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第二話 異世界でも死にたい ~チャプター2~
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武器の実技が終わり、ギルドのロビーに戻るとリーナが出迎えてくれた。
「お疲れ~。どうだった?」
「ああ…、終わったよ…。」
「?」
いろんな意味で。あんな恥ずかしい姿さらして平気じゃいられないよ。
「お疲れ様です~。ユウヤさん、結果が届きましたよ。」
「…ハイ。」
エミリーさんが検査結果を持ってきてくれた。
「評価は1~3の3段階で行われています。結果ですが…。」
そんなに緊迫するような事でもないが、思わず固唾をのむ。
「短剣が3、剣が2、それ以外の武器が1、ですね。」
「短剣。」
「はい。短剣が3です。」
短剣…って。まぁそのふたつが扱いやすかったのは事実だけど。
「ちなみに短剣は多くの方が高い適性評価を得られてますね。ほとんどの方はメインに他の武器を構えて短剣をサブウェポンとして使う方が多いですが、短剣をメインに使う冒険者も少なくないですよ。」
「は、はぁ…。」
「え、えーっと…。あ、言い忘れてました。武器の適性は上達の早さを示すものであって、適性の低い武器は扱えないというわけではありません。なので、適性の高い武器の方が成長は早いですが、お好みの武器を使い続けても問題はないと思いますよ。」
それ言い忘れてほしくなかったですね…。
まぁ、訓練用で重く作られてたとはいえ、斧や弓みたいな武器を今すぐ扱えるとは思えないし、やっぱり自分が扱いやすいものを使うのが一番な筈だ。
「でも短剣かぁ…。まぁ、悪くはないかも。」
「そう?あ、そうだ!そういうユウヤさんにちょうどいいものがありますよ~!」
リーナがお昼の通販番組みたいなことを言い出して、鞄の中を探り始める。
「お、あったあった。じゃ~ん!はい、これ。」
手渡されたのは、レザーの鞘に収められた短剣だった。
「これは?」
「むかし師匠と行った遺跡探索で見つけたものなんだ。ユウヤにあげるよ。」
鞘から取り出してみると、黒い片刃の刀身に白銀の線が斜めに2本、それに交差する線が1本入っていて、見た目はすごくカッコイイ刃をしてる。
「いいの?これ、本当に。」
「うん!私が持っててもカバンの隅で寝かせてるだけだと思うし、ユウヤに使ってもらいたいんだ。」
「そういうことなら…、ありがたく使わせてもらおうかな。」
短剣でもこういうのなら使ってて映えるな。そう思いながら刃を見つめていると…
「ほう、これはなかなか…。」
「おわっ!?」
狐耳のお姉さんがいきなり横に立っていて、俺の持ってる短剣を見つめていた。
ていうか、全然誰かが近づく気配がしなかった。
「これは…銀色の筋の部分を見るに、刃自体は白金ですね。そこに黒曜石を粉末にして刃にコーティングして刀身を黒く…」
「あ、あの…?」
「ああ、失礼致しました~。私短剣に目がなくってつい…。あ、申し遅れました。私、ミヤムラと申します。このギルドでギルド長の補佐をさせていただいたり、合間に受付などやっております。」
そういえばこのギルドに初めて来た日にエミリーさんの隣の窓口に居た気がするかも。
「あ、ハイ。どうも。あの~、この武器なんかすごいんですか?」
「そうですねぇ~。恐らく装飾用に作られたものですが実践での使用にも耐えうると思いますね。ただ、特にこれといった特殊効果があったりとかはない様です。見た目は派手ですが、普通のダガーですね。ですが、骨董的な価値はあると思いますよ。」
「そうなんですか?………ちなみに価値って?」
そうひっそり尋ねると、ミヤムラさんはどこからか取り出したそろばんをパチパチ弾き…
「そうですねぇ、こんなものかと…」
ミヤムラさん的鑑定額は、宿屋半年分くらいの値段だった。
その後おもむろにリーナの方に顔を向けると…
「ん~、まぁ私は売っちゃっても構わないけど…。」
そう答えるリーナだったが、その笑顔は少し寂し気であった。
そりゃそうだ。せっかくくれたものをすぐ売っ払うなんて…。
「…いや、これは俺が使わせてもらいます。カッコイイし。」
「ユウヤ…。」
リーナの笑顔の曇りが晴れたようだ。
「そういえば、これ名前はあるのかな?」
「ん~そうですねぇ、特にそういうのは…」
「じゃあ、ユウヤが付けちゃいなよ、名前。」
「名前…。うーん。じゃあ、ブラックエッジで!」
「うーん、カッコイイけどなんかそのまんまじゃない?」
「いいの!シンプルイズベストなの!」
中学生くらいの俺だったらもっと尖ったセンスを利かせていただろうが、もうそう言うのは卒業したのだ。いや、ブラックエッジも十分痛い気がしてきた。
―――とにかく。これからよろしくな、ブラックエッジ。
「お疲れ~。どうだった?」
「ああ…、終わったよ…。」
「?」
いろんな意味で。あんな恥ずかしい姿さらして平気じゃいられないよ。
「お疲れ様です~。ユウヤさん、結果が届きましたよ。」
「…ハイ。」
エミリーさんが検査結果を持ってきてくれた。
「評価は1~3の3段階で行われています。結果ですが…。」
そんなに緊迫するような事でもないが、思わず固唾をのむ。
「短剣が3、剣が2、それ以外の武器が1、ですね。」
「短剣。」
「はい。短剣が3です。」
短剣…って。まぁそのふたつが扱いやすかったのは事実だけど。
「ちなみに短剣は多くの方が高い適性評価を得られてますね。ほとんどの方はメインに他の武器を構えて短剣をサブウェポンとして使う方が多いですが、短剣をメインに使う冒険者も少なくないですよ。」
「は、はぁ…。」
「え、えーっと…。あ、言い忘れてました。武器の適性は上達の早さを示すものであって、適性の低い武器は扱えないというわけではありません。なので、適性の高い武器の方が成長は早いですが、お好みの武器を使い続けても問題はないと思いますよ。」
それ言い忘れてほしくなかったですね…。
まぁ、訓練用で重く作られてたとはいえ、斧や弓みたいな武器を今すぐ扱えるとは思えないし、やっぱり自分が扱いやすいものを使うのが一番な筈だ。
「でも短剣かぁ…。まぁ、悪くはないかも。」
「そう?あ、そうだ!そういうユウヤさんにちょうどいいものがありますよ~!」
リーナがお昼の通販番組みたいなことを言い出して、鞄の中を探り始める。
「お、あったあった。じゃ~ん!はい、これ。」
手渡されたのは、レザーの鞘に収められた短剣だった。
「これは?」
「むかし師匠と行った遺跡探索で見つけたものなんだ。ユウヤにあげるよ。」
鞘から取り出してみると、黒い片刃の刀身に白銀の線が斜めに2本、それに交差する線が1本入っていて、見た目はすごくカッコイイ刃をしてる。
「いいの?これ、本当に。」
「うん!私が持っててもカバンの隅で寝かせてるだけだと思うし、ユウヤに使ってもらいたいんだ。」
「そういうことなら…、ありがたく使わせてもらおうかな。」
短剣でもこういうのなら使ってて映えるな。そう思いながら刃を見つめていると…
「ほう、これはなかなか…。」
「おわっ!?」
狐耳のお姉さんがいきなり横に立っていて、俺の持ってる短剣を見つめていた。
ていうか、全然誰かが近づく気配がしなかった。
「これは…銀色の筋の部分を見るに、刃自体は白金ですね。そこに黒曜石を粉末にして刃にコーティングして刀身を黒く…」
「あ、あの…?」
「ああ、失礼致しました~。私短剣に目がなくってつい…。あ、申し遅れました。私、ミヤムラと申します。このギルドでギルド長の補佐をさせていただいたり、合間に受付などやっております。」
そういえばこのギルドに初めて来た日にエミリーさんの隣の窓口に居た気がするかも。
「あ、ハイ。どうも。あの~、この武器なんかすごいんですか?」
「そうですねぇ~。恐らく装飾用に作られたものですが実践での使用にも耐えうると思いますね。ただ、特にこれといった特殊効果があったりとかはない様です。見た目は派手ですが、普通のダガーですね。ですが、骨董的な価値はあると思いますよ。」
「そうなんですか?………ちなみに価値って?」
そうひっそり尋ねると、ミヤムラさんはどこからか取り出したそろばんをパチパチ弾き…
「そうですねぇ、こんなものかと…」
ミヤムラさん的鑑定額は、宿屋半年分くらいの値段だった。
その後おもむろにリーナの方に顔を向けると…
「ん~、まぁ私は売っちゃっても構わないけど…。」
そう答えるリーナだったが、その笑顔は少し寂し気であった。
そりゃそうだ。せっかくくれたものをすぐ売っ払うなんて…。
「…いや、これは俺が使わせてもらいます。カッコイイし。」
「ユウヤ…。」
リーナの笑顔の曇りが晴れたようだ。
「そういえば、これ名前はあるのかな?」
「ん~そうですねぇ、特にそういうのは…」
「じゃあ、ユウヤが付けちゃいなよ、名前。」
「名前…。うーん。じゃあ、ブラックエッジで!」
「うーん、カッコイイけどなんかそのまんまじゃない?」
「いいの!シンプルイズベストなの!」
中学生くらいの俺だったらもっと尖ったセンスを利かせていただろうが、もうそう言うのは卒業したのだ。いや、ブラックエッジも十分痛い気がしてきた。
―――とにかく。これからよろしくな、ブラックエッジ。
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