられ、敵は見えない。その癖、敵からは一方的に攻撃を浴びせられる。理不尽にも程がある。
打開策は無いだろうか。誰か一人と合流できれば、後はどうとでもなる。兎に角進もう。取り敢えず壁際まで行って、攻撃が来る方向を一方向に制限するんだ。僕は偽物を切り伏せながら、前へ進む。
暫くそれを続けていると、嫌が応にも違和感に気が付く。この部屋こんなに広かったか?確かに広かったし、偽物を切りながら進んでいたから、多少遅くなっていた事は分かる。だが、ここまで進んで壁に辿り着かないのは異常だ。
兎に角状況を確認せねば。僕は魔術の弾丸の直撃を受けながら、足を魔術で強化する。上を向いて、一気に飛び跳ねる。うん。傷は大した事は無い。この程度なら僕の魔術でも治る。さて、どうなっている?
その瞬間、僕は自身の目を疑った。広い、どこまでも広い空間に、煙が這い蹲っている。先程の黒い空間とは違う、どちらかと言うと荒野のように映る空間だ。どうなっているんだ?
兎に角、煙を出ると耳も聞こえるようにはなった。魔術が放たれる音が、三か所で聞こえる。多分、皆が戦っている場所だろう。僕は空中で衝撃波を放ち、一番近い所に飛ぶ。着地の風圧で、僅かに煙が晴れ、相手の姿が見える。
「聡一君!?」
「忍さんか!良かった!」
一番最初に見つけられたのが忍さんで良かった。忍さんの熟練度なら、この煙を吹き飛ばしてくれる筈だ。
「忍さん!魔術でこの煙を……」
そう言い終わる前に、再び僕の耳は聞こえなくなった。忍さんには聞こえただろうか。一番最後まで声に出したつもりだが、もし忍さんも耳が聞こえなくなったら意味が無い。大丈夫か?
いや、今はこの偽物達から忍さんを守るのが先だ。魔術でこの煙を腫らすにしても、皆と合流するにしても、先ずはこいつらを退ける必要がある。
僕が一、二体の偽物を切った所で、後ろからそこそこ強い風が来た。どうやら伝わってくれていたらしい。煙が晴れると、偽物達もそこに隠れる為、一旦奥へ引っ込んだ。取り敢えず余裕ができた。
「忍さん!大丈夫だった!?」
「私は大丈夫。それより二人を探さないと。どこに居るんだろう」
「さっき、大まかな方向は分かったけど、じっとはしててくれないかな」
「兎に角急がなきゃ!」
そう言って、僕らは再び走りだした。二人は案外簡単に見つかった。忍さんが煙を晴らし続けてくれたお陰だ。合流した僕らは、亜人王の狙いと、今の状況について話し合った。
「……聡一の話が本当なら、ここは多分、亜人王の結界の中だ」
「そんな事できるの?」
「普通は無理だよ。だけど、彼程の魔術の使い手なら、彼の心の内側を結界に落とし込んで、疑似的に無限の空間を作れるかも」
「解決策は?」
僕がそう聞くと、魔術組二人は少し悩みこんでしまった。
「結界は効力を高める為、結界を作った人が内側に居る事が多いんだ。だけど閉じ込めるのが目的だったら、外に居ても十分かも」
「もしそうなったら、俺らにできる事は限られる」
「でも、私達をここに閉じ込めるメリットって何かしら?」
「持久勝ちを狙ってるのか、はたまた虎の子の準備か」
もし亜人王がこの結界の中に居なくて、且つ僕の考えの後者が正しいとするなら、そうとう不味い。大規模な魔術の展開には、相当な代償か時間、或いはその両方が必要だ。僕らをここに閉じ込めたのが時間稼ぎ目的なら、少なくとも、魔術を展開するまでの無防備な時間は無いのと同じだ。この結界から出た所に、亜人王の切り札を使われたら、どんなに切り札を弱く見積もっても、詰む。
「兎に角、この結界から出れば良いのよね?」
「一先ずは、そう。だけどその手段が……」
「無いってわけじゃなさそうだね」
「ああ。この結界から出れる可能性が、たった一つだけな」
大聖が言うには、他者の結界から抜け出す方法は主に二つ。結界を作った人間を叩く。これが一番手っ取り早いが、現時点で亜人王を補足できないので無理。本命は二つ目で、結界を直接壊すという物だ。結界はあくまでも魔術なので、内側からでも相殺できる。
「で、そのやり方は?」
「問題はそこだ。これには膨大な魔力が要る。それを使った上で、多少長い時間を掛けて構築した魔術で、ワンチャンあるかないか……」
「つまり、魔力は僕らで補填したとしても、亜人王が準備を済ますよりも早くやらないといけないってことか」
「悩んでる時間は無いよ。聡一君、諒子、私と手を握って」
忍さんに言われるままに手を握ると、そこから魔力が吸い取られて行くのを感じた。そしてその魔力を、そのまま大聖に渡している。大聖一人では足りない分の魔力を、僕らの分も使う事で補填しようという事か。
大聖は何やらブツブツと詠唱を始め、段々と魔法陣を構築して行く。頭上に現れた魔法陣は段々と巨大化して行き、体育館がすっぽり覆われそうな程まで大きくなった。そこまで行った所で、大聖は詠唱を止め、僕らに魔術の説明をする。
「この魔術は、対結界用の大規模魔術だ。これを発動させたら、この結界は即破壊される」
「なら良いんじゃない?」
「問題はその後。亜人王が即迎撃して来るだろうから、警戒してて」
「分かった」
忍さんはポーションを飲み、僕と諒子は剣を構えた。大聖はそれを確認してから、最後の詠唱を始めた。聞き取れない言葉だったが、恐らく上手く行っているのだろう。最後に大聖は、魔力を込めた杖を、頭上の魔法陣に突き立てた。
「謌代??r髢峨§霎シ繧√◆邨千阜繧呈風繧!」
その瞬間、僕らを取り囲んでいた空間にヒビが入り、割れた。元々居た玉座の間が見える。僕らの目が亜人王の姿を捉えた瞬間、亜人王は魔術の槍を大量に僕らに投げ付けて来た。忍さんはそれらを咄嗟に魔術の壁で防ぐ。
「まさかアレを破られるとはね!女神も面倒な事をやってくれる!」
「私達は話し合いに来た!戦う理由は無い!」
「なら僕を無理矢理止めてみろ!」
僕は後ろに居る大聖の状態を確認する。かなり消耗しているようだ。あんな魔術を使ったのだから当たり前か。大聖の援護は、暫く期待できそうにない。忍さんも、この攻撃を防ぐだけで精一杯らしい。アステリアさんの時のように、亜人王へのデバフは無理だろう。
「どうするの!?これじゃあ話し合いなんて……」
「アイツが言ったばかりじゃない!無理矢理、話し合いの場を設けさせるしか無いわ!」
「やるしか無いらしいね!」
僕と諒子は大きく踏み込み、魔術の障壁を出た。魔術の槍を避けながら、僕らは亜人王に近付く。だが、あと一歩という所で、魔術の障壁で阻まれる。この繰り返し。この魔術の障壁をどうこうしない限りは何もできないけど、この猛攻の中では、無理矢理力で押し込む事もできない。僕ら前衛はこの壁を破れる威力の魔術は使えないし、破れる魔術を使えそうな大聖は、今行動できない。さあてどうしよう。
近付けない。攻撃すらできない。埋めようの無い実力差が、アステリアさんとの決闘よりも色濃く見える。忍さんのバフも掛かってコレだ。『アステリアよりも弱い』という発言は、ブラフだったのだろう。
「『女神の使徒』も、大した事は無いね!」
「なんだそれ!?『女神の使徒』!?」
「知らないのか!だったら聞かせてあげるよ!」
いや、今は聞くな。集中しろ。ほんの一瞬だけで良い。勝ち筋を、亜人王へ攻撃を通せる道を探せ。魔術の軌道を予測し、避ける。それだけの事だ。やるしか無い。
「神話の時代!神々はこの世界の『自浄作用』を設けた!」
集中する。槍の先端の向きを見て、飛んで来るよりも早く動く。僕は槍に当たる事も無く、亜人王の懐に潜り込む。剣を握る腕に力を込めるが、亜人王は衝撃波で僕と諒子を吹き飛ばす。それでも、僕らは再び亜人王に向かって走り出す。
「ある神は『生』の循環を!ある神は『厄災』という名のガス抜きを!そしてある神は、『聖戦』の名を冠する茶番劇を!」
走る。剣を振る。弾かれる。その繰り返しの中で、僕は何かを掴むような感覚を得ている。多分諒子も同じだ。目が輝いている。僕らは一心不乱に体を動かして、亜人王へ攻撃する。
「千年に一度、世界が『勇者』と『魔王』を選定し、勇者が魔王を殺す事で、世界の負債を魔王ごと無くす!」
自然と魔力が巡る。まるで飛んでいるかのような高揚感が体を包む。僕はその感覚に身を任せ、亜人王の障壁に攻撃を入れる。ヒビが入り、僕らに自身の成長を知らせる。
「君に分かるかい!?生まれた瞬間、自身の最後を知る、世界の歯車の気持ちが!」
魔力を単体で操る。それは最早魔術の領域を超えていた。僕の頭に、かつての強敵の姿が浮かぶ。静かで、美しい魔力を纏う、『彼女』の姿を。僕は彼女の動きをなぞるように、体の中の霊力を流す。僕らの肢体は、未だ感じた事の無い速度で動く。
「分かってくれとは言わない!僕の役割だ!それでも!」
体の表面から魔力が滲み出る。諒子と僕は、それぞれの『色彩』を纏いながら、亜人王へぶつかって行く。だが、亜人王は何重にも障壁を重ね、僕らの刃を受け止める。
「生きたいと願うのは、僕の身勝手だろうか!」
気付けば、亜人王の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。それを見た僕らの手が、一瞬止まる。そんな僕らを、亜人王は貫いた。視界に赤い液体が写る。
「願ったなら叶えたい!僕は強欲な『魔王』だから!」
その瞬間、亜人王を守っていた障壁が消えた。僕は串刺しの状態で、後ろを見る。大聖が杖を構え、何か力を送っている。
「だったら最初から話し合え!争う事が『救い』なんて馬鹿げてる!」
「世界が決めた!神が定めた!その時点で、僕に抗う術は無かった!」
亜人王は感情に任せるように、大聖達に槍を飛ばす。だが、忍さんがそれを許さない。僕と諒子は、亜人王が気を逸らした瞬間、自身を貫いている槍を無理矢理折って、立ち上がった。そして同時に、亜人王の方へ走り出す。
「そこで諦めて満足か亜人王!」
「僕は『魔王』だ!今代の勇者!」
そう言った亜人王は、僕と諒子の剣を槍で砕こうとした。僕の剣は砕かれたが、諒子の刀は、『絶対に傷付かない』武具だ。そんな物が効く筈も無く、諒子の刀は、亜人王の槍を跳ね返した。諒子はそのまま、がら空きの亜人王の胴体に刃を振る。それを亜人王はギリギリの所で防御した。その障壁は一瞬で消えたが、諒子の刀は弾かれた。体勢を崩した諒子に、亜人王は複数の槍を向ける。
だがその一瞬、後衛二人に向かう槍が、ほんの少し減った。忍さんは杖を構え、魔力を吸い取る魔術を発動させる。全ての槍の形が少し揺らぐと共に、速度が落ちた。僕はその一瞬を逃さず、拳に力を込める。忍さんと僕自身のバフに加え、疑似的な『魔法』が乗った拳は、亜人王が咄嗟に張った障壁を貫いて、亜人王に直撃する。
この戦闘で、初めて亜人王に攻撃が通った。
亜人王の体は少しよろけて、後ろに下がる。
「流石は勇者だ……だがまだ終わらない!」
そう言って、亜人王は再び大規模な魔法陣を展開する。それに対して僕は、はっきりとこう言った。
「僕は『勇者』じゃない!貴方との対話を望む、旅人だ!」
「色々考えているようだが、無駄だ!」
亜人王は僕に、一際大きい、魔術の槍を投げ付けた。僕はそれを右腕の義手で受け止め、なんとか防御する。この義手が無かったら、僕はもう死んでいるかも知れない。
しかし、防御に成功したというだけで、僕と彼の間は開く。僕は衝撃を殺し切れずに、大きく後ろに吹き飛ばされた。不意に、皆の姿が目に映る。皆追い詰められている。僕がどうにかしないと。どうすれば良い。今の僕が知り得る最大限の事を。今の僕にできる最大限の事を。
そう考えている間にも、亜人王の攻撃は続く。絶え間無い攻撃に、僕は深く考える事すら叶わなかった。勝ち筋すら見えない。僕らが今持っている技能に、亜人王に攻撃できる間を作れる物は無い。どうすれば良い。
それに、忍さんのバフも弱まって来ている。魔力を消耗している証拠だ。普段なら魔力を回復するポーションを飲んで元通りなのだが、今はその暇が無い。このままでは、最初に忍さんがやられる。どうにか一瞬、攻撃を止めさせなければ。
魔術を使う鍵は、『思考』だ。思考を止めさせれば、この魔術の雨も止む。思考を止めさせるには何が良いか。予想外の動き。あの怪物の裏をかくにはどうすれば良い。近付く。どうやって?
僕は今、どれだけのリスクを背負える?無論、命を賭ける覚悟は、とっくに決めている。今やらねば。
僕は一か八か、自分の前方に魔術の障壁を展開し、一気に踏み込む。亜人王はそれに気が付き、少し、僕の方に魔術を多く飛ばす。僕は当たるギリギリのタイミングで、自分の背中に衝撃波を打ち込み、初速を可能な限り早くする。そのままの勢いで、僕は亜人王の懐を目指す。
だが、そう上手くは行かない。僕は下から岩系統の魔術を当てられ、一気に空中へ飛ばされる。亜人王は体勢は崩した僕に、魔術の槍を飛ばす。僕はそれをなんとか右腕で受け止めたが、全ては無理だった。いくつかの槍は僕の体を貫き、そのまま、真っ黒な天井に突き刺さった。
痛い。凄く痛い。だが、僕の狙いはそこじゃない。亜人王は今の一瞬、攻撃を僕だけに集中させた。その一瞬を逃す程、僕の仲間は鈍くない。忍さんはポーションを飲みながら、皆にバフを掛け直し、僕の傷を治す。諒子は全速力で、亜人王の首に刃を向ける。大聖は大規模な魔術を組み立て、亜人王に無数の魔術の槍を飛ばす。
亜人王はそれらを魔術の障壁で防ぎ切り、再び体勢を立て直そうとする。二人は攻撃を止めない。目の前の壁を破る為に、全力で攻撃を当て続ける。障壁にヒビが入る。亜人王はそれを見て、一筋の冷や汗を掻いた。亜人王は自分を中心に衝撃波を放ち、諒子を吹き飛ばし、土煙のような物と共に、大聖の魔術から逃れた。
「クソッ!仕留めそこなった!」
「油断しないで!どこから来るか分からないわ!」
亜人王が放った煙幕が、僕らを包み込む。視界を塞がれた。皆の位置も分からない。亜人王はどこから来る?感覚を研ぎ澄ませろ。煙がある。相手が来る方向には、違和感がある。どこから来る?来い。僕は剣を構え、辺りを警戒する。
少しの音も聞こえない。皆はどうなっている?煙が邪魔だな。風の魔術で吹き飛ばすか。僕は掌に魔力を集め、魔法陣を描く。その瞬間、後ろの煙に違和感が生じた。僕は直ぐに後ろを振り向き、剣を振った。手応えは無い。外したか。だが、これで僕の近くに亜人王が居るのが分かった。次は逃がさない。
次は前。だが、一つじゃない。後ろ、横、いや、全方向に違和感を感じる。どれが本物だ?いや、どれが本物でも関係無い。僕は両腕に力を込め、全力で剣を振った。刃の風圧で煙は少し晴れ、亜人王の姿が見える。
いや、これは亜人王の姿とは言えないだろう。その姿は、違和感を感じた全ての方向にあった。偽物だ。魔術で幻覚を見せられている。本体を探さねば。
そう考えている僕に、偽物達が右手をかざす。その手に魔法陣が浮かび上がり、そこから魔術の弾丸が放たれる。僕はそれに反応し、幻覚に刃を振るい、拳を繰り出した。まるで手応えは無いが、偽物はそれで消える。だが、偽物は次から次へと出て来るし、魔術は絶え間無く飛んで来る。このままでは僕の持久負けだ。本体を叩かないと。
だが、全方向を煙に囲まれ、周囲は全く見えない。風魔術も、僕の技量では直ぐに使えない。偽物に阻まれて、道を切り開く事もできない。それに、この煙に包まれてから、全く耳が聞こえない。せめて皆と何か話せれば良いのだが、多分皆も今、同じ状況だ。それは不可能。
僕の風魔術の熟練度は一。これでは精々、魔術を使うまでの時間が僅かに縮まるだけだ。僕は風魔術に長けている訳でもないし、この状況で魔術を使える程、頭の回転も速くない。やっぱ、大聖と忍さんは凄いな。
どうやって皆と話し合う?このまま移動していて、果たして皆と会えるんだろうか。忍さんは攻撃があまり得意でもないし、大聖もこの状況じゃ、あまり大規模な魔術は使えないだろう。大聖は僕らに攻撃を当てないように、するだろう。そういう人だ。諒子も僕と同じ状況だろう。いくら諒子が速くても、この状況ではどうしようもないだろう。
正直、こういう状況に遭遇した事なんて無い。こういう時に使える魔術は未収得だし、そういう魔道具も持ってない。ていうか、そんな効果を持った上で、持ち運び可能な魔道具は存在しない。
この状況は間違い無く、僕らが遭遇した中で最も危機的な場面だ。全員、魔術はほぼ封じられ、敵は見えない。その癖、敵からは一方的に攻撃を浴びせられる。理不尽にも程がある。
打開策は無いだろうか。誰か一人と合流できれば、後はどうとでもなる。兎に角進もう。取り敢えず壁際まで行って、攻撃が来る方向を一方向に制限するんだ。僕は偽物を切り伏せながら、前へ進む。
暫くそれを続けていると、嫌が応にも違和感に気が付く。この部屋こんなに広かったか?確かに広かったし、偽物を切りながら進んでいたから、多少遅くなっていた事は分かる。だが、ここまで進んで壁に辿り着かないのは異常だ。
兎に角状況を確認せねば。僕は魔術の弾丸の直撃を受けながら、足を魔術で強化する。上を向いて、一気に飛び跳ねる。うん。傷は大した事は無い。この程度なら僕の魔術でも治る。さて、どうなっている?
その瞬間、僕は自身の目を疑った。広い、どこまでも広い空間に、煙が這い蹲っている。先程の黒い空間とは違う、どちらかと言うと荒野のように映る空間だ。どうなっているんだ?
兎に角、煙を出ると耳も聞こえるようにはなった。魔術が放たれる音が、三か所で聞こえる。多分、皆が戦っている場所だろう。僕は空中で衝撃波を放ち、一番近い所に飛ぶ。着地の風圧で、僅かに煙が晴れ、相手の姿が見える。
「聡一君!?」
「忍さんか!良かった!」
一番最初に見つけられたのが忍さんで良かった。忍さんの熟練度なら、この煙を吹き飛ばしてくれる筈だ。
「忍さん!魔術でこの煙を……」
そう言い終わる前に、再び僕の耳は聞こえなくなった。忍さんには聞こえただろうか。一番最後まで声に出したつもりだが、もし忍さんも耳が聞こえなくなったら意味が無い。大丈夫か?
いや、今はこの偽物達から忍さんを守るのが先だ。魔術でこの煙を腫らすにしても、皆と合流するにしても、先ずはこいつらを退ける必要がある。
僕が一、二体の偽物を切った所で、後ろからそこそこ強い風が来た。どうやら伝わってくれていたらしい。煙が晴れると、偽物達もそこに隠れる為、一旦奥へ引っ込んだ。取り敢えず余裕ができた。
「忍さん!大丈夫だった!?」
「私は大丈夫。それより二人を探さないと。どこに居るんだろう」
「さっき、大まかな方向は分かったけど、じっとはしててくれないかな」
「兎に角急がなきゃ!」
そう言って、僕らは再び走りだした。二人は案外簡単に見つかった。忍さんが煙を晴らし続けてくれたお陰だ。合流した僕らは、亜人王の狙いと、今の状況について話し合った。
「……聡一の話が本当なら、ここは多分、亜人王の結界の中だ」
「そんな事できるの?」
「普通は無理だよ。だけど、彼程の魔術の使い手なら、彼の心の内側を結界に落とし込んで、疑似的に無限の空間を作れるかも」
「解決策は?」
僕がそう聞くと、魔術組二人は少し悩みこんでしまった。
「結界は効力を高める為、結界を作った人が内側に居る事が多いんだ。だけど閉じ込めるのが目的だったら、外に居ても十分かも」
「もしそうなったら、俺らにできる事は限られる」
「でも、私達をここに閉じ込めるメリットって何かしら?」
「持久勝ちを狙ってるのか、はたまた虎の子の準備か」
もし亜人王がこの結界の中に居なくて、且つ僕の考えの後者が正しいとするなら、そうとう不味い。大規模な魔術の展開には、相当な代償か時間、或いはその両方が必要だ。僕らをここに閉じ込めたのが時間稼ぎ目的なら、少なくとも、魔術を展開するまでの無防備な時間は無いのと同じだ。この結界から出た所に、亜人王の切り札を使われたら、どんなに切り札を弱く見積もっても、詰む。
「兎に角、この結界から出れば良いのよね?」
「一先ずは、そう。だけどその手段が……」
「無いってわけじゃなさそうだね」
「ああ。この結界から出れる可能性が、たった一つだけな」
大聖が言うには、他者の結界から抜け出す方法は主に二つ。結界を作った人間を叩く。これが一番手っ取り早いが、現時点で亜人王を補足できないので無理。本命は二つ目で、結界を直接壊すという物だ。結界はあくまでも魔術なので、内側からでも相殺できる。
「で、そのやり方は?」
「問題はそこだ。これには膨大な魔力が要る。それを使った上で、多少長い時間を掛けて構築した魔術で、ワンチャンあるかないか……」
「つまり、魔力は僕らで補填したとしても、亜人王が準備を済ますよりも早くやらないといけないってことか」
「悩んでる時間は無いよ。聡一君、諒子、私と手を握って」
忍さんに言われるままに手を握ると、そこから魔力が吸い取られて行くのを感じた。そしてその魔力を、そのまま大聖に渡している。大聖一人では足りない分の魔力を、僕らの分も使う事で補填しようという事か。
大聖は何やらブツブツと詠唱を始め、段々と魔法陣を構築して行く。頭上に現れた魔法陣は段々と巨大化して行き、体育館がすっぽり覆われそうな程まで大きくなった。そこまで行った所で、大聖は詠唱を止め、僕らに魔術の説明をする。
「この魔術は、対結界用の大規模魔術だ。これを発動させたら、この結界は即破壊される」
「なら良いんじゃない?」
「問題はその後。亜人王が即迎撃して来るだろうから、警戒してて」
「分かった」
忍さんはポーションを飲み、僕と諒子は剣を構えた。大聖はそれを確認してから、最後の詠唱を始めた。聞き取れない言葉だったが、恐らく上手く行っているのだろう。最後に大聖は、魔力を込めた杖を、頭上の魔法陣に突き立てた。
「謌代??r髢峨§霎シ繧√◆邨千阜繧呈風繧!」
その瞬間、僕らを取り囲んでいた空間にヒビが入り、割れた。元々居た玉座の間が見える。僕らの目が亜人王の姿を捉えた瞬間、亜人王は魔術の槍を大量に僕らに投げ付けて来た。忍さんはそれらを咄嗟に魔術の壁で防ぐ。
「まさかアレを破られるとはね!女神も面倒な事をやってくれる!」
「私達は話し合いに来た!戦う理由は無い!」
「なら僕を無理矢理止めてみろ!」
僕は後ろに居る大聖の状態を確認する。かなり消耗しているようだ。あんな魔術を使ったのだから当たり前か。大聖の援護は、暫く期待できそうにない。忍さんも、この攻撃を防ぐだけで精一杯らしい。アステリアさんの時のように、亜人王へのデバフは無理だろう。
「どうするの!?これじゃあ話し合いなんて……」
「アイツが言ったばかりじゃない!無理矢理、話し合いの場を設けさせるしか無いわ!」
「やるしか無いらしいね!」
僕と諒子は大きく踏み込み、魔術の障壁を出た。魔術の槍を避けながら、僕らは亜人王に近付く。だが、あと一歩という所で、魔術の障壁で阻まれる。この繰り返し。この魔術の障壁をどうこうしない限りは何もできないけど、この猛攻の中では、無理矢理力で押し込む事もできない。僕ら前衛はこの壁を破れる威力の魔術は使えないし、破れる魔術を使えそうな大聖は、今行動できない。さあてどうしよう。
近付けない。攻撃すらできない。埋めようの無い実力差が、アステリアさんとの決闘よりも色濃く見える。忍さんのバフも掛かってコレだ。『アステリアよりも弱い』という発言は、ブラフだったのだろう。
「『女神の使徒』も、大した事は無いね!」
「なんだそれ!?『女神の使徒』!?」
「知らないのか!だったら聞かせてあげるよ!」
いや、今は聞くな。集中しろ。ほんの一瞬だけで良い。勝ち筋を、亜人王へ攻撃を通せる道を探せ。魔術の軌道を予測し、避ける。それだけの事だ。やるしか無い。
「神話の時代!神々はこの世界の『自浄作用』を設けた!」
集中する。槍の先端の向きを見て、飛んで来るよりも早く動く。僕は槍に当たる事も無く、亜人王の懐に潜り込む。剣を握る腕に力を込めるが、亜人王は衝撃波で僕と諒子を吹き飛ばす。それでも、僕らは再び亜人王に向かって走り出す。
「ある神は『生』の循環を!ある神は『厄災』という名のガス抜きを!そしてある神は、『聖戦』の名を冠する茶番劇を!」
走る。剣を振る。弾かれる。その繰り返しの中で、僕は何かを掴むような感覚を得ている。多分諒子も同じだ。目が輝いている。僕らは一心不乱に体を動かして、亜人王へ攻撃する。
「千年に一度、世界が『勇者』と『魔王』を選定し、勇者が魔王を殺す事で、世界の負債を魔王ごと無くす!」
自然と魔力が巡る。まるで飛んでいるかのような高揚感が体を包む。僕はその感覚に身を任せ、亜人王の障壁に攻撃を入れる。ヒビが入り、僕らに自身の成長を知らせる。
「君に分かるかい!?生まれた瞬間、自身の最後を知る、世界の歯車の気持ちが!」
魔力を単体で操る。それは最早魔術の領域を超えていた。僕の頭に、かつての強敵の姿が浮かぶ。静かで、美しい魔力を纏う、『彼女』の姿を。僕は彼女の動きをなぞるように、体の中の霊力を流す。僕らの肢体は、未だ感じた事の無い速度で動く。
「分かってくれとは言わない!僕の役割だ!それでも!」
体の表面から魔力が滲み出る。諒子と僕は、それぞれの『色彩』を纏いながら、亜人王へぶつかって行く。だが、亜人王は何重にも障壁を重ね、僕らの刃を受け止める。
「生きたいと願うのは、僕の身勝手だろうか!」
気付けば、亜人王の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。それを見た僕らの手が、一瞬止まる。そんな僕らを、亜人王は貫いた。視界に赤い液体が写る。
「願ったなら叶えたい!僕は強欲な『魔王』だから!」
その瞬間、亜人王を守っていた障壁が消えた。僕は串刺しの状態で、後ろを見る。大聖が杖を構え、何か力を送っている。
「だったら最初から話し合え!争う事が『救い』なんて馬鹿げてる!」
「世界が決めた!神が定めた!その時点で、僕に抗う術は無かった!」
亜人王は感情に任せるように、大聖達に槍を飛ばす。だが、忍さんがそれを許さない。僕と諒子は、亜人王が気を逸らした瞬間、自身を貫いている槍を無理矢理折って、立ち上がった。そして同時に、亜人王の方へ走り出す。
「そこで諦めて満足か亜人王!」
「僕は『魔王』だ!今代の勇者!」
そう言った亜人王は、僕と諒子の剣を槍で砕こうとした。僕の剣は砕かれたが、諒子の刀は、『絶対に傷付かない』武具だ。そんな物が効く筈も無く、諒子の刀は、亜人王の槍を跳ね返した。諒子はそのまま、がら空きの亜人王の胴体に刃を振る。それを亜人王はギリギリの所で防御した。その障壁は一瞬で消えたが、諒子の刀は弾かれた。体勢を崩した諒子に、亜人王は複数の槍を向ける。
だがその一瞬、後衛二人に向かう槍が、ほんの少し減った。忍さんは杖を構え、魔力を吸い取る魔術を発動させる。全ての槍の形が少し揺らぐと共に、速度が落ちた。僕はその一瞬を逃さず、拳に力を込める。忍さんと僕自身のバフに加え、疑似的な『魔法』が乗った拳は、亜人王が咄嗟に張った障壁を貫いて、亜人王に直撃する。
この戦闘で、初めて亜人王に攻撃が通った。
亜人王の体は少しよろけて、後ろに下がる。
「流石は勇者だ……だがまだ終わらない!」
そう言って、亜人王は再び大規模な魔法陣を展開する。それに対して僕は、はっきりとこう言った。
「僕は『勇者』じゃない!貴方との対話を望む、旅人だ!」
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