暗殺者は愛される

うー吉

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元気か
こっちは 何とかやってるよ
昨日 初雪が降った
そろそろ お前の顔が見たいから帰るよ

「1ヵ月何の便りもなくて いきなりこれが来るんだよ
おかしいと思わない」
ミアをマフィンにフォークを突き刺してルイが怒ってる
「だって ヒューだし」
今日は休みが取れたからと ルイがウチに遊びに来た
ヒューが北へ行ってから ルイは休みを取らずに働き続けて
見かねた テオが無理矢理休みを取らせた
「することない」とウチにやってきた
ミアが
「ルイ様 ちゃんと食べてますか?少しやせられたのでは」
「食べてるよ」とルイが答える
嘘だと思う ルイはあまり食べれてない 少し体の調子も悪い 司令部で トイレに駆け込む姿何回か見てる
「ミアのマフィンはおいしいから 食べてね
きっとルイも食べれるよ」
「ありがと」
「ルイ様 今日は夕食も食べて行ってくださいね」
「ありがとう ご馳走になるよ」と寂しそうに笑った

ヒュー早く帰ってきてあげて ルイが寂しいってずっと泣いてるよ

「ロク 泣かないで 俺は大丈夫だから」
「大丈夫じゃないでしょ ルイからずっと寂しいって聞こえるよ」
「寂しいけど 泣いてばかりはいられない 留守を守るのが俺の仕事だからね
それが ヒューとの約束だからね」

それから 1週間後 スパルガリズの勝利の知らせが入ると同時に
「ヒュー大将 行方不明」と伝令が来た

油断した 敵が引いていくのが見えたから油断した
草むらに敵が潜んでいた 若い兵士が狙われいたのが見えた
体が勝手に動いていた
敵は倒したが 崖から落ちた だいぶ流されたな 
体に痛みが走る 肋骨が何本かと 足の骨もやられてる 一番の問題は腹の傷だな
「ルイ ごめん 帰れそうにもないや 大将にいい女紹介してもらえよ」
と目を閉じた


「テオ」テオの執務室へ飛び込んだ
「ロク どうしてここへ」
「ヒューが行方不明だって聞いて」
「ああ 今捜索中だ 大丈夫だ 家で待っていろ」
「そんなことできるわけないでしょ」
「いいから 家で待っていろ」
「テオ 俺ならヒューを探せる 俺ならできる テオならわかるだろ」
テオの腕を持つ
「わかるだろ」テオの顔を見る
「だめだ お前達の力は使わないと決めた お前も忘れたわけじゃないだろ」
「そんなのクソくらえだ ヒューが消える早くしないと ヒューが消えちゃう」
「ほんとにわかるのか」テオがゆっくりと聞く
コクリとうなずく 

執務室の人払いをする
『ヒューどこ 返事をして ヒュー』頭の中で何度もヒューを呼ぶ
頭が割れそう
『ヒュー返事して お願い』
『ぼうず』
「いた 落ちたところから2キロほど下流の橋のたもとの
草むら」
視界がグニャリとゆがむ
「早く そこにいる 早く助けに行って」
「ロク 大丈夫か」トクさんが体を支えてくれる
「ヒューお願い返事して ヒュー ルイが待ってるんだよ お願い 返事して」
「だめだ やめろ ロクそれ以上力を使うな やめるんだ」
「ヒュー返事して」大声で呼びかける
「よかった 気が付いた 迎えが行ってるから 大丈夫だからね
ルイが待ってるよ 泣きながら我慢して待ってるよ もう泣かさないでね」
「ロク ロク しっかりしろ」トクさんの声が遠くで聞こえた


『もう泣かさないでね』
誰が泣く ああ泣いてる すっげー泣いてる    ルイが
ハッと目が覚める
「ここは?」
手を握られている感覚がある
「ルイ」少しやつれてる 目の下のクマが濃い
もう一度名前を呼ぶ 頭を撫ででやる
目が開く 「ヒュー?」と呼ぶので
「ああ」と返事をしたら
ルイが飛び起きた
「ヒュー 気が付いた よかった」
手を握ったまま また泣いている
「ごめん 心配かけたな」
フルフルと首を振って 「先生呼んでくるよ」と立ち上がる
「なぁルイ 坊主は? ずっとロクに呼ばれていたんだ なぁ ロクは?」
ルイは何も言わなかった


ソウテツが
「力を使いすぎたんだろう しばらく寝かせてやれ」
ゆっくり休め とロクの頭を撫でた
もう眠りについて 何日経った
ごめんな ロク ヒューを助けたいと思ってしまって お前のリスク考えてなかった
やっと 歩けるようになったのにな こんなに寝てばかりだったら また歩けなくなるな
今度は俺が付き合うよ また歩く練習してくれるかな
声が出なかったら 目が見えなくなったら 手や足が動かなくなったら 心が壊れていたら
ごめんな 俺の思いだけで またロクを犠牲にしたな ごめんな

急に廊下が騒がしい
「ダメだよ 寝てなきゃ ムリしないで」
病室の扉が開く
「ヒュー 気が付いたのか」
ヒューがロクのベット横に立つ
「お前 人の事は何度も呼んで起こしたくせに お前は寝てんのか
さっさと起きろよ 帰ってきたら稽古するぞって約束しただろ
お前がうるせーから帰って来たんだぞ お前も帰って来いよ
平和な国一緒に作る約束だろ 目を覚ませよ」

「なぁ ロク ヒューも目を覚ましたぞ 
お前もそろそろ起きてもいいんじゃないか」

ゆっくりロクの瞼が開いた
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