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その3
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男は、最後の一枚を残すと、原稿の束に火を着け、ご丁寧にも、その束にペットボトルに入った燃料系の液体を振りかけ、カッ、カッ、カと大嗤いしながら、部屋を出ていった。
なんで、あんな小説を書いたんだ、この愚か者が!
自分に一喝してみたところで、心頭滅却するはずもなく、火の手はどんどん広がっていく。パチパチと赤や紫、青の火花が飛紋のように飛び交っている。
「どうして、最後の一枚を読まないんだ。なんと気の短いやつだ。最後まで読めば、これが、一抹の幻想体系、不安の具象化でしかない、現実は、本当の世界は、もっと美しい、神々しい夜明けの光に優しく包まれ、二人は目覚める、おそれも知らず、愛のあかしを手にして……」
最後のページには、ゴースト・ライターの苦悶、挫折からの深い寛解、復活を高らかに謳っていたはずだが……
なんで、あんな小説を書いたんだ、この愚か者が!
自分に一喝してみたところで、心頭滅却するはずもなく、火の手はどんどん広がっていく。パチパチと赤や紫、青の火花が飛紋のように飛び交っている。
「どうして、最後の一枚を読まないんだ。なんと気の短いやつだ。最後まで読めば、これが、一抹の幻想体系、不安の具象化でしかない、現実は、本当の世界は、もっと美しい、神々しい夜明けの光に優しく包まれ、二人は目覚める、おそれも知らず、愛のあかしを手にして……」
最後のページには、ゴースト・ライターの苦悶、挫折からの深い寛解、復活を高らかに謳っていたはずだが……
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