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「すいません 休みの日にわざわざ」
「いえ」
司令部の来客室にいる
「こんなところでよかったんですか? もっと違う場所でも」
「いえ ここがよかったんです」
「・・・・」
「すいません 無理を言って しっかり断られたんですけど
どうしてもお会いしたくて」
「はい でも 私は」
「知ってます 元帥閣下はずっと思ってる人がいるって 有名な話ですよ」
「では どうして?」
「実はですね・・・・・」と彼女が話し出した
「あれ?今日休みじゃなったですか?」事務官に言われた
「ああ 少し用事があってな」
「そうなんですね ロク君はもう家ですか?」
「いや 今日はべつ」
「ロク君 病院に行って 落ち着いてくれたらいいですね」
早く帰ってあげくださいね と事務官が部屋へ入って行った
「おせーな やっと来たのか」
「悪い 忘れてた」
「俺に謝ったってしょうがないだろ 謝るのはロクにだ」
「ああ」
リビングのソファーで眠っている
顔色が悪い
「吐いたんだ 眠れてないみたいだし クスリ使った」
少し乱れた髪を整えてやる
「ちょっといいか」
「一人で大丈夫っていって 話しだしたんだけど」
毛布を握っている手をダイジロウが指さす
右の手に包帯が巻かれている
「ひっかき傷があった たぶん無意識だと思う 右だし感覚がないし
だから余計だと思うけど 俺も気がつかなかった」
「ダメだな 俺は」
ダイジロウがため息をつく
「ロクの傷は深すぎて ロク自信も気がついてないんだろうな」
ゆっくり ロクの目が開いた
「・・テオ」
「ああ」
「仕事終わったの?」
「ロクごめんな 俺・・・」
「仕事だからしょうがないよ 気にしないで」
「帰ろうか」とロクを抱き上げた
ぎゅっと首に手を回してくれたのに
恥ずかしいから降ろしてと言われた
「でも ふらついてるぞ」と言うと手だけは握ってくれた
ダイジロウさんの家のソファで寝ていたら
テオの声が聞こえてきた
いつも通りの声 すごく安心する
ダメだな 俺
「帰ろうか」とテオが俺を抱き上げてくれた時
かすかに匂った 嗅いだことのない香水の匂い
だれに会ってたの どうしてテオから匂うの
「恥ずかしいから降ろして」って言っていた
「食欲ないか?」
テオの言葉でハッとする
「あまり食べたくない?」ミアが心配そうに見てる
「ごめんなさい」とフォークと置いた
「無理はよくないわ 食べたくなったら言ってね」
「うん ごめんね 部屋で休むね」と席を立った
「ロク」
テオが呼び止めたのがわかったが 聞こえないふりをして部屋に戻った
「ダメだな 俺」
あの休みから一週間 あの匂いはしない
気のせいだったのかな
でも
決めてたじゃないか テオに好きな人ができたら 俺は消えるって
テオには俺みたいな奴じゃなくて
かわいい女の人が良くて
子供を作って
家族を作って
俺じゃできないよ
だから消えるって決めてた
「しょうがないよ 俺汚れてるし」
「ロク ロク」
「どうした 悲しい夢でも見たのか?」
テオが頬を撫でてくれてる
「・・・泣いてる」
「何でもない」
「何でもないことはないだろ 言ってみろ」
「何でもないったら 何でもない」
テオが大きなため息をつく
「ロク 俺を見ろ」
テオの顔を見る
「思ってること言ってほしい」
真っすぐな目で俺を見てる
それに比べたら俺は
「・・・ごめん」顔をそむけてしまった
「わかった」
テオが部屋のドアを閉めた音が聞こえた
「ロク ちょっとお願いがあるんだけど」とミヤが言ってきた
市場へのお使いを頼まれた
市場を歩く ミアに頼まれたのは買った
久しぶりに市場に来たから ちょっとだけ足を延ばす
市場を抜けたら 小高い丘があって その丘の上から街を見るのが
「この街を見るのが 一番きれいなんですよ」ってテオが教えてくれた
「いえ」
司令部の来客室にいる
「こんなところでよかったんですか? もっと違う場所でも」
「いえ ここがよかったんです」
「・・・・」
「すいません 無理を言って しっかり断られたんですけど
どうしてもお会いしたくて」
「はい でも 私は」
「知ってます 元帥閣下はずっと思ってる人がいるって 有名な話ですよ」
「では どうして?」
「実はですね・・・・・」と彼女が話し出した
「あれ?今日休みじゃなったですか?」事務官に言われた
「ああ 少し用事があってな」
「そうなんですね ロク君はもう家ですか?」
「いや 今日はべつ」
「ロク君 病院に行って 落ち着いてくれたらいいですね」
早く帰ってあげくださいね と事務官が部屋へ入って行った
「おせーな やっと来たのか」
「悪い 忘れてた」
「俺に謝ったってしょうがないだろ 謝るのはロクにだ」
「ああ」
リビングのソファーで眠っている
顔色が悪い
「吐いたんだ 眠れてないみたいだし クスリ使った」
少し乱れた髪を整えてやる
「ちょっといいか」
「一人で大丈夫っていって 話しだしたんだけど」
毛布を握っている手をダイジロウが指さす
右の手に包帯が巻かれている
「ひっかき傷があった たぶん無意識だと思う 右だし感覚がないし
だから余計だと思うけど 俺も気がつかなかった」
「ダメだな 俺は」
ダイジロウがため息をつく
「ロクの傷は深すぎて ロク自信も気がついてないんだろうな」
ゆっくり ロクの目が開いた
「・・テオ」
「ああ」
「仕事終わったの?」
「ロクごめんな 俺・・・」
「仕事だからしょうがないよ 気にしないで」
「帰ろうか」とロクを抱き上げた
ぎゅっと首に手を回してくれたのに
恥ずかしいから降ろしてと言われた
「でも ふらついてるぞ」と言うと手だけは握ってくれた
ダイジロウさんの家のソファで寝ていたら
テオの声が聞こえてきた
いつも通りの声 すごく安心する
ダメだな 俺
「帰ろうか」とテオが俺を抱き上げてくれた時
かすかに匂った 嗅いだことのない香水の匂い
だれに会ってたの どうしてテオから匂うの
「恥ずかしいから降ろして」って言っていた
「食欲ないか?」
テオの言葉でハッとする
「あまり食べたくない?」ミアが心配そうに見てる
「ごめんなさい」とフォークと置いた
「無理はよくないわ 食べたくなったら言ってね」
「うん ごめんね 部屋で休むね」と席を立った
「ロク」
テオが呼び止めたのがわかったが 聞こえないふりをして部屋に戻った
「ダメだな 俺」
あの休みから一週間 あの匂いはしない
気のせいだったのかな
でも
決めてたじゃないか テオに好きな人ができたら 俺は消えるって
テオには俺みたいな奴じゃなくて
かわいい女の人が良くて
子供を作って
家族を作って
俺じゃできないよ
だから消えるって決めてた
「しょうがないよ 俺汚れてるし」
「ロク ロク」
「どうした 悲しい夢でも見たのか?」
テオが頬を撫でてくれてる
「・・・泣いてる」
「何でもない」
「何でもないことはないだろ 言ってみろ」
「何でもないったら 何でもない」
テオが大きなため息をつく
「ロク 俺を見ろ」
テオの顔を見る
「思ってること言ってほしい」
真っすぐな目で俺を見てる
それに比べたら俺は
「・・・ごめん」顔をそむけてしまった
「わかった」
テオが部屋のドアを閉めた音が聞こえた
「ロク ちょっとお願いがあるんだけど」とミヤが言ってきた
市場へのお使いを頼まれた
市場を歩く ミアに頼まれたのは買った
久しぶりに市場に来たから ちょっとだけ足を延ばす
市場を抜けたら 小高い丘があって その丘の上から街を見るのが
「この街を見るのが 一番きれいなんですよ」ってテオが教えてくれた
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