いつか あなたと一緒に

うー吉

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新しい生活

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「体の事も大事だけど それと同じぐらい大事な事があるの」
とサガ様が言った
「レリには力があるの それも そこら辺の人よりはるかに大きな力ね
大きな力は 使い方を間違えると 大変な事になる
だから 間違えないように 勉強しないといけない」
「べんきょう?」
「そう いろんなことを知っって
自分がどう力を使うべきかを 自分で考えていかないといけないの」
「僕が自分で考える……僕が?」
「だから 勉強するんだよ 大丈夫 そんなに難しい事じゃないからね」
サガ様は僕の頭を撫でてくれた
そして 森へ帰って来たけど 何も変わらない 
少し違うのは
「おはよう 体調はどうだ?」
「だいじょうぶです」
「そうか」と
ギルティ様は僕の頬を撫でる
僕の体調を聞くことから 朝が始まるようになった そして優しく体に触れる
一度 貧血がひどくて立ち上がれなくなっているのを 見つかって
サガ様とレジェ様 飛んできた ギルティ様と三人に怒られた
それを見た デビィー様が
「あんまり怒らせたり心配かけたら じいさんたち死んじまうぞ
それに ギルだって びっくりして心臓が止まるかもしれない
だから あまり驚かせるな」と僕に言った
「サガ様 レジェ様 死んじゃう?ギルティ様も?」
「レリが倒れたって聞いて 胸がキュッとなったんだ」とサガ様が言った
レジェ様は 患者を置いてきてしまったからと 急いで帰って行った
「ギル様も?」
「俺が倒れそうになった」となかなか 手を離してくれなくなったから
なるべく 体調は正しく伝えることにした

「市場に行かないか?」
「街のギルドに行くが 一緒に行くか?」
「森へ行くが どうだ?」
外へ行こうと ギルティ様は 僕を誘う
でも 奴隷は買われた先の家や敷地から出ることは許されていない
たまに 奴隷を外につれていく人はいるらしいが
とても綺麗な顔をした奴隷の人で
僕は 傷だらけだし 足も悪い 見た目が悪い
少しでも 役に立たなきゃ
家のことを少しづつやらせてもらっている
「レリ ありがとうな 助かるよ」とギルティ様は必ず言って下さる
その言葉は 僕の心が ほわほわとする
それだけで十分だ 


ーーーーーーーーーーーーー

「外へは行けません」と窓辺の椅子に座って レリが言った

そういえばあの人も 屋敷から外へ行くことはなかったな

「奴隷だからか?」
コクリと頷く
「お前は 奴隷じゃないだろ 魔法が使える」
「使えません 使ったこともない」
「それはこれから勉強することで  
だいたいお前は登録もされていなかったんだ 奴隷なんかじゃなかった」


サガに頼んでも もう一度レリの烙印について調べてもらった
「誰かが勝手に 奴隷の烙印を押して 売り飛ばしたと考えるのがいいのかもしれない」
「そんな事が出来るのか?」
「人のすること 完璧はないわ」
「じゃあ どうすれば」
「レリは 森で ずっと住んでいた それでいい そうしてあるから心配するな」
レリは 奴隷でなくなった

レリが肩の烙印を触る
「でも 僕は奴隷なんだ ずっと」

『やめて ちゃんと眠らせれてあげて』
『無理ですよ いくらあなたの乳母であっても
彼女は 奴隷なんです 我々と一緒とはいかないんですよ』
『なんで 奴隷って言っても 同じ人間だろ
同じ人間なのに なんでそんな あつかいなんだ』
死んだ彼女は ゴミと一緒に処理されようとしていた
『だって 奴隷だからですよ
ずっと昔からの決まりでしょ 何を今更言ってるんですか』と彼女を投げ入れた 
投げ入れた先には ゴミの処理をする奴隷がいた
「………」
『あなたの先祖が決めたことですよ』


「ギルティー様」今まで聞いたことのない レリの大きな声が聞こえた
レリの顔が真っ青になっている
俺の腕から 真っ赤な血が流れている
「ギル様」とレリが傷の上に小さな手を当てている
持っていた小刀で自分の腕を少し切った
「レリ 俺の血は何色だ?」
「えっ」
「レリの血の色は何色だ?」
レリの頬を撫でる 
「あかです」震えながら答えるレリ
「一緒だな 俺の血もレリの血も赤い 同じだな
レリと俺は一緒だ みんないろんな顔や形をしているが
一皮めくれば 同じ赤い血が流れてる 一緒の人間なんだ」
「やめて下さい こんなことで 傷をつけないで」
腕をぎゅっと押さえられた
「大丈夫だ たいしたことない こんな傷より
たくさんの人に傷つけられた レリの傷の方が深いよ」
レリの目から涙が落ちる
「これからは したいことをすればいい
行きたいところに行って 見たいものを見る
食べたいものを食べ 眠くなったら眠る
レリがそんな生活を送れるように 
俺に手伝わせてくれないか」
「ギル様………」
俺の血が レリの指を伝って 落ちた

突然 俺の腕を押さえていた レリの手が光る
「レリ?」
「ぼく……ぼく」
あたたかくてやさしい風が吹いたような気がした
俺の腕の血も消えた そして 傷も消えた
レリの手から光が消えた とたん
レリも意識を失った


ーーーーーーーーーーーーー


目を開ければ ギル様がホッとため息をついたのがわかった
「サガを呼ぶから そのまま寝ていろ」と言って
部屋を出ていった

「覚えてるかな?何があったか」
「ギル様の腕の傷から 血が流れて 
“お願い治って”って思ったら 手が熱くなりました」
「今は どんな感じ?」
「ギル様の傷は どうなりましたか
深く斬れていて 血が流れてて サガ様 僕の事はいいから
ギル様の腕を見て お願い」
「大丈夫だから そんなに興奮しないで 落ち着いて」
頭が 割れるほど痛くなって いつもの頭痛より はるかに痛くて
でも ギル様の腕が気になって
ベットから降りようとして サガ様にとめられる
「まだ おとなしくしてないとね」
フルフルと頭を振る ズキンズキンと音がしそうなぐらい
頭が痛い
「大丈夫だから ギルティ 入ってきていいよ」
ギル様に腕を伸ばすと 身体を包まれた
ギル様の腕の中がやっぱり安心できる
「レリが治してくれたから 何ともない」
とやさしい声が聞こえる
「ほんとですか?」
「ほら」
血が流れていた 腕は傷が一つもない
「よかった」
ギル様がもう一度僕を抱きしめてくれる
「そろそろ 離れてくれる?レリを見たいんだけど」
「いやだ 後にしてくれ」
「ギル様 苦しいです」と小さな声がでた

「急に力があふれて 身体が驚いたって感じかな
痛いところとかある?」
「頭が……痛い」
「他は?」
フルフルと頭をふる
「少し 魔力が暴走しているんだ 
慣れてないから力のコントロールができてない って言ったらわかるかな?」
「どうすればいいんだ?」
「イメージをするんだ 
心をなるべくフラットにして 何も考えない
真っ白な気持ちになるようにしてから
ゆっくり ゆっくり 自分の体の中に力をしまうように
イメージしていくんだ」
目をつむって サガ様に言わせたとおりにする
体の周りのトゲトゲした感じを 身体の中へ治めていく
体の中は すこし気持ちが悪いけど
少しづつ頭の傷みが引いてくる
「そう 上手だよ どうかな?」
「少し楽になったけど 体の中がトゲトゲしてる」
「初めてにしては上手だよ そのトゲトゲもゆっくり落ち着かせていけばいいよ
こんな感じで自分の力のコントロールを覚えるんだ
勉強していこうね」
「はい」
ニ 三日は ゆっくりさせて 目覚めたばかりだから
暴走しやすいから 注意するんだよ
1週間後 私の屋敷にきてね 待っているよ」
とサガ様は帰って行った

「ギルティー様?」
サガ様が帰った後 僕を抱き上げて ギルティ―様のベットに運ばれた
「何でですか?」
「何かあって 気がつくのが遅れるのがイヤだから
ここで寝てくれ」
ギルティー様のベットルームは リビングと布一枚で区切られているだけ
僕が使っている部屋は 客間なのでドアがついている
「でも」
「いいんだ ここで」
シーツをかけられる
「まだ 顔色が悪い 少し休め」
とギルティー様が言う
「いつもそばにいる だから安心して休め」
僕は目をつむる
ギルディ様の気配を感じながら ゆっくりと眠りへと落ちていった
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