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立ち上がり 歩き始める
雨をしのげるところ探さないと
崖の淵をたどりながら 休める場所を探す
夜さえ空ければ きっとテオが探しにきてくれる それまで それまで と歩く
視線の先に 小さな洞窟が見えた
岩にもたれて 体を休める
脇腹の傷からは 血が流れてる
よかった雨で 血の匂いが紛れるな
獣に襲われる心配は減る
体の震えが止まらない 寒いな
ズルズルと横になる 体制が保てない
「テオ 俺はここだよ」
「テオ 寒いよ」
「テオ 助けて」
俺は目を閉じた
テオを先頭に森を歩く 俺たちにとってはこの森は庭のようなものだから
迷うこともないが 夜で雨も降っている
「テオは 迷いがないな ロクの居場所がわかっているのか」横を歩く男が声を出す
この祭りの間で テオがロクの事どれだけ大事かよくわかった
初めは あのテオが男の子を連れて帰ってきたと 皆が驚いたが
テオがロクを大事にする姿をみて ロクが一生懸命に手伝いをする姿をみて
お互いがそれでいいなら と思えるようになった 皆もそう言う気持ちだと思っていたのに
あの女だけは 許さねえ コレでもしロクに何かあったら
「誰かロープ持っているか」テオが静かに聞いてきた
ずっとロクが俺を呼んでくれてる
しかし だんだん声が小さくなっている
動けなくなったのか
どうしたロク声をだせ
ロクの声が消えた
ロープを使い がけの下へ降りる
たしかこの先に 小さな洞窟があったはず
走り出していた
そして
洞窟の中で倒れている ロクを見つけた
「ロク ロク」
体が震えている 体が冷えている
ロクを抱き上げた時 ヌルッとイヤな感触があった
「すまんが火をもう少し近づけてくれ」
と自分の手を見たら
血で真っ赤になっていた
ロクの服を脱がす 脇腹に大きな傷がある
俺の服のそでを破り 傷に当てて 上着で傷を圧迫する
ロクが痛そうに顔をしかめる
「ロク 少し我慢しろ」と言うと
うなずいてくれた いい子だと頭を撫でてやる
大きなマントを出してもらい ロクを包む
そのまま抱き上げ 歩き出す
この場所から1番早くやしきに帰れる道を考えながら
アニタが医者を呼んでいてくれたので
すぐにロクの手当をしてもらえた
出血が多いのと雨に打たれたのが良くなかった
熱が下がらない
「大丈夫だから そんな顔しないで」
とロクは笑ってくれるが なかなかベットから離れならない
休暇が終わる
明日には ここを発たないといけない 王都に帰らないといけない
ロクの傷は深く
「王都までの移動は少しお待ちになった方がよろしいかと」医者に言われた
熱もまだ完全には下がっていない
「もう少し休めないか クリスに聞いてみる」
「ダメだよ テオ みんながこの休みのために段取りしてくれたの 忘れたの
おれは 大丈夫だから テオは先に帰ってて 必ず帰るから」
玄関のチャイムが鳴る
ガゼルさんがでて 何やら玄関ににぎやかな声が聞こえる
「ただいま戻りました」王都にいるはずのミアの声だ
「ミア」ベットの上からミアに手を伸ばす
「ロクは本当に心配ばかりかけるから 帰って来ちゃったわよ」
とロクを抱きしめている
「なんでお前は怪我をする」ソウテツの怒った声もする
ケガを見せろとロクの上着をはいでいる
「まだ 痛みがあるだろう 移動はまだ無理だな
テオ お前は一人で帰れ いいな」
ソウテツが厳しい顔のまま言う
「はい」とうなだれたように返事をする テオがいた
夜に少し熱を出した ロク
「ロクだって さみしいんだ お前だけが寂しんじゃないぞ」
とソウテツに言われた
ロクのベットに潜り込む
「テオ・・・」
「ああ そのまま眠った方がいい」
「テオ」
ロクが服をギュッとつかむ
「体をしっかり治せよ 待ってるから 元気になってから帰ってくればいい」
「うん ちょっと寂しいね」
「ちょっとだけか 俺はかなりさみしい」
頭をなでて 抱きしめる いつもより少し体が熱い
「傷は痛くないか」
「うん テオ 待っててね お家で待ってってね」
「ああ 待ってるよ ロクが元気に帰ってきてくれるの 待ってるよ」
「う・・・ん」ロクが目をつむった
落ち着いた呼吸音に安心して 俺もいつの間にか眠っていた
テオが王都に帰ってから 半月ほどして
「ロクも帰るのか」
今日は街へミアと買い物へ来ている
「うん 明日発つよ」
「いつでも 帰って来いよ テオと喧嘩した時とかさ」
「ありがと」
「無茶しないでね 体大切にしてね」
「はい」
「本当に ありがとう」
お礼を言って 屋敷へと帰る
次の日の朝 早い出発なのにたくさんの人が見送りに来てくれた
「アニタ様 おれねここに来る時 みんながうれしそうな顔してるの
よくわからなかった みんな何がそんなにうれしんだろうって
でも 今ならわかる
今度ここへ来る時は 俺もうれしい顔してると思うし 早くみんなに会いたいって
きっとそわそわすると思う」
アニタはロクを抱きしめて
「私もロクが帰ってくてくれると連絡があったら きっとそわそわして
早く会いたくて 迎えに行ってしまよ きっと」
「また 休みに帰っておいで テオと一緒に」
「はい おばあちゃんも王都に遊びに来てね」
「かわいい孫の顔を見に行くよ」
姿が見えなくなるまで ロクはずっと手を振り続けていた
ロクは テオが待つ王都へと帰って行った
雨をしのげるところ探さないと
崖の淵をたどりながら 休める場所を探す
夜さえ空ければ きっとテオが探しにきてくれる それまで それまで と歩く
視線の先に 小さな洞窟が見えた
岩にもたれて 体を休める
脇腹の傷からは 血が流れてる
よかった雨で 血の匂いが紛れるな
獣に襲われる心配は減る
体の震えが止まらない 寒いな
ズルズルと横になる 体制が保てない
「テオ 俺はここだよ」
「テオ 寒いよ」
「テオ 助けて」
俺は目を閉じた
テオを先頭に森を歩く 俺たちにとってはこの森は庭のようなものだから
迷うこともないが 夜で雨も降っている
「テオは 迷いがないな ロクの居場所がわかっているのか」横を歩く男が声を出す
この祭りの間で テオがロクの事どれだけ大事かよくわかった
初めは あのテオが男の子を連れて帰ってきたと 皆が驚いたが
テオがロクを大事にする姿をみて ロクが一生懸命に手伝いをする姿をみて
お互いがそれでいいなら と思えるようになった 皆もそう言う気持ちだと思っていたのに
あの女だけは 許さねえ コレでもしロクに何かあったら
「誰かロープ持っているか」テオが静かに聞いてきた
ずっとロクが俺を呼んでくれてる
しかし だんだん声が小さくなっている
動けなくなったのか
どうしたロク声をだせ
ロクの声が消えた
ロープを使い がけの下へ降りる
たしかこの先に 小さな洞窟があったはず
走り出していた
そして
洞窟の中で倒れている ロクを見つけた
「ロク ロク」
体が震えている 体が冷えている
ロクを抱き上げた時 ヌルッとイヤな感触があった
「すまんが火をもう少し近づけてくれ」
と自分の手を見たら
血で真っ赤になっていた
ロクの服を脱がす 脇腹に大きな傷がある
俺の服のそでを破り 傷に当てて 上着で傷を圧迫する
ロクが痛そうに顔をしかめる
「ロク 少し我慢しろ」と言うと
うなずいてくれた いい子だと頭を撫でてやる
大きなマントを出してもらい ロクを包む
そのまま抱き上げ 歩き出す
この場所から1番早くやしきに帰れる道を考えながら
アニタが医者を呼んでいてくれたので
すぐにロクの手当をしてもらえた
出血が多いのと雨に打たれたのが良くなかった
熱が下がらない
「大丈夫だから そんな顔しないで」
とロクは笑ってくれるが なかなかベットから離れならない
休暇が終わる
明日には ここを発たないといけない 王都に帰らないといけない
ロクの傷は深く
「王都までの移動は少しお待ちになった方がよろしいかと」医者に言われた
熱もまだ完全には下がっていない
「もう少し休めないか クリスに聞いてみる」
「ダメだよ テオ みんながこの休みのために段取りしてくれたの 忘れたの
おれは 大丈夫だから テオは先に帰ってて 必ず帰るから」
玄関のチャイムが鳴る
ガゼルさんがでて 何やら玄関ににぎやかな声が聞こえる
「ただいま戻りました」王都にいるはずのミアの声だ
「ミア」ベットの上からミアに手を伸ばす
「ロクは本当に心配ばかりかけるから 帰って来ちゃったわよ」
とロクを抱きしめている
「なんでお前は怪我をする」ソウテツの怒った声もする
ケガを見せろとロクの上着をはいでいる
「まだ 痛みがあるだろう 移動はまだ無理だな
テオ お前は一人で帰れ いいな」
ソウテツが厳しい顔のまま言う
「はい」とうなだれたように返事をする テオがいた
夜に少し熱を出した ロク
「ロクだって さみしいんだ お前だけが寂しんじゃないぞ」
とソウテツに言われた
ロクのベットに潜り込む
「テオ・・・」
「ああ そのまま眠った方がいい」
「テオ」
ロクが服をギュッとつかむ
「体をしっかり治せよ 待ってるから 元気になってから帰ってくればいい」
「うん ちょっと寂しいね」
「ちょっとだけか 俺はかなりさみしい」
頭をなでて 抱きしめる いつもより少し体が熱い
「傷は痛くないか」
「うん テオ 待っててね お家で待ってってね」
「ああ 待ってるよ ロクが元気に帰ってきてくれるの 待ってるよ」
「う・・・ん」ロクが目をつむった
落ち着いた呼吸音に安心して 俺もいつの間にか眠っていた
テオが王都に帰ってから 半月ほどして
「ロクも帰るのか」
今日は街へミアと買い物へ来ている
「うん 明日発つよ」
「いつでも 帰って来いよ テオと喧嘩した時とかさ」
「ありがと」
「無茶しないでね 体大切にしてね」
「はい」
「本当に ありがとう」
お礼を言って 屋敷へと帰る
次の日の朝 早い出発なのにたくさんの人が見送りに来てくれた
「アニタ様 おれねここに来る時 みんながうれしそうな顔してるの
よくわからなかった みんな何がそんなにうれしんだろうって
でも 今ならわかる
今度ここへ来る時は 俺もうれしい顔してると思うし 早くみんなに会いたいって
きっとそわそわすると思う」
アニタはロクを抱きしめて
「私もロクが帰ってくてくれると連絡があったら きっとそわそわして
早く会いたくて 迎えに行ってしまよ きっと」
「また 休みに帰っておいで テオと一緒に」
「はい おばあちゃんも王都に遊びに来てね」
「かわいい孫の顔を見に行くよ」
姿が見えなくなるまで ロクはずっと手を振り続けていた
ロクは テオが待つ王都へと帰って行った
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