僕という花たちは…

まゆゆ

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2僕という花は…

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 昨日事だった。

 アサキの借りてる部屋の玄関に目をやる。 
 その日は、午後から受けるはずだった講義が、突然なくなり。
 暇を持て余して、この部屋にいつ居ていたんだっけ?

 夕飯に何を作るかとか、考えていたたら。
 アイツは、帰ってきた。
 それも、かなりの可愛い女の子と一緒に…

 「あっ……おかえり? かな…」
 「…えっ~と?…」

 困惑する僕と、キョドるアイツと連れの子は頭に ?  マーク。
 必要以上に、密着するよう組まれた腕。
 知らないふりして、笑うしか出来ない僕は、惨めだった。

 「…ゴメン。勝手に入ってた。他のヤツらは、先に帰ったから」

 何って、作り話にも程がある話を、さも本物のように語った。

 良かった。

 夕飯とか…作っていたら入り浸ってる  “  トモダチ達  ”  には誤魔化せないから。

 「あの…ちょっと、待ってて…」

 アサキは、連れてきた女子を一旦、玄関から出してドアを閉めて、僕に向き直す。 

 「えっと、今日来る予定だっけ?」

 僕は、静かに首を振る。

 「なに?  新しい彼女? 見たことない子…可愛い子だね…」

 通算13回目の浮気が、発覚した。

 内訳は、お互いに見なかった事にとか?
 今みたいな鉢合わせとか、即修羅場に突入とか…

 男だと、殴られるとか…
 平手打ちは、女の子とか… 

 次の日は顔、腫れたっけなぁ…

 仕組まれたように同じ日の同じ時間で、同じ待ち合わせ場所での遭遇もあったね…

 後は、何だったかなぁ…

 多分。
 思い出したくないのかも、知れない。
 それで僕を、本命だと言うけど他のコに本命って言っている事は、容易に想像ができたりして…

 僕以外の誰かと修羅場っている可能性は、有り得るわけだ…

 相手が、男であろうが女だろうが、相手にとっも、僕にとっても、浮気は浮気だ。
 昔のじいちゃん世代の修羅場ソングって言うか、浮気ソングって言うか…

 そう言うのあるらしいけど…

 冷静に考えれば、浮気とか…
 堂々と、人を試すみたいな事は、アウトだし。
 1回目だろうが、何回目だろうが、許せる訳ない。
 
 ホント。
 今更だけど…

 僕は、アサキにも自分にも、甘過ぎた。

 あぁ…
 本当に、好みな顔に見境ないと言うか、バカ正直と言うか…
 僕も、人のこと言えた義理ないけど…
 こう修羅場を、何度も体験していると修羅場が、遊園地のアトラクション並みの感覚になるから不思議だ。

 昔みたいな驚き方は、もうしない。

 「あの。さっきの子は、その仕事で紹介された子で会うのも、数回目? 本当に何も無い。本当に仕事の延長で、俺の描いたアクセのデザイン案を見たいって…」
 「店の方にじゃなくて…」
 「えっと…? そのデザインのプライベートな…案件で…」

 疑問系の上に、早々にお持ち帰りしたと?
 大胆だねとは、言わないけど…
 最早、ここに居る意味ない僕にアイツは、自分が相手のコに適当に言い包めて、今日は別の所にでも行くよ。
 と気まずそうに、振り向きもしないで僕に言い放ち。 

 そして、止めの一言。

 「帰ってきたら。その話したい事があるから。ちゃんと話そう! 待ってて欲しい…」

 …で、出ていった。

 “  何を、話すんだろう? ”

 僕と違って、男でも女でも、どちらも選べるアイツと、好みがあっても同性しか選べない僕とでは、最初から釣り合わなかったんだ。
 
 アイツにとって、今の相手が最後になるのか…

 それとも、また別の誰かを連れてのか…

 他人事の僕は、僕の知らない所でアイツらが、修羅場を迎えて欲しいと切に願った。

 気持的に全部今日で、終わらせてやるって思えたら。 

 胸が、締め付けられた。

 自分の気持に、酔っていたんだろうな。
 失恋でもしたみたいな…
 この場の雰囲気と、自分にもさぁ…
 僕は、不幸なヤツだとか…
 都合よく。
 なんで、こんなヤツに好かれて、自分も好きになったのか…
 
 今、思えば、初カレに近いものがあったから。
 周りがよく見えてなくて、初めての事だらけの駆け引きも、上手くなくて… 

 でも、誰かに言われたみたいに追ってばかりでも、悪い方に勘違いされるだけだから。

 今は、このまま乗り切ろう。 

 無かった事にして… 

 それなのにアサキは、僕を好きだと言い。
 アイツは、僕に居心地がいいと、思わせてくれる人に思えた。
 でも、違った。

 僕って言う花を側に置いたのは、殺風景な部屋を飾るためにと言う事よりも、なんって言うか…
 自分を、かまってくれる人で無償の愛情をくれる人…

 その上で、自分の好みなら尚更いい。 

 そんな感情だけで言えば、本音は薄くなり一時の思いと行動は、人を平気で裏切る。 
 傷付けるなんって言葉は、まだ優しいのかもしれない。

 じゃ本音は?

 「    」

 言えた試しがない。 

 怖くて、言えなかった…

 それもまた…
 こうなった原因かも、知れない。

 素直になれば、良かったのかなぁ?
 素直さを、否定するようなヤツじゃないと分かっているけど…

 それこそ本音は、アイツを愛してた。

 自分が、思い付く限りの優しい言葉は、その一言。

 過去形なのは、もう側には居たくないから。

 とっくの前から。
 未練なんってなくなってて、誤魔化して見ない振りして、一緒に過ごしてた。
 僕にだって、この恋愛を振り返ってみて、恥ずかしいぐらいの気持ちや感情はあるよ。
 最初のうちは、どう言う想いを、表現していいのか分からなくて誤解したり。
 されたりで、そこから一つづつ作ってきた想いなだけに、何か複雑で納得したはずの別れなのに、いまいち…
 現実を、飲み込めいなくて…

 恋人と言えば、恋人。

 友達と言えば、それ以上の想いがあった。





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