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第四話 二人のお姫様 ~チャプター1~
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「おっはよう!さぁ、今日もクエストに行くわよ!」
バタンと勢いよく扉を開け、メルが俺の部屋に入ってきた。
「んん……、もうちょっと寝かせて…」
「なーに言ってんの!私もリーナもとっくに準備できてるわよ!」
まだ目が覚めきっていなかったけどたたき起こされてしまった。
***
「よーし、どんどん働いてじゃんじゃん稼ぐわよ~!」
メルが俺たちのパーティに加わってから数日経ち、メルは徐々に本来の勝気な性格を取り戻していた。ルクスの町自体も元々多くの種族が暮らしているため、メル自身もすっかり町に馴染んだようだ。
「…といっても、どうせ今日も草むしりでしょ?」
「草むしりじゃない。薬草採取だ。」
新たな戦力が増えはしたが、それでも俺たちの主なクエストは未だに薬草採取(とツノウサギ駆除)だ。俺自身も少しはツノウサギの相手が出来るようにはなってきたが、それでも魔物退治などの本格的なクエストには今一歩踏み出せずにいた。
「もっと魔物退治とか稼げるクエストやれないの?」
「……。」
「…えーっと、ユウヤはね―――」
「ちょ、リーナそれだけは―――」
リーナは俺と初めて逢った時の事を話し始めた。つまり自分で倒したゴブリンを見て卒倒したという俺のヘタレ全開エピソード…
「なっさけないなぁ。そんなんでよく冒険者やってけるわね。」
「んぐぐ……。」
「ま、まぁまぁ…。」
そんな会話を繰り広げながらギルドに向かっていた。
***
「魔物退治や薬草採取以外にもクエストはあるし、色々見てみよっか。」
「そうだな。」「そうね。」
ギルドに着いた俺たちは掲示板に貼り出されたクエスト票を物色する。すると―――
「あ。ねぇねぇ、これいいんじゃない?」
リーナが何かクエストを見つけてきたようだ。
いつも思うが、リーナは最初に何かを見つけるなどきっかけを持ってくることが多い。ギルドに入る前に師匠とやらと旅をしていた経験からか、それとも彼女自身の才能なのか、優れた洞察力があるように思える。
まぁ、単に俺が鈍感なだけかもしれないが。
それはさておき―――
「おお、どんなクエストだ?」
「ええっとね、『避暑地に来る貴族の護衛任務』…だって。」
「!?」
リーナが内容を読み上げたその瞬間、ギルドの空気が凍りついたのを感じた。
「ああ、もうそんな時期かぁ…」
「今回は誰が餌食に…」
「オレ、前回これ受けた奴知ってるけど、その後3日は寝込んだらしいぜ。」
え?え!?なんかヤバくないかコレ?
「な、なぁリーナ?別のクエストにしないか?」
「えー?これいいと思うけどなぁ。だって『種族・性別・経験問いません。護衛対象の貴族様に付いていくだけの簡単なお仕事です。』って書いてあるし、私たちにピッタリじゃない?」
いや、簡単そうに書いてあるがそこはかとなくブラックな匂いが…。周りの雰囲気がそれを物語っているかのようだ。
「それに報酬もいつもの薬草採取の一週間分はあるよ。やってみようよ、ね?」
「いいじゃない。やりましょうよ!」
メルまで乗り気になってしまった。これはもう避けられないか……。
「…わかった。受けるよ受けますよ!」
「よーし、やるわよ!」「お~!」
気楽でいいなお嬢さん方は。俺はどうなっても知らないからな!
バタンと勢いよく扉を開け、メルが俺の部屋に入ってきた。
「んん……、もうちょっと寝かせて…」
「なーに言ってんの!私もリーナもとっくに準備できてるわよ!」
まだ目が覚めきっていなかったけどたたき起こされてしまった。
***
「よーし、どんどん働いてじゃんじゃん稼ぐわよ~!」
メルが俺たちのパーティに加わってから数日経ち、メルは徐々に本来の勝気な性格を取り戻していた。ルクスの町自体も元々多くの種族が暮らしているため、メル自身もすっかり町に馴染んだようだ。
「…といっても、どうせ今日も草むしりでしょ?」
「草むしりじゃない。薬草採取だ。」
新たな戦力が増えはしたが、それでも俺たちの主なクエストは未だに薬草採取(とツノウサギ駆除)だ。俺自身も少しはツノウサギの相手が出来るようにはなってきたが、それでも魔物退治などの本格的なクエストには今一歩踏み出せずにいた。
「もっと魔物退治とか稼げるクエストやれないの?」
「……。」
「…えーっと、ユウヤはね―――」
「ちょ、リーナそれだけは―――」
リーナは俺と初めて逢った時の事を話し始めた。つまり自分で倒したゴブリンを見て卒倒したという俺のヘタレ全開エピソード…
「なっさけないなぁ。そんなんでよく冒険者やってけるわね。」
「んぐぐ……。」
「ま、まぁまぁ…。」
そんな会話を繰り広げながらギルドに向かっていた。
***
「魔物退治や薬草採取以外にもクエストはあるし、色々見てみよっか。」
「そうだな。」「そうね。」
ギルドに着いた俺たちは掲示板に貼り出されたクエスト票を物色する。すると―――
「あ。ねぇねぇ、これいいんじゃない?」
リーナが何かクエストを見つけてきたようだ。
いつも思うが、リーナは最初に何かを見つけるなどきっかけを持ってくることが多い。ギルドに入る前に師匠とやらと旅をしていた経験からか、それとも彼女自身の才能なのか、優れた洞察力があるように思える。
まぁ、単に俺が鈍感なだけかもしれないが。
それはさておき―――
「おお、どんなクエストだ?」
「ええっとね、『避暑地に来る貴族の護衛任務』…だって。」
「!?」
リーナが内容を読み上げたその瞬間、ギルドの空気が凍りついたのを感じた。
「ああ、もうそんな時期かぁ…」
「今回は誰が餌食に…」
「オレ、前回これ受けた奴知ってるけど、その後3日は寝込んだらしいぜ。」
え?え!?なんかヤバくないかコレ?
「な、なぁリーナ?別のクエストにしないか?」
「えー?これいいと思うけどなぁ。だって『種族・性別・経験問いません。護衛対象の貴族様に付いていくだけの簡単なお仕事です。』って書いてあるし、私たちにピッタリじゃない?」
いや、簡単そうに書いてあるがそこはかとなくブラックな匂いが…。周りの雰囲気がそれを物語っているかのようだ。
「それに報酬もいつもの薬草採取の一週間分はあるよ。やってみようよ、ね?」
「いいじゃない。やりましょうよ!」
メルまで乗り気になってしまった。これはもう避けられないか……。
「…わかった。受けるよ受けますよ!」
「よーし、やるわよ!」「お~!」
気楽でいいなお嬢さん方は。俺はどうなっても知らないからな!
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