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第七話 里を守れ!メルの決意 ~チャプター5~
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「ファイアバレット!」
「ぐはァっ!」
襲い来る闇ハンターを退けながら、メルは逃げ遅れたラミアたちを連れ避難場所を目指していた。
「はぁ…はぁ…。」
「大丈夫?メル…」「さっきからずっとあなただけで戦いっぱなしじゃない!」
「へ…平気!私がみんなを守る!」
里がこんな目に遭っているのは、自分が闇ハンターに捕まってしまったことで里の存在を露呈させてしまった所為である。メルはそう自責の念を負っていた。
(私…が、守らなきゃいけない…のに…)
「いたぞ!4匹もいるぜ!」
メルは魔力も体力も尽きかけていたが、王国軍が抑えきれなかった闇ハンターが次々と迫ってくる。
(もう…ダメ…ッ!)
ハンターの魔の手がメルたちの元へ迫ったまさにその瞬間、ハンターの眼前の空気が破裂し相手をのけぞらせた。
「ぐはッ…!?」「な、何だ!?」
瞬間、何が起きたか理解出来ていないハンター達。
(これは…エアショック!?)
その術に覚えがあったメルはふと上空を見上げると、こちらに向かって一頭のグリフォンが飛んで来ていた。
グリフォンがメル達の前に降り立つと、それから見覚えのある二つの人影が降りてくる。
「メル!よかった、無事みたいだね!」
「リーナ!?ユウヤも!?」
まさか体調が悪かったユウヤまで一緒に、それもこんなに早く追いついてきたことに驚きを隠せなかったメル。
「ユウヤ、一晩休んだら調子が良くなったから、メルを追いかけようってギルドまで行ったんだ。そしたらグリフォンをかしてくれたの!」
「ふたりとも…、ありがとう!」
「お、おう…、それとメル…」
グリフォンから降りてきたユウヤだったが、まだ若干フラフラしていた。
「ユウヤ…、やっぱりまだ体調が…」
「あ、それはね…。ユウヤ、グリフォンに乗ってたらちょっと酔っちゃったみたいで…。」
「…ったく、病み上がりで無理するからよ!」
「そ、そんなことより…。メル、これを。」
ユウヤは背負っていた布に包まれた棒状のものをメルに渡した。
メルは巻かれていた布を解くと、出てきたのは―――
「これって、もしかして…!?」
「そう!鍛冶屋で作ってもらったミスリルメイスだよ。出発する直前に鍛冶屋のお姉さんがギルドまで届けてくれたんだ。」
「あ、ありがとう!でもいくらなんでも出来るの早くない?」
「うん。届けてくれた鍛冶屋のお姉さんがね、職人のお父さんが純度の高いミスリル鉱石を見たら興奮してやる気出たらしくて、一晩で仕上げちゃったんだって。」
「おいガキども!この状況でくっちゃべるとか余裕じゃねぇか…?」
「!?」
いろいろと積もる話をしてる間に、一同はすっかりハンターたちに囲まれてしまっていた。
「やばい、どうしよう…」
「大丈夫!来たのは私たちだけじゃないよ!」
「え…?」
そういった矢先、上空からもう一頭のグリフォンが飛来する。その背から何かが投げ下ろされ、ハンターが群がる地面に突き刺さった。かなり大きな、両刃の斧だ。
そして、それを追うように人影がグリフォンの背から飛び降りる。それが着地すると地を揺るがすとともに風圧が広がり、周囲のハンターを吹き飛ばす。
「なんだあいつは!?」
その人物とは、ルクスの冒険者ギルド長・ガゼルだった。
「ギルド長!?」
「待たせてしまってすまなかったな、メル。」
「ガゼルだと!?」「奴はケガで冒険者やめたんじゃなかったのか!?」
周囲のハンターたちがざわつく。
ガゼルは突き刺さった斧を引き抜くと―――
「…ああ。ケガもした。現場も退いた。―――」
「だがケガはもう完治したし、現場を離れても鍛錬は一日たりとも欠かしてはいない!」
そう言うとガゼルは手にした斧で空を横薙ぎする。先ほどの着地の時のそれを上回る風圧がハンターを襲う!
「ぐわぁぁっ!」「ぎゃぁぁ!」
まるで無双ゲームのような光景を目の当たりにしたユウヤたちはただ茫然と見守るばかりである。
「すげぇ、あれが本気のギルド長―――」
「相変わらず派手な暴れっぷりですねぇ。何年も現場を離れていたとは思えませんよ。」
「アイエッ!?」
そんなユウヤたちの傍らに気配もなく姿を現したミヤムラさんだった。
「ミヤムラさんまで来てくれたの!?」
「ええ。私たちはユウヤさんたちみたいに遅れて参加する冒険者たちのためにグリフォンを用意して待機してたんですよぉ。」
いつもギルドではほぼ事務仕事しかしていないようなミヤムラさんだが、彼女もギルドで一、二を争うほどの戦闘技術の持ち主で、かつては名うてのアサシンではないかと噂されるほどである。
「さて、私たちも行動開始といたしましょう!」
こうして思わぬ助っ人を得たメル達は一気に反撃へと出るのであった。
「ぐはァっ!」
襲い来る闇ハンターを退けながら、メルは逃げ遅れたラミアたちを連れ避難場所を目指していた。
「はぁ…はぁ…。」
「大丈夫?メル…」「さっきからずっとあなただけで戦いっぱなしじゃない!」
「へ…平気!私がみんなを守る!」
里がこんな目に遭っているのは、自分が闇ハンターに捕まってしまったことで里の存在を露呈させてしまった所為である。メルはそう自責の念を負っていた。
(私…が、守らなきゃいけない…のに…)
「いたぞ!4匹もいるぜ!」
メルは魔力も体力も尽きかけていたが、王国軍が抑えきれなかった闇ハンターが次々と迫ってくる。
(もう…ダメ…ッ!)
ハンターの魔の手がメルたちの元へ迫ったまさにその瞬間、ハンターの眼前の空気が破裂し相手をのけぞらせた。
「ぐはッ…!?」「な、何だ!?」
瞬間、何が起きたか理解出来ていないハンター達。
(これは…エアショック!?)
その術に覚えがあったメルはふと上空を見上げると、こちらに向かって一頭のグリフォンが飛んで来ていた。
グリフォンがメル達の前に降り立つと、それから見覚えのある二つの人影が降りてくる。
「メル!よかった、無事みたいだね!」
「リーナ!?ユウヤも!?」
まさか体調が悪かったユウヤまで一緒に、それもこんなに早く追いついてきたことに驚きを隠せなかったメル。
「ユウヤ、一晩休んだら調子が良くなったから、メルを追いかけようってギルドまで行ったんだ。そしたらグリフォンをかしてくれたの!」
「ふたりとも…、ありがとう!」
「お、おう…、それとメル…」
グリフォンから降りてきたユウヤだったが、まだ若干フラフラしていた。
「ユウヤ…、やっぱりまだ体調が…」
「あ、それはね…。ユウヤ、グリフォンに乗ってたらちょっと酔っちゃったみたいで…。」
「…ったく、病み上がりで無理するからよ!」
「そ、そんなことより…。メル、これを。」
ユウヤは背負っていた布に包まれた棒状のものをメルに渡した。
メルは巻かれていた布を解くと、出てきたのは―――
「これって、もしかして…!?」
「そう!鍛冶屋で作ってもらったミスリルメイスだよ。出発する直前に鍛冶屋のお姉さんがギルドまで届けてくれたんだ。」
「あ、ありがとう!でもいくらなんでも出来るの早くない?」
「うん。届けてくれた鍛冶屋のお姉さんがね、職人のお父さんが純度の高いミスリル鉱石を見たら興奮してやる気出たらしくて、一晩で仕上げちゃったんだって。」
「おいガキども!この状況でくっちゃべるとか余裕じゃねぇか…?」
「!?」
いろいろと積もる話をしてる間に、一同はすっかりハンターたちに囲まれてしまっていた。
「やばい、どうしよう…」
「大丈夫!来たのは私たちだけじゃないよ!」
「え…?」
そういった矢先、上空からもう一頭のグリフォンが飛来する。その背から何かが投げ下ろされ、ハンターが群がる地面に突き刺さった。かなり大きな、両刃の斧だ。
そして、それを追うように人影がグリフォンの背から飛び降りる。それが着地すると地を揺るがすとともに風圧が広がり、周囲のハンターを吹き飛ばす。
「なんだあいつは!?」
その人物とは、ルクスの冒険者ギルド長・ガゼルだった。
「ギルド長!?」
「待たせてしまってすまなかったな、メル。」
「ガゼルだと!?」「奴はケガで冒険者やめたんじゃなかったのか!?」
周囲のハンターたちがざわつく。
ガゼルは突き刺さった斧を引き抜くと―――
「…ああ。ケガもした。現場も退いた。―――」
「だがケガはもう完治したし、現場を離れても鍛錬は一日たりとも欠かしてはいない!」
そう言うとガゼルは手にした斧で空を横薙ぎする。先ほどの着地の時のそれを上回る風圧がハンターを襲う!
「ぐわぁぁっ!」「ぎゃぁぁ!」
まるで無双ゲームのような光景を目の当たりにしたユウヤたちはただ茫然と見守るばかりである。
「すげぇ、あれが本気のギルド長―――」
「相変わらず派手な暴れっぷりですねぇ。何年も現場を離れていたとは思えませんよ。」
「アイエッ!?」
そんなユウヤたちの傍らに気配もなく姿を現したミヤムラさんだった。
「ミヤムラさんまで来てくれたの!?」
「ええ。私たちはユウヤさんたちみたいに遅れて参加する冒険者たちのためにグリフォンを用意して待機してたんですよぉ。」
いつもギルドではほぼ事務仕事しかしていないようなミヤムラさんだが、彼女もギルドで一、二を争うほどの戦闘技術の持ち主で、かつては名うてのアサシンではないかと噂されるほどである。
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