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第五話 トラウマ克服!?ゴブリン退治 ~チャプター7~
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「ハァ……ハァ……」
「ユウヤ!やったね!」
不意を突く形で黒ずくめの魔獣使いを倒した。
これで事件は解決、クエスト達成のはずだ。
「へぇ、アイツもなかなかやるじゃない。」
「ええ。わたくしはやってくれると信じてましたわ。」
姫二人もこれで幕切れと思ったが―――
「ヌグォォォォォ!!!!」
二人が相手していた巨大ゴブリンがより大きな雄叫びをあげる。
「な、何なの!?」
「…おそらくこのゴブリンもあの魔獣使いの隷属術に抗っていたのでしょう。そして魔獣使いが倒され、急に術から解放されたことによって混乱してしまったと思われます!」
混乱し暴走を始めた巨大ゴブリンは見境なく棍棒を振り回し始めた。
「なんか操られていた時よりだいぶ質が悪くなってないか!?」
より厄介なことになったと俺は思ったが―――
「…いいえ。これでだいぶ隙が出来そうね。」
操られていた時は明確にノルンとシエルを狙って攻撃していた巨大ゴブリンだが、暴走してからは誰を狙うでもなくその場で暴れ続けるのみだ。
「シア!あれやるわよ!」
「ええ!わかりましたわ!」
二人は同時に詠唱を開始する。
「風よ、彼者を拘束せよ!」
「炎よ、其を燃やし尽くせ!」
「「バーニングトルネード!!」」
風が渦巻き巨大ゴブリンを包み込むと、その中心から一気に火柱が上がる!
「すごい!合体魔術だ!」
初めてそれを目の当たりにしたのか、リーナは興奮した様子を見せる。
そして炎の渦が収まると、そこに遺されていたのは灰燼と化した巨大ゴブリンだった。
「…ふぅ、これで本当におしまいね。」
こうして事件は収束となった―――
***
「……う…うぅ…。」
「メル!」
目を覚ましたメルの視界にあったのは、今にも泣きだしそうなリーナの顔。
「リー…ナ?はっ、そうだ…私、操られて…みんなに…ひどい事を―――」
取り乱しそうになるメルをリーナは抱きすくめる。
「大丈夫、もう心配ないよ。怖いのは、ユウヤがやっつけてくれたから…。」
メルがふと俺の方を向いた。俺はニッと笑い親指を立てて見せる。
「あ…あぅ……みん…な…」
やがてメルは涙を浮かべ、抱きすくめていたリーナもつられて涙を流した。
二人とも抱き合ったまま目を><にさせて泣きじゃくる。
「みなさーん!」
「捕まってた人たちを連れてきたわよ!」
ノルンとシエルが攫われていた女性たちを見つけてきたようだ。
「メルさん、お目覚めになったようですね。ご無事で何よりです。」
「そのようね。今すぐメルを抱きしめに行きたいけど、アタシは先にルクスに戻って憲兵団を呼んでくるわ。捕まってた人たちの護送と、あの変態魔獣使いの身柄を引き渡さないとね。」
魔獣使いは俺が刺した後、リーナに頼んで死なない程度に回復魔術をかけてもらっておいた。
死に逃げられたくはなかったから、コイツには生きて償わせようと思っていたのだ。
また目が覚めても何もさせないよう徹底的にふん縛り、目隠しに猿ぐつわまで施しておいた。ただ縛っただけではまた誰かを操ってきそうだし。
「まぁ生かしておいたのは正解だったわ。コイツからは色々と聞き出せそうだし、その後はアタシが死罪確定させるけどね。」
…おい。
「それじゃあ、アタシが戻ってくるまでヨロシクね。」
「わかりました。あ、そうでした!」
「どうかしたの?シア。」
「このクエスト、元はユウヤさんのゴブリンの死体に対するトラウマを克服させるために受けたのですよね?」
ハッ、そう言えば…。
「それで、大丈夫ですの?ユウヤさん。」
戦闘やその最中の出来事であまり気に留める暇はなかったが、冷静になって周りを見渡してみると、風の魔術やらで膾切りされていたり、黒焦げならまだしも中途半端に焼け爛れた状態のゴブリンの亡骸がそこら中に転がっているのが目に入った。
そして俺は―――
「う~ん…。」
案の定、そのまま落ちた。
「ユウヤさん!?」
「まったく、このヘタレは一生治りそうもないわね。」
異世界に来てからの最大の苦難を乗り越えたようで、俺の方は大して成長は出来てなかったようだ。
「ユウヤ!やったね!」
不意を突く形で黒ずくめの魔獣使いを倒した。
これで事件は解決、クエスト達成のはずだ。
「へぇ、アイツもなかなかやるじゃない。」
「ええ。わたくしはやってくれると信じてましたわ。」
姫二人もこれで幕切れと思ったが―――
「ヌグォォォォォ!!!!」
二人が相手していた巨大ゴブリンがより大きな雄叫びをあげる。
「な、何なの!?」
「…おそらくこのゴブリンもあの魔獣使いの隷属術に抗っていたのでしょう。そして魔獣使いが倒され、急に術から解放されたことによって混乱してしまったと思われます!」
混乱し暴走を始めた巨大ゴブリンは見境なく棍棒を振り回し始めた。
「なんか操られていた時よりだいぶ質が悪くなってないか!?」
より厄介なことになったと俺は思ったが―――
「…いいえ。これでだいぶ隙が出来そうね。」
操られていた時は明確にノルンとシエルを狙って攻撃していた巨大ゴブリンだが、暴走してからは誰を狙うでもなくその場で暴れ続けるのみだ。
「シア!あれやるわよ!」
「ええ!わかりましたわ!」
二人は同時に詠唱を開始する。
「風よ、彼者を拘束せよ!」
「炎よ、其を燃やし尽くせ!」
「「バーニングトルネード!!」」
風が渦巻き巨大ゴブリンを包み込むと、その中心から一気に火柱が上がる!
「すごい!合体魔術だ!」
初めてそれを目の当たりにしたのか、リーナは興奮した様子を見せる。
そして炎の渦が収まると、そこに遺されていたのは灰燼と化した巨大ゴブリンだった。
「…ふぅ、これで本当におしまいね。」
こうして事件は収束となった―――
***
「……う…うぅ…。」
「メル!」
目を覚ましたメルの視界にあったのは、今にも泣きだしそうなリーナの顔。
「リー…ナ?はっ、そうだ…私、操られて…みんなに…ひどい事を―――」
取り乱しそうになるメルをリーナは抱きすくめる。
「大丈夫、もう心配ないよ。怖いのは、ユウヤがやっつけてくれたから…。」
メルがふと俺の方を向いた。俺はニッと笑い親指を立てて見せる。
「あ…あぅ……みん…な…」
やがてメルは涙を浮かべ、抱きすくめていたリーナもつられて涙を流した。
二人とも抱き合ったまま目を><にさせて泣きじゃくる。
「みなさーん!」
「捕まってた人たちを連れてきたわよ!」
ノルンとシエルが攫われていた女性たちを見つけてきたようだ。
「メルさん、お目覚めになったようですね。ご無事で何よりです。」
「そのようね。今すぐメルを抱きしめに行きたいけど、アタシは先にルクスに戻って憲兵団を呼んでくるわ。捕まってた人たちの護送と、あの変態魔獣使いの身柄を引き渡さないとね。」
魔獣使いは俺が刺した後、リーナに頼んで死なない程度に回復魔術をかけてもらっておいた。
死に逃げられたくはなかったから、コイツには生きて償わせようと思っていたのだ。
また目が覚めても何もさせないよう徹底的にふん縛り、目隠しに猿ぐつわまで施しておいた。ただ縛っただけではまた誰かを操ってきそうだし。
「まぁ生かしておいたのは正解だったわ。コイツからは色々と聞き出せそうだし、その後はアタシが死罪確定させるけどね。」
…おい。
「それじゃあ、アタシが戻ってくるまでヨロシクね。」
「わかりました。あ、そうでした!」
「どうかしたの?シア。」
「このクエスト、元はユウヤさんのゴブリンの死体に対するトラウマを克服させるために受けたのですよね?」
ハッ、そう言えば…。
「それで、大丈夫ですの?ユウヤさん。」
戦闘やその最中の出来事であまり気に留める暇はなかったが、冷静になって周りを見渡してみると、風の魔術やらで膾切りされていたり、黒焦げならまだしも中途半端に焼け爛れた状態のゴブリンの亡骸がそこら中に転がっているのが目に入った。
そして俺は―――
「う~ん…。」
案の定、そのまま落ちた。
「ユウヤさん!?」
「まったく、このヘタレは一生治りそうもないわね。」
異世界に来てからの最大の苦難を乗り越えたようで、俺の方は大して成長は出来てなかったようだ。
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